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- 24章 -
- 財布拾っただけなのに -
しおりを挟む「……因みにどっちでも良いんだけど、なにかこう、これは気を付けた方が良いっ!みたいな事ってある?」
「………」
「………だめ?」
「そう、ですね。面倒くさがらない事と、無理をさせない事ですかね」
「あー…ね。やっぱ女の子相手みたいには行かないもんね…。っても未知すぎて…あっきーはどんな感じ…手順とかタイミングとか?なら辛くなかった?」
「……そうですか。そこまで聞きますか」
「…だめ?」
「そんなに知りたいですか?」
「ぅんっ、教えてくれるならっ」
そこまでの質問が本当に答えてあげるべき必要のあるものなのかどうか。探るために間横に立つほぼ同じ高さにある目にしっかりと視線を合わせた。
吐き出した白い息が交わる程に近い距離で自分の発言を待つその顔は、見つめたまま黙り込んだ自分への純粋な疑問と恋人の為の真剣な探究心だけが浮かんでいる様に見える。
しかしプライベートの中でもかなりプライベートな事柄にまでこうも遠慮なく踏み込んでくるなんて、一体自分をなんだと思っているんだろう。もう少し遠慮とか配慮を持ってくれても良いと思うのだけど。自分が力になれるのであれば喜んで力を貸したいと思っている事は嘘はないけれど、あまりにもズケズケと聞いてくる態度に微かな苛立ちを覚えた。
これは少しばかり反抗してもバチは当たらない
…筈。
意識的に苛立ちを隠すと、余裕を感じさせる様な笑みを作り植野へと向けた。
「実践躬行と言いますし、教えて差し上げましょうか?手取り足取り」
「………」
「………」
「「ないな」」
「ないない」
「ないですね」
「自分で言っておいてあれですけど、ないですね。ないない。冗談でも無理、絶対。あり得ません」
「そこまで言われるのはちょっと悲しいけど、でもまぁ、ないねぇー」
なにをどう足掻いても、自分達の間にはそんな出来事は起こらないだろう。嫌いではないし普通に好きだけれど、そういう対象にはなり得ない程確固たる “ 親友 ” とう感情しか湧かない。
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