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- 17章 -
- 初体験は同級生の妹 -
しおりを挟む「ごめんな紗千」
「え?」
部長の勧めで帰路に着いた鈴橋は、そのままの足で妹を保育園まで迎えに行き、夕飯を食べさせた所でいよいよ限界を迎えていた。
「兄ちゃんさ、少しだけ具合が悪くて…お部屋で休んでくるから。母さん達が帰ってくるまで、お家の中で良い子で待って居られるか?」
スプーンをくわえたまま鈴橋の顔をポカンと見つめた紗千は、兄の言葉を理解するとこの世の終わりのような表情へ変わった。
ガタンと音をたて椅子から飛び降りると鈴橋の足へとすがり付く。
「お兄ちゃんお体悪いのっ!? 大丈夫っ!? 紗千、なにかお手伝いするよっ!? やだよぉ!お兄ちゃん、しんっ…死んじゃヤだぁ!」
ゆさゆさと前後に揺らす紗千の力は普段ならばたいしたことはないのだけど、自分の体も満足に支えられない今の状態ではかなりきついものがあった。
なんとか踏ん張り転倒は避け、近くの椅子を支えにしゃがみ込むと紗千の頭を安心させるように撫でる。
「大丈夫、死んじゃわない。 少しだけ休めば、ちゃんと元気になるから」
「…本当?」
「紗千に嘘ついたことあるか?」
「……ない」
「だろ?」
それでも不安げにうっすらと涙を浮かべる妹ににこりと笑いかけてやれば、不安を拭いされない顔をしながさも小さくこくんと頷いた。
「食べ終わったら、食器はそのままにしてて大丈夫だから。遊んでやれなくてごめんな」
「…ううん、大丈夫だよ。紗千、ママ達が帰ってくるまで良い子にしてる。だからいっぱい休んで、早く元気になってね?」
と、しょぼしょぼと食べ途中のご飯へと向き直った。
不安げに眉にシワを寄せながら哀愁漂わせ黙々とご飯を食べる妹に申し訳なさを感じるが、無理して同じ空間に居て風邪を移すわけにもいかない。
自分の体調も限界を向かえている事は否定しようもなく、これ以上はなにも出来なさそうだ。
飲むタイプのゼリーを気合と共に喉へと流し込み常備薬をなんとか服用する。水のペットボトルと冷えピタだけを持って最後にもう一度妹の頭を撫でると、のそのそと自室へと入り布団へ潜り込んだ。
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