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- 20章 -
-文化祭っ!!-
しおりを挟む『少し迷ってるみたいだから来てみたけど、鈴橋君には必要なかったみたいだなぁ』
特に助言をするまでもなく1人で決断を下していた鈴橋に対しひっそりと思いながら、いったん買ったハーバリウムを車へと置きに向かう。
正直鈴橋とはあまり接点がない為こんなことをする必要はないし、“聞こえてくる”全ての人の思いのために動いていては自分の身が持たない。
しかし鈴橋の相手が長谷川が大事にするあの植野なのだから、報われてほしいと思ってしまうのも致し方ないだろう。
『大事な子が悲しんで悲しむ鉄司、見たくないし』
それに自分が疲れていても誰かが落ち込んでいれば放って置けないタイプだ。少しでもそんな長谷川の気苦労や手間を減らしてあげたいとも思う。
『ま、手間だなんて片隅にも思ってないだろうけど』
ハーバリウムを置き来た道を戻ると丁度鈴橋が交代を済ませた所だったようで、自然と2人並ぶ形となりながら植野のクラスへと向かった。
「あっ!!お疲れがっくんっ!!なに食べる?」
「お疲れ。…そうだな。お好み焼きで」
「おっけぃ!!」
先に秋山達が頼んでくれていたのだろう。注文に並ぶ事なく席に着いた月影を横目に屋台の中で元気に働く植野の元へと歩み寄った鈴橋は殆んど悩む事なくお好み焼きを注文した。
理由は単純。
植野が今担当していたのがお好み焼きだからだ。
「ひーくんもおっかえりぃ!先食べてるよー!」
「鈴橋君も一緒だったってことは…あぁ、花買いに行ってたのか」
「成る程っ!!奥さんのプレゼントだねっ!!」
「あらやだバレちゃったっ!?はずかしっ!!」
「お前の溺愛っぷりヤバイからなぁ。少しは押さえたらどうだ?若干うざいぞ」
「それでも話聞いてくれるてっちゃん大好きっ!」
「俺もひーが大好きだぞっ☆」
「言ってねぇよ。勝手に吹き替えすんな」
「長谷川さんも溺愛されてますねっww」
「「てっちゃんは僕らの恩人だからねっ!」」
「なんですかそれ!その話詳しく!」
「良いからっ、そんな昔の話っ!」
恥ずかしいとは到底思ってなさそうな返答をしつつ月影が席に付いた所で、残念ながら演劇部組は準備に向かうタイミングとなり片付けを始めた。
「来られたばかりで申し訳ないですが、僕たちは準備があるのでお先に失礼します」
「頑張ってくる!!楽しみにしててねっ!!」
「うんっ!がんばってね!応援してるよっ!」
「弟くんちっちゃ可愛いもんねっ!きっと素敵なジュリエットなんだろうなぁ!楽しみっ!」
「良かったですね、安積。誉めていただけて」
「くっそっ!あざますっ!がんばりますっ!」
挨拶を交わす2人とその言葉に続いて頭を下げるだけした市ノ瀬は、やけくそ気味に息巻く安積を引き連れ応援の言葉を背にうけながら体育館へ向かうのだった。
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