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- 25章 -
- 幸せの相違 -
しおりを挟むはじめましての人も居たけれどアットホームで歓迎体制が凄まじく、安積の笑顔もすぐに彼らの中へと溶け込んでいった。
そんな後ろ姿を口に両手をあてワナワナと震えながら眺めて居たのは羽成だ。2、3歩下がりガシャンという音と共に閉められたシャッターに背中を支えられる。
「~っ、社長っ!」
「なぁに?」
「名前呼ばれちゃいましたっ!」
「良かったね!」
「なんで私名字名乗っちゃったんでしょうっ!」
「ねw 名前言ってれば読んでもらえたのにねぇ!勿体ないw」
「社長っ!」
「ぅんー?」
「聖君貰ってもー」
「ごめんね!」
「そこをなんとかっ!!だって社長の許可取らないと犯罪になっちゃう!」
「いやいや、許可とるなら聖の両親にね。というかあの子好きな子いるから駄目だよ」
「ぇえっ!?」
「ほらほら、馬鹿なこと言ってないで俺らも早く食べに行こう?なくなっちゃうよ?」
「うぅー……」
分かりやすくショックを受けている羽成を促し席へと移動する。弟とは離れた所に向かい失恋しましたぁーと騒いでいるがいつもの事なのでスルーし、月影は弟近くの席へと腰を下ろすとその姿を眺めた。
なにやら質問責めにあっているようだが、楽しそうにしているので心配は無用だろう。けして悪い人達ではないのだけれど一癖も二癖もあるような人ばかりなので少し心配ではあった。
まぁ、そんな人を集めたのは自分なのだけれど
しかし元々人懐っこく社交性の高い弟には大した問題ではなかったのかもしれない。
笑顔で会話し美味しそうにお肉を頬張る姿に一安心する。これで少しはー
「社長、お疲れ様です」
「ん?ありがと!なにもしてないけどね」
「そんなご謙遜を。こういう場を作って下さって感謝しています」
「固い固いっw 大袈裟だって!俺が飲んで遊んでしたいだけだよ!」
「そうですか?じゃぁそういう事にしておきますね。でも、ありがとうございます。ここに入社出来て本当に良かったです」
「…どういたしまして!君たちのおかげで会社が成り立ってるんだし、俺もいつも助かってるよ。楽しんでくれて良かった。俺こそ、ありがとうね!」
お酌をし笑顔で離れていく社員を眺めつつ、こそばゆい気持ちをお酒で飲み干した。社員の為でもあるけれど、純粋に自分も楽しみたいというのも本当だ。着いてきてくれる社員達には感謝しかない。
それに今回の目的は弟の為と言う所が一番だった。落ち込んでいるであろう弟を皆なら笑顔にしてくれると思ったから。黙って利用するような感じになってしまって申し訳ないと思うけれど、その希望を見事果たしてくれた彼等には感謝しかない。
賑やかな喧騒を噛み締めながら、空になったグラスへとお酒を継ぎ足した。
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