731 / 1,055
- 25章 -
- 幸せの相違 -
しおりを挟む食紅と言えば青、赤、黄色のイメージしかなかったが、見たことないような色まである。まさかこの日の為に揃えたのだろうか?
でも兄なら意気揚々と購入したとしても不思議でもなんでもない。というか、なんなら容易に目に浮かぶ。
「じぁ…黄色で」
「らぶりーヒヨコカラー入りましたーっ!」
「「ありがとうございまーーっす!!」」
『ヒヨコって…』
ヒヨコの単語と無駄に明るいノリに、文化祭での事が頭を過る。植野のクラスでアヒルのおもちゃに惜しげもなく大人の財力で挑む月影と秋山の姿が。
良い事を言ったように見せかけ押し付けられただけじゃないのか……とちょっとだけ思ったりもするあのアヒルは、捨てるのも忍びなく今は風呂場に鎮座している。
たまに浮かべて眺めてるのは秘密だ。
類は友を呼ぶと言う言葉は本当なんだと、彼らを見ているとしみじみと実感させられる。
もしかしたら誰かに感化させられたという事もあるかもしれないけれど、どちらにせよ兄のまわりで言うと悪いことではないように感じた。
友を呼んだ類の最初は誰なんだろう?
そんな卵が先か鶏が先かの様な事を考えながら、
受け取った食紅を彼等に習いバケツに入れ、手を入れるとあまりの冷たさに咄嗟に引っこ抜いた。
これを笑いながらやってしまう彼等には一周まわって関心さえする。やると言った事に若干の後悔が頭を過る中、突如真横から掛け声が掛かった。
「準備はいーい!?」
「えっ?」
「「「おっけー!!」」」
「えっ、えっ!?」
「行くよっ!!」
「あのっー」
「「「せーのっ!!!」」」
「ちょぉっ!!!」
その掛け声と共にいつの間にかかまくらを取り囲む様にして立っていた彼等から激しい水飛沫が上がった。予想もしてなかったいきなりの展開に頭が付いていかない。
『………ぃっ、今、なにが』
「っ………!!」
「冷たぁーーーっ!!」
「ちょっと飛ばしすぎだって!!標的はかまくらだよ!?センターにいれてスイッチぃ!!」
「めっちゃ飛び越えてんじゃんっ!つめてぇーww」
「皆顔面カラフルすぎっ!うけるーっww」
「やだっ、もーこんなん笑うしかないじゃんw」
『え、なにこの人達?なんなの?馬鹿なの??全然笑えないんだけどっ!?』
大抵の事には合わせていける自信はある方だけれど、流石にこれにはそんな感想を真っ先に持ってしまった。
こんな真冬に外に放置していた真水をカラフルに染めてぶちまけて、かぶってかぶらせて、腹を抱えて大爆笑している。
もう、最早これは雪遊びの域を越えているのではないだろうか……
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
食事届いたけど配達員のほうを食べました
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか?
そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。
3人の弟に逆らえない
ポメ
BL
優秀な3つ子に調教される兄の話です。
主人公:高校2年生の瑠璃
長男の嵐は活発な性格で運動神経抜群のワイルド男子。
次男の健二は大人しい性格で勉学が得意の清楚系王子。
三男の翔斗は無口だが機械に強く、研究オタクっぽい。黒髪で少し地味だがメガネを取ると意外とかっこいい?
3人とも高身長でルックスが良いと学校ではモテまくっている。
しかし、同時に超がつくブラコンとも言われているとか?
そんな3つ子に溺愛される瑠璃の話。
調教・お仕置き・近親相姦が苦手な方はご注意くださいm(_ _)m
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる