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- 22章 -
- 哀 -
しおりを挟む「あれ?」
文化祭の片付けも滞りなく進み、手の空いた者から打ち上げへ行く為帰りの準備を進めていた。
市ノ瀬もようやく片付けを終わらせ帰りの準備を始めようとしたその時、安積の姿がないことに気がつく。まだ片付けが終わってないのかもと思ったけれど、安積と共に片付けをしていた部員たちは既に帰りの準備も終わらせて雑談をしているところだった。
「おつかれ。安積は??」
「あっ、おつかれ!安積なら帰ったわー」
「は??」
「終わったとたん用事あるからって。残念だよな…でも楽しんで来てって言ってたよ!特にお前と矢吹はMVPだからって!」
「……そう」
『打ち上げを断る程の用事?てもそんなこと、一言も言ってなかったよな?』
だが用があると言うのならそうなのだろう。そしてその用事が班乃に関係するものだろうことも予想はできる。演劇を出ずに帰ったのだし、班乃になにか大変なことでも起こっているのではないだろうか。
以前にも似たようなことがあったし、”班乃の特別になりたい”と自分に相談してくるくらいだ。安積が行動を起こさないわけがない。
『面白くねぇな』
2人が何も言ってくれないことに対してもだし、安積の優先順位はやはり班乃が1番だと言うところもだ。
のけ者にされている感じがどうしても否めない。だが、そう感じて大人しくのけ者にされる性分ではない。
『打ち上げ終わったら安積ん家寄ってもう1回聞いてみるか。教えてもらえなければその時はその時だ』
とりあえず主役2人とも欠席するのは申し訳ないし、楽しんで来てと言われてしまってる以上行かないわけにもいかないだろう。
『俺のせいで打ち上げ断らせてごめんとか言いそうだし、それはこっちこそごめんだ』
もやもやした気持ちを抱えたまますべての片付けを終えた体育館を一瞥すると、部員達と共に打ち上げへと向かった。
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