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- 23章 -
- 終幕 -
しおりを挟む「卒業したらさ、進学だったり就職だったりで今みたいに3人ずっと一緒に居られることってなくなるじゃん?それでもさ、例えばこのイチョウ並木だったり、キーホルダーだったり見て、“あー、あの時こんな事があったなぁ”とか、“こんな話ししたなぁ”とか思い出してさぁ。久し振りに連絡取り合ってご飯とか食べに行ったりして。もしかしたらずっと大人になってて、お酒でも飲み行こー!って言ってるかも!だからー」
奇跡的にもう1枚の葉っぱを捕まえ2枚を片手にしばし悩むような間を開けた後、もう1枚地面から拾い寂しさを吹き飛ばすようにカラッと笑うと2人の前に突き出した。
「これからもどんどん、そーゆー思い出、作ってこうよ!!」
卒業や進学はどうやったって避けられない。必ず違う道に進む時が来る。その時に、彼が少しでも寂しくならないように、その笑顔が曇らないようにー
「えぇ、勿論です。ね、睦月」
「そーだな。ま、作ろうとしなくても勝手に出きるだろけど」
彼の幸せを、笑顔を、願いを、望むものを出来るだけ守っていきたい。きっと、そんな思いは2人同じで。
班乃と市ノ瀬は顔を見合わせ笑い会うと、差し出されたイチョウの葉を受け取った。
のだけど、
「で?この葉っぱなに?」
差し出されたので反射的に受け取ったが、これはどういう意味が??
「えっ!?なんだろ!?なんとなく!!」
「なんとなくって、貴方…」
「えーと…がっくんに頼んで栞にでもして貰う?」
「なんで学だよ?」
「なんかそういうの作れそうだなって!」
「確かに作れそうですけど…なら」
丁度3人の間に降ってきた葉を器用に捕まえた班乃は安積の手にある1枚を抜き取り、変わりにー
今捕まえた葉をその手に乗せた。
「拾ったものじゃなくて、こっちにしましょう」
呆気に取られたように手に乗せられた葉と班乃とに視線を行き来させた安積は、はっとしたように両手を口元へと当てた。
「やだっ!!あっきーちょースマートっ!!紳士!そんなん惚れるわありがとうっ!好きっ!!」
「はいはい、僕も思い付きで行動する馬鹿っぽい所、大好きですよ」
「ひどっ!!臨機応変って言ってよっ!!」
「考えなしって言うんだよそーゆーの」
「追い討ちっ!?」
「まぁ、嫌いじゃない」
「そっ、そうかっ、ありがとうっ!??」
その “ 好き ” には、各々違った意味や思いがつまっているけれど、そこには置いていく想いとの決別と、これからその手に持っていくモノへの決意が込められているようで。
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