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- 20章 -
-文化祭っ!!-
しおりを挟む無視と待ちぼうけを喰らっていた月影は、生徒達と軽い会話と握手をしてから戻ってきた長谷川と秋山へと満面の笑顔で上着を手渡した。
「おつかれ2人とも!楽しかった?」
「めちゃ楽しかったぁーー!」
「久々だったからうっかり夢中になっちまったな。ちょっともの足りねぇ気もするけど」
「時間なくなりそうだし行っても100回で終わりにしようって言ってたもんねぇ」
「やー…100行けるとは思ってなかったけど。意外と覚えてるもんだな」
「ねっ!!」
「ひーも待たせて悪かったな」
「うぅん、気にしないで!2人が楽しめたなら俺も嬉しいしっ!明日の筋肉痛が楽しみだねっ!!」
「ごめんてっw」
「悪かったってw」
100回以上の賞品をと持ってきた生徒の申し出を断り体育館を出ようとしたその時、3人を呼び止める懐かしい声が響き同時に振り返る。
「なんか騒がしいと思ったら長谷川お前かっ!ずいぶんと久々じゃないかっ!」
「「お父さんっ!!」」
「誰がお父さんだっ!!」
突如現れお父さんと呼ばれた40手前くらいのその人物は、長谷川達が学生の頃の顧問だった教員だった。もちろん本当の父親ではなく若い頃から老け顔、良く言えば父親てきな貫禄があったゆえの愛称である。
在校生達が頭上にはてなマークを飛ばしているのを見ると、どうやら今はその愛称では呼ばれていないらしい。
「元気そうだな長谷川っ!………と、んっ?んんーー!?あれっ、おまっ、もしかして秋山かっ!?」
「はいっ!お久しぶりですお父さんっ!!」
近寄ってきて懐かしそうに挨拶をしたお父さんは長谷川の隣にいる秋山を見ると、疑うような、信じられないものを目の当たりにしたような顔で驚きの声をあげた。
無理もない。面影こそあるものの、卒業時は150㎝前後しかなかった身長が今では190㎝を越すほどに成長を遂げていたのだから。
「いやー……ほんと、大きくなったなぁ。あの秋山がなぁ…信じられん。成長というより最早進化じゃないか」
「ひどっ!ポケモンでもデジモンでもないんだからねっ!!」
「悪い悪いwでも本当に立派になって。顔見せてくれて嬉しいよ。まだまだ現役みたいだし、体動かしたくなったらまたいつでも来いよっ!」
「「「はい!ありがとうございますっ!!」」」
練習相手にさせるつもりではとも思ったが、それでもいつでも帰って来て良いと言われるのは嬉しいものだ。
お父さんの言葉に3人は一礼と共に体育会系のノリで元気良く返事をし、お父さんも微笑ましくそんな3人を見る……かと思いきや、すっと表情を消し半目で月影を見た。
言いたいことはなんとなく…
いやなんとなくなく分かる。
それもそうだ。秋山や長谷川と違って今でもしょっちゅう学園に居座っているし、なんなら正体がばれない片棒を担がせても居るのだから。
「いつでも来るよっ!!」
「……だろうな」
諦めにも似た声で呟き4人懐かし話に少々の花を咲かせた後、昼食をとる為ようやく3人は植野達の教室へと足を向けたのだった。
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