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- 18章 -
- 違和感 -
しおりを挟むつい先程話しているうちにと思った通り、思い当たった駄目なことに得心がいく。もしかしたらもっとと思う自分の気持ちが相手の迷惑にならないかが気がかりなのかもしれない。あり得そうな話だ。
いるのだろうかと不安になる。先程から短い返事しか返してこない事も、気がかりで安積に視線を向ける。
当の安積は、テーブルの上に置かれたマグカップに注がれている紅茶をぼんやりと見つめているばかりで、その頭の中でどんな思いを巡らせているのかは想像がつかない。
「お前は…何に悩んでるんだ?」
「……え?」
好きだから独占したい。
それがガキ臭い諸々感じでしまうことや
成長できてないと思ってしまうこと。
相手の迷惑になるのではないかということ。
悩んでいるのはこの辺りかなと予測して話をしてみたが、安積の反応を見る限りそうではないか、もしくはそれ以外にも何かあるのからしい。
先も言った通り誰かの相談に乗るという経験などなかった為、これ以上安積がなにを思って何に悩んでるのかハッキリと分からない。反応が殆どなければ尚更だ。
ならば自分が適当なことを言って混乱させるよりも安積に喋らせ、それが例え整理されていない言葉であっても、それを自分が整理して話を進めた方が良い気がした。
「なにを、悩んでるか…」
「好きだから独占したい、今以上が欲しくなる。それが普通。幼稚で餓鬼な事でも馬鹿な事でも、変な事でもなんでもない。そう思う事は普通な事。それだけじゃ、解決にならないんだろ?」
「…………」
そうして黙ってしまう辺り、解決には至っていない事だと肯定してしまっている。先程よも深いシワを眉間に刻み付けた安積は再び黙りだ。
時計の音すら鮮明に聞こえる程の静けさが二人の居る部屋を包む。
きっと本人も何があって、何に対して、何故モヤモヤとした気持ちを感じているのかが分からないのだろう。
このまま2人してずっと黙りを続けていてもしょうがない。市ノ瀬は聞き出すことを一旦諦め、再び安積が悩みそうな何かを探してみることにした。
もう1度、先程安積が言っていた言葉を思い返してみる。
そして…
「そっか、もしかして……」
口の中で呟いてから、もう1度安積を正面から
見据えてみる。
明には明の交友関係がある、と言っていたじゃないか。そして、安積が市ノ瀬の思うような人間であるならば、思い当たる節がないわけでもない。
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