729 / 1,055
- 25章 -
- 幸せの相違 -
しおりを挟む「あっ、あぁ、食紅な!!助かるわ!」
「ありがとう!じゃぁ、準備よろしくね!」
「うん! まかせてっ!……ところで」
「ん!?」
「なに隠してるの??」
「「「!!?」」」
持ってきた色とりどりの食紅を両手に握り締めたまま目敏く気が付いた彼女が、取り囲んだ大人達の隙間から覗き込もうとしてくる。
隠すことは不可能と悟ったのか大人達のうちの1人が彼女の肩をつかみ、真剣な目をして釘をさす。
「良いか、犯罪は駄目だ」
「犯罪?なに、なんのこと?」
「落ち着いて、冷静にねっ!」
「だから、なにがぁ?」
全く会話の糸が見えない。取り残されている不安に後ろに立つ異母兄を見ると、笑顔で頭を撫でられた。嬉しいのだけどなぜか安心が出来ない。
するとそんな安積に側にいた女性が耳元で小さく囁いた。
「あの子、エフェボフィリアなの」
「え? えぼ……??」
聞き慣れない単語に不安しかない。今一理解できていない安積にもう一度耳打ちをしようとしたその時ー
「もうっ!そんなに隠されると気になるじゃ……」
「あっ、えっと……こんばん、わ」
「……………」
「……………………」
『えっ、なにこの間っ!?』
同僚達をかき分け顔を覗かせた彼女は、至って素朴そうで人畜無害そうな顔立ちをしていた。他の人達が必死になって自分を隠そうとしていた意味がー
「やだっ!?やだやだっ!!なにこの天使っ!!ちょーエンジェルっ!ガチでドストライクなんですけどぉっ!?」
なんとなく分かった気がした。
両頬に手を添えられ間近に近づいてきた顔も、恐怖が上回り照れる隙すら与えない。
「えっ、なにこの少年っ!!性癖ドンピシャっ!!えっ、えっ!?まじ天使なんだけどっ!?君いくつ!?」
「えっ、えと……こっ、高2でs」
「やばーーっ!!キタコレコレキタコレっ!!ピッタピッタっ!!ねぇ、君っ!今からお姉さんと2人っきりで楽しい事しないっ!?君にぴったりなお洋服一杯あるのっ!お姉さんがお着替えさせてあげっー」
ゴンっという重みのある音を響かせながらテンション高く暴走する彼女の言葉を止めたのは、自分を取り巻いていた内の1人、名も知らない男性の綺麗な鉄拳だった。
『やだかっこいいっ!!さっきは怖がってごめんなさいっ!』
彼女との間に割って入り止めてくれた彼の背中が異様に頼もしく見え、先程とは一変一気に頼り概を感じうっかり胸を高鳴らせた。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
食事届いたけど配達員のほうを食べました
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか?
そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。
3人の弟に逆らえない
ポメ
BL
優秀な3つ子に調教される兄の話です。
主人公:高校2年生の瑠璃
長男の嵐は活発な性格で運動神経抜群のワイルド男子。
次男の健二は大人しい性格で勉学が得意の清楚系王子。
三男の翔斗は無口だが機械に強く、研究オタクっぽい。黒髪で少し地味だがメガネを取ると意外とかっこいい?
3人とも高身長でルックスが良いと学校ではモテまくっている。
しかし、同時に超がつくブラコンとも言われているとか?
そんな3つ子に溺愛される瑠璃の話。
調教・お仕置き・近親相姦が苦手な方はご注意くださいm(_ _)m
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった
なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。
ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる