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- 15章 -
-謝罪と始まり-
しおりを挟むなんとなく嫌な空気が流れる。
その流れは少し離れた所に居る
ある人物のせいなのは間違いない。
「……ねぇ、あっきー?」
「なんですか?」
部活が終わり帰りの準備をしている最中、他の人に聞こえないように問いかけてみた。
「睦月がものすっごい見てくるんだけど…」
「あぁ。睦月がなにか話したい事があるとかで…安積には少し待っていていただくか、もしくは先に帰ってしまっても」
「うーん…長くなりそう?」
「さぁ…どうでしょう。 なんの話かも分らないので、なんとも」
「そう…じゃぁ、先帰ってようかな」
「すいません」
「全然っ! 気にしないで!」
鞄を肩にかけて立ち上がり市ノ瀬へ視線を投げると、市ノ瀬もこちらを見ていたようでバッチリと目があってしまいなんとなく気まずさを感じる。
班乃に軽く手を振ると、スルーするのも感じ悪いかと一応市ノ瀬へも笑いかけてから教室を出た。
『なんか……なんだかなぁー…』
誰にも隠し事をしないで生きていくのは難しい。自分だって人に言えない事はある。
今回はたまたま、班乃には話せる事で自分には話せない内容だった。
ただそれだけなんだろうけど…
「釈然としないなぁ」
市ノ瀬が自分に話せない内容を班乃と共有する事に対してなのか。
市ノ瀬に邪険にされた事に対してなのか。
はたまた、市ノ瀬が自分を頼ってくれなかったという事に対してなのか。
どれに対してなのかは分らないのだけど…
そんな事を考えながら下駄箱で靴を履き替えて昇降口を出た。校門に向かう道すがら、なんとなく校舎を見上げてみる。
「…ぅん?」
なんとなく見上げたその先では、市ノ瀬が窓から顔を出し自分を見ている、ような気がした。するその後ろから顔を出した班乃も同じように自分の方を向いた。
『なに?なにかあった?』
足を止め見上げた2人は短く言葉を交わし、直ぐになにか言いたげに市ノ瀬が大きく手をあげた。何事かと思っていると、間を空けずに班乃からトークが飛んできたのだった。
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