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- 17章 -
- 文化祭まで後1ヶ月弱 -
しおりを挟む鈴橋の両親が保育園を経営していて鈴橋も手伝いをしている事。 自分たちも何度か手伝いに行っているという事など手短に話して聞かせると、市ノ瀬は心底ホッとした表情を浮かべた。
「あぁ…そいうことか」
「そういうこと?」
「学君の子供だとでも思って驚きました?」
「…そんなわけないだろ。それにしても、あいつが子供相手に笑ってる姿とか全っ然想像できないんだが」
「でしょうねっw 大丈夫、最初は皆そうだからっ! 学校じゃ仏頂面な事が多いけど本当に楽しそうに遊ぶんだよ?見たらめっちゃ驚くと思うw」
「そう…なんか怖いもの見たさで見てみたい気もするな」
「機会があったら睦月も手伝わせてもらっては? あぁ、くれぐれも子供いじめちゃ駄目ですよ」
班乃のその忠告に市ノ瀬が少しばかり不満そうな表情を浮かべた。そう思われるのは分からなくもないが、流石に見くびりすぎだ。
「いや…いくら俺が短気だからって、流石に子供相手に本気になっていじめたりはしないって」
「…へー、自覚あったんだ」
ぽそりと聞こえた呟きに、キッ! と睨みを利かせた市ノ瀬から、わざとらしく嘲笑いを浮かべ顔を背けた安積の間に不穏な空気が流れる。
喧嘩するほど仲が良いともいうが疲れないものなのだろうか…と思うが、最初の頃を思えばこれ程ぶつかり合いながらも一緒に居られる関係となってくれたのは喜ばしいことだ。
「まぁまぁ2人とも落ち着いてください。喧嘩は駄目ですよ? それに僕が心配してるのはどちらかと言うと、子供達でなく睦月のほうです」
「「…どういう事?」」
「想像してみてくださいよ。 こちらに非がないとしても、もしなんらかで子供達を泣かせてしまったら…」
言われた通りに想像してみる。
自分達に非がないとして
なにかしらで子供を泣かせてしまったら…
子供が泣く時といえば
友達と喧嘩
うっかり転ぶ
迎えが遅くなったりで淋しくなって泣く。
その他もろもろ、その状況下で色々とあるだろうが…
泣いてる子供を想像する。
それを目の前にしてる自分を想像する。
自分の背後からそれを目撃した鈴橋を想像する。
「……………俺って信用ないんだなぁ」
「… 一体この短時間でどんな想像したんですか」
予想外の反応を示した安積に若干戸惑い問うと、今度は安積が人差し指を立て想像してみてよ、と前置いた。
「例えばね、がっくんが泣いてる子供とあっきとか綾が一緒居る所を目撃したとしてもなにかあったのかな?で済むと思うんだよね。 でもそれが俺だったら…問答無用で殴られそうだなぁーって」
「信用ねぇな」
「お前に言われたくねぇよ…」
「そんな事はない……と思います、けど…」
「あっきー、本心出てる本心っ!!」
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