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- 17章 -
- 文化祭まで後1ヶ月弱 -
しおりを挟む盛り上がっている。
かなり盛り上がっている。
お昼休みの屋上
男子高校生3人が
意気揚々と
花だとか
花言葉だとかで
盛り上がっている。
…というか
「なぁ、安積」
「なんだよ、睦月」
「明達が話してるのって…一般常識、じゃないよな」
「違うと思うよ」
「知らない俺って、別に変じゃないよな」
「安心して下さい。あってますよ。 あれはたまたま3人が同じジャンルの事に興味持って知ってただけ、と思う」
「…だよな。 なんか、初めてお前を身近に感じた気がする」
「初めてってのは絶妙に不満はあるけど…俺もお前が居て、なんか安心した」
盛り上がる3人と同じ円の中に居るはずなのに、安積と市ノ瀬は完全に蚊帳の外になっていた。
顔を見合わせれば、同じタイミングでため息を吐く。
「台本…いつ貰えるんだろうな」
「そうだなぁ…いつも1ヶ月前には台本貰ってるから、今週中には貰えるんじゃないかな」
「まぁ…頑張ろうな」
「うん。 頑張ろうな」
そんな空元気もないしゃべりをして盛り上がる3人をよそ目に、2人は空を見上げもう一度ため気を吐いた。
「さて、そろそろお昼休みも終わりますし、教室戻りましょうか」
「……うん」
「どうしました?なんだか安積も睦月も元気がない気が…大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫、気にしないでよ」
「ちょっと酔っただけ (メルヘンな話に…)」
「酔った?」
「まぁ、気にすんな」
「そう、ですか?」
結局3人は昼休みいっぱい使ってあれやこれやとメルヘンな話をし続け、ご飯も完食し飲み物も飲み干し、更に話にも入れない安積達はやることもなくただただ終始無言で聞いているだけの状態となっていた。
そりゃ、元気もなくなるというものだ。
「それにしても学、花好き過ぎるだろ…あんなにイキイキ話すところ初めて見たわ」
教室に向かう道すがら、少し後ろを歩く鈴橋と植野を軽く振り返った。
…まだ、話をしているようで、最早感心すらする。
「そう、ですね。 学君が花を育てるのは花が好きだからなのは間違いないのですけど、それよりも」
「それよりも?」
「それを喜んでくれる人がいるからだと思いますよ」
「喜ぶ?」
「…あぁ!そう言うことっ!確かに前嬉しそうに受け取ってもらえると嬉しいって言ってた!」
「なにあいつ? 女でもいるの!?」
「さぁ、それはどうでしょう?」
『睦月惜しいっ…!』
女ではないが意味合い的にはほぼ正解だ。
ただその対象はそれだけではなく、園の子供であったり家族であったりと様々だけれど。
「あぁ、子供?」
「…子供っ!?」
『彼女の次は子供??いや、でもまだ…』
結婚出来る年齢ではない。子供が居るとなるとかなりヤバめな案件なのではないかと1人考えこむ市ノ瀬をスルーし、安積と班乃の会話は続いていく。
「そうですね。 子供たちと一緒に花を育てるのは楽しいと言ってましたよ」
『たちっ!1人じゃねぇのかよっ!?』
「 綺麗に咲いた時の嬉しそうな顔が好きなんですって」
「なるほどっ!なんかめちゃがっくんぽいねっ! 」
「ちょっ!!…と、待った。 色々よく分からないんだけど…?」
「えっ、なにが?」
「…あぁ、そうか。 睦月はまだ知らないでしたね」
「なにを?」
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