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- 20章 -
-文化祭っ!!-
しおりを挟む「あっ!てっちゃん!!俺も注文………」
自撮りに満足し今度はお腹を満たすべく長谷川へと注文を口にするが、その言葉を言い終わる前にずいっと差し出されたのは出来立てほやほやのお好み焼きとたこ焼きだった。
「550円でーす」
「…まだなにも言ってないんだけど?」
「なんだ。違ったか?」
「違くないです。大当たりです」
「だろうなぁw」
手渡されたパック越しに暖かさを通り越した熱さが伝わってくる。光を受けたソースとマヨネーズの艶やかさと揺れる鰹節、辺り一面に漂う香りと、そしてなによりもこの屋台風の装飾が相まって昔の記憶を甦らせた。
「なに?どうした、花音。ぼんやりして」
「…なんか初めてお好み焼きとたこ焼き食べた時の事思い出した」
「なんだよ唐突w でも懐かしいなぁー。食べたことないとか言うからビビったわー」
「なになに? なんの話っ!?」
「はなが初めてお好み焼きとか食った時の話」
「えっ!懐かしっ!初めて3人でお祭り行った時だよね?あの時ののんちゃんの怖がり様はちょっと可愛かったなぁw」
「やっ、だって見た目がさぁ…ちょっと受け付けなかったというか…だってどう見ても」
「はな。口チャック」
「分かってるよww なのにてっちゃんはゴリ押ししてくるし、断ったらひー君はしょんぼりした空気醸し出すし……」
「だって皆で食べたかったんだもん。美味しいもの」
「でもま、良かっただろ?挑戦してみて」
「本当それっ!1歩踏み出す勇気くれた2人に感謝w」
恐る恐る口にしたあの時の衝撃は今でも忘れられない。見た目から連想されるあるものがどうしても受け入れられず避けて通っていたのが本当に勿体ないとさえ思う程だ。
美味しさを知った今ではこういう場で必ず頼む定番ともなったくらいで、それが長谷川に分かりきられてしまっているのは少しばかりむず痒い所があるが、嬉しくもある。
「ほら、行った行った。覚めないうちに食ってこい」
「はーい!ありがとてっちゃん!行こっ、ひーくん!」
「うんっ!てっちゃんのお好み焼き久しぶりー!」
「はいこれ、弟くん達のな」
「ありがとうございます!」
「どういたま」
出来上がり待ち中思いもよらず兄達の思出話を聞く事となり、今と変わらず仲が良かったのだと思うと自分達もそうありたいと思うと同時に、兄の学生時代が幸せだった事に安堵も感じる。
気がかりに思っても生い立ちゆえに気が引け過去の事を聞くのは難しく、だからこそ間接的に知ることが出来たのは嬉しい収穫だった。
「さっ、俺達も行こっ!お腹ぺこぺこっ!」
班乃の背中を押し月影達を追いかけるように席に向かうと、なんとそこにはー
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