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- 20章 -
-文化祭っ!!-
しおりを挟む「ほら、紗千、お兄さん達にご挨拶は?」
「こんにちは綾兄っ!!」
「こんにちは紗千ちゃん!」
満面の笑みで元気良く頭を下げた紗千の挨拶をしゃがんで受けとると、その柔らかい両頬を手のひらで包み楽しそうに笑いあう。
なんとも微笑ましい光景である。
そして今度は市ノ瀬へと顔を向けるがー…挨拶すると思いきやピャッと植野の後ろへ隠れてしまった。
「ちょいむっちゃんっ!?顔怖いよっ!スマイルスマイルっ!!」
「や、んなこと言われてもこれが普通の顔なんだけど」
「大丈夫だよ紗千ちゃんっ!むっちゃん顔は怖いけど心は優しいからっ!多分っ!」
「…人畜無害そうに見えてけっこう人いじるの好きだよな、お前」
「Σえっ!?そんなつもりはなかったんだけどっw」
そんな2人の会話を隠れて見ていた紗千だったが、ゆっくりと上半身だけをのぞかせると何度か視線をさ迷わせてから意を決した様に口を開いた。
「こっ、こんにちは、むつ兄……ぉっ、お元気ですかぁっ!?」
まるで手紙の書き出しのような挨拶を半ば叫ぶように言い放った紗千は、再び残像が見えそうなスピードで植野の後ろへと隠れこむ。
『…質問投げ掛けてこれいかに??』
くっついて離れず、泣きつかれてそのまま寝てしまったあの時の素直で無邪気な彼女はどこへ言ってしまったのか…
「ねぇ、むっちゃん、紗千ちゃんになんかしたの?なんか異様に怯えてない??」
「失礼だな。別になんもしてねぇよ」
「…そうね。これはあれね。怯えてるんではなくて」
「これは…」
「「照れてる な
わね」」
「なぜっ!?」
「はぁ?」
「あの時から市ノ瀬の事、頻繁に口にしてたし…。それに、ほら」
ちなみにあの時というのは鈴橋が風邪でダウンし紗千が1人買い物に出掛けて行ってしまった時の事である。
ほら、と鈴橋が指差した紗千の髪には、その時市ノ瀬から貰った髪留めがしっかりと使われていた。
「とてもお気に入りみたいなの。毎日のように使ってるのよ。今日もこれ付けて行くーって。よっぽど嬉しかったのね」
「そうですか。それは良かった。です」
「へぇー。なんかそれって、まるで恋するおと……め」
Σ(;゚Д゚)
恋する乙女じゃん!!
プレゼントを毎日身につけて、たくさん話題にもして、挨拶するにも照れて満足に出来ないって、
もう恋する乙女じゃん!!
これは、おままごとで安積が旦那役をやった時よろしく鈴橋がキレだすパターンでは!?シスコンは健在みたいだし!
恐る恐る背後に居る鈴橋の表情を盗み見る、とー
『ん!?あれっ??』
「恋する乙女、か」
と、なんだか諦めているような表情を浮かべながら呟いていた。
「児ポは止めろよ」
「あほかっ、しねぇよ。ってか俺だって児童だまだ」
「…ぁ、そうか。そうだな」
「そういう問題っ!?」
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