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- 25章 -
- 幸せの相違 -
しおりを挟む『…寒っ』
程よく暖まっていた車内との温度差に余計に強く寒さが襲ってくる。急いで部屋へと戻り流れるようにエアコンをつけてから風呂場へと直行した。
水がお湯に変わるまでが待ち遠しい。
お湯に変わると一先ず頭から被り、湯船に浸かりたい一心で体や頭を高速で洗うと湯船にダイブした。
至福の時というのは正しくこういう時の事を言うのではないだろうか?体の力を抜き肩までどっぷり浸かると大きく息を吐いた。
昨日から続いた怒涛の一日がようやく終わると思いきや、最後の最後に兄から投下された真実は驚きと戸惑い、そして恐ろしい程の喜びをもたらした。
正直難しすぎて途中途中落とし込めてない所はあるけれど、兄との親族関係がきちんとあった、それだけはしっかりと理解は出来た。
それは兄が望んでくれたからであり、兄の養父母と父が許してくれたからで…
でも、それだけじゃない。
『母さんも、だよね?…でも、なんで?』
知れば知るほど母の心の内が見えなくなっていく。自分の知らない母の1面が増える度今まで共に過ごして行く中で構築された母の像がどんどんとぶれていくのを感じるが、それでも母の心の内を聞くことなど出来ないだろう。
聞いたところで疑問が増えるだけな気もしてしまうし、話をぶり返し母の心を抉るだけだ。
もしかしたら知らない方が良い事実を知ってしまう可能性だってある。
時には現状という結果だけがあれば良い事もあるだろう。
『さて、頭切り替えて行かないとっ!!』
まだまだやる事がある。
テキパキと準備を済ませ布団へと潜り込む。
さしあたっては明日遅刻しないように!と、いつも以上にアラームをかけ静かに目を閉じた。
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