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- 25章 -
- 幸せの相違 -
しおりを挟む「痛いなっ!なにすんのよっ!!邪魔しないで!私たちこれからいい所っ!!」
「誰が警部だっ!!心に染みてんのも殺されそうになってんのもお前だけだからっ!!馬鹿かお前はっ!!」
「馬鹿とはなによっ!!可愛いは正義なんだからねっ!!」
「黙れ犯罪予備軍っ!!鼻息うっせぇんだよっ!」
「なんですってっ!!?乙女に向かってぇ!!」
わちゃわちゃと言い合いに夢中になってる隙に目配せした他の社員達にそっと肩を引かれ、安積は守られるようにして密かにその場を離れた。
エボなんちゃらがなんなのかは良く分からないけれど取りあえず離脱出来た事にほっと胸を撫で下ろす。そして次に向かった先は車内からも見えた場所、作りかけの雪像がズラリと並び、おそらくかまくらになるであろう掘りかけの穴が開いた大きな雪山が主張激しく鎮座している場所だった。
良く良く見ると雪像は色々な動物が混ざったキメラの様な物だったり、国民的キャラクターのネズミに耳を齧られたあれだったり、独創的すぎてなんだか良くわからない物だったりと一貫性は見えないが、どれもが良く作り込まれている様に見えた。
「凄いですね。これ皆さんが作ったんですか?」
「そうだよ!社長…お兄さんがいきなり雪遊びしようって言い出してさw」
「やるからには全力がモットーだしね!」
「そうそう、これから食紅使って色も着けるつもりなんだぁー!」
「せっかくだし、聖君もやる?」
「いえ…俺不器用なんで、見てるだけでー」
「じゃぁ、かまくらっ!今からスッゴく楽しいところだからっ!」
遠慮という名の建前で拒否する安積を華麗にスルーしたその人物は、予め準備されていた水の入ったバケツ数個に各々様々な色の食紅を突っ込み素手でかき混ぜていく。
「あははっ、冷たぁーー!!」
「手が真っ青ーーww」
「手袋持ってくれば良かったわぁ!」
「あっ、弟君手袋使う?使うなら探してくるけど?」
「あっ、いえっ、大丈夫です」
わざわざ探させるのも悪いし、寧ろそれ以前にやるとは言ってない。なんでいきなり連れ出されて雪遊びなんてやらなければならないのだろう。
出かけた溜め息を押し込め、“でも”と思い直す。これは嫌いを受け入れるチャンスかもしれない。
純粋に全力ではしゃいでいる彼等を見ると、冷たい思いをするのも手に色が着くのも嫌いな雪遊びも、なんだか少しだけ楽しそうに思える気がした。
….ような気がした。
「素手で平気っ!?流石社長の弟!じゃぁ何色にする??」
「えっと…」
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