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- 25章 -
- 幸せの相違 -
しおりを挟む「急に連れてきてごめんね」
「あぁ、いやっ、全然。楽しかったよ!ご飯も美味しかったし!まぁ、ちょっとはしゃぎ疲れちゃったけどw」
「そぅ? それなら良かった」
そう言って疲れたように笑う弟の笑みの意味が、はしゃぎ疲れただけではないのは分かっている。
弟には既に支え助けてくれる人が居る。
今回だって、彼が手を貸してくれているようだ。
自分が出る幕ではないのかもしれない。
でもー
弟の心に傷を残してしまったのは自分でもある。
だからせめて、自分の気持ちだけでも知ってほしい。
難しいかもしれないけれど
なにも気に病むことなんてないのだと。
「皆良い人たちばっかりだったけど、なんか癖も強い人達だね。でも、皆楽しそうだったなぁ」
「そうでしょ?そういう人を集めたからね! 聖は楽しめた?」
「うん! でもなんでわざわざそういう人達集めたの?……その、大変そう」
「率直っww でも、そうだなぁ、あえて褒め言葉として使うけど、普通じゃないのが大事なんだよ。よく言うじゃない。偉人は変人が多いって」
「なるほど…?」
自分にあって自分にはない彼等の
彼等から見て
自分にあって自分にはない皆の
そんな異なる各々の
彼等の変人たる個性が
知識や感性が大事なのだ。
「ねぇ、聖」
「ん?」
「なんで急にこんな盛大に雪遊びなんてしようなんて思ったの?」
「なんで…そうだなぁ、刺激が欲しかったからかな」
「刺激?」
「そ!まぁ、俺が学校に行くのと近いかも」
「……ネタ詰まりってこと?」
「近いけどちょっと惜しいかなぁ」
今日の場合はネタ詰まりではなくネタの種を手に入れるためだ。刺激を受けた感性は新たなインスピレーションを産み出してくれる。それはネタに詰まった時の解決法にもなるので、要は目的の違いだ。
時には画家が大工仕事をしてみたり、音楽家がプログラミングに挑戦してみたり、あえて異なる経験をする事で見聞を広げ知識を得、そこから受ける刺激が自ずとイメージを広げさせる。
それが飽きさせない物作りの強みになるのだから。
『…なんて、真面目な事を話すのはちょっと違うか。話したい事はこんなことじゃないしね』
「今日のはネタ詰まりしない為だよ」
「ふーん…?」
あまり理解はしていなさそうだが今説明しなければいけない事ではないしと一旦捨て置くことにし、小さいキャンドルで暖を取る弟の手を握ると不思議そうな目が自分を見た。
「あとは、それに関係なく俺がやりたかったから。皆と、聖と遊びたかったの」
「…聖は雪好きなの?」
「大好きだよ」
「なんで?」
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