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慰弦

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- 17章 -

- 初体験は同級生の妹 -

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「むつにぃこっちっ!こっちだよっ!!」

「…………」


小さな手を大きく振って手招きをするとまた小走りで走っていく紗千を追いかけながら市ノ瀬はげんなりとしていた。

どうでも言い話だが、“むーにぃちゃん”と呼ばれたのを断固拒否して“むつにぃ”に落ち着いているのはとあるオムツが連想されてしまうからである。

連絡帳を見せられたあの後。

鈴橋へ連絡しようとしたが生憎連絡先は交換しておらず、知ってるであろう植野や班乃達は部活中だ。そもそも風邪で死にそうになっているらしいのでそれは断念し、連絡帳に書かれていた番号に連絡を入れたのだが両方とも留守電だった為用件だけを残した。

やはり当初の予定通り警察にと思ったのだが、どうしても直ぐに帰りたいっ!兄が心配だっ!という紗千の要望を断りきれず、住所を調べてみれば徒歩15分程しかない距離だった為結局送って行くことにしたのである。


「あー、ちょっと待って」

「はいっ!」

「落とすからコレに入れな」

「……ありがとうむつにぃ!!」


両腕に抱え持っていたゼリーをかごに入れさせただけなのに、何故こんなにも全力でお礼を言ってくるのか。


「…本当、調子狂うなぁ」


頑なにあった自分の中の子供像を壊す程の愛くるしさを兼ね備えているのが、あの学の妹だなんて……


「信じられねぇ」


少し先の飲み物売り場からちょこんと笑顔を覗かせて、市ノ瀬が来るのを今か今かと楽しそうに待っているあの可愛らしい少女が、鈴橋の妹だなんて。


「世も末……」


何度だって呟きたくなってしまう。

あの可愛らしい少女が、仏頂面の冷徹インテリ根暗眼鏡の妹だなんて、全っ然信じられない。


「…で、次は何探してんだ?」

「えーとね、えーとねぇ」


飲料売場に着いた紗千はズラリと並ぶペットボトルを指差しながら横移動し下段を端から端まで見終わると、折り返し今度はその1つ上の段を同じように見ていく。

そしてまた次の段を、となりそうな所で見かねて声をかけた。


「白くって…えーと、でも透明なやつ!!」

「しろっ…………………………………」


いや、馬鹿言うなよ俺。

白くて、でも透明なやつ。

白く半透明な、飲み物………
 

『いやいや、落ち着けよ。大体飲み物じゃねぇし、幼女趣味もねぇよっ』

含みなどあるわけない少女の言葉に頭をよぎった邪な考えは、目の前にある純粋な笑顔が途轍ない罪の意識を感じさせた。

『や、でもしょうがなくね?コイツもきっと俺くらいの歳になれば……や、止めよ。考えんのは』

なんだか考えたくない。

し、今考えなくてはならないのはそんなことじゃないと即座に頭を切り替える。

風邪をひいた兄の為に懸命に探している、風邪の時に飲む白い半透明なものとは。
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