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- 17章 -
- 初体験は同級生の妹 -
しおりを挟む「わっ、分かった、分かったよ!えっと、そうっ!駄目だって言って悪かったっ!買ってやるからジュース!だから泣くんじゃねぇっ!隣の公園で一緒に飲もうっ!なっ!?」
不審者じゃないんです!
不審者はむしろこの少女なんですっ!
面倒事はごめんなんですっ!
わざとらしく説明口調で声を張り上げると兎に角この場を離れる為少女を抱き抱え、適当に作り上げた嘘を本当にするために隣の公園へと走った。
デパートに隣接しているこの公園は、隣には個人経営らしいこじんまりとしたスポーツ用品店があり、木々が程よく生い茂る静かな場所だった。
しがみつき泣く少女を片手で抱き上げながら、これまた嘘を本当にする為自販機でジュースを購入しベンチへと並んで腰を下ろした。
まだ完全には泣き止んではないが大分落ち着いたようで、今はしくしくと啜り泣いている。片手にジュースを持ち、もう片方の手は市ノ瀬の制服を掴んでいる。
仕草は、まぁ…可愛いと思わなくもないが、今はそんな事よりも困惑の方が強い。
「とりあえず、それ飲んで落ち着けよ」
やがて泣き疲れぼんやりとしていた少女だったが、しゃっくりを上げながらも小さく頷いた。
これなら少し話も出来るかもしれないと安堵しつつ、炭酸の抜ける音を立てながら自分用に買った緑色の缶ジュースを開け1口流し込む。
喉に走る炭酸の刺激は、困惑している気持ちを幾分か和らげてくれる気がした。
ため息とも深呼吸ともつかない息を吐き出してから少女へと視線を戻すと、いつの間にかこちらを見上げていた少女とバッチリと目があった。
また、泣き出してはたまらない。
「飲んで良いよ。喉渇いてるだろ?」
出来るだけ優しい声色で話しかけると、少女は水色のキャラクターが書かれた赤いラベルのペットボトルと市ノ瀬とに視線を行き来させた。
『えっ、もしかして毒とか疑われてるっ!?』
いや、こんな幼い子がそんな事を疑うわけない。どうしたのかと声をかけると少女は初めて口を開いた。
「あの、お兄ちゃん。これ、買ってくれてありがとうございます」
少女は市ノ瀬へと向け両手で持ったペットボトルを軽く持ち上げると、会釈と共に年齢を疑うくらいのキチンとしたお礼を口にした。
「えっ、あっ…はい。どういたしまして」
つられて敬語になりながらなんて出来た子供なんだろうとビビリつつ感心しているその間も、少女は一向にジュースを飲もうとはしない。
「…もしかして、それ嫌いか?」
ギャン泣きしていた少女に好みを聞けるはずもなく、これなら大抵の人は飲めるだろうと買ってしまった物だったので実は嫌いだという可能性は多いにある。
けれどそんな心配を他所に少女は大きく頭を横に振り、握りしめたペットボトルを暫し眺めた後ペットボトルを市ノ瀬へと差し出した。
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