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- 13章 -
- 事実は小説よりも奇なり -
しおりを挟む自分達がまだ学生だった頃、1度だけ祐子、月影の継母と実父と会ったことがあった。
その時の事を思い出すと今でも憤りを感じ、それをかき消すように長谷川は残っていたビールを一気に飲み干し追加オーダーをする。
「てっちゃんの言う通り、祐子さんとはあれから会ってないし話すらしてないよ」
「弟君とひー君が会ったって事は、おじさんとか祐子さんは知ってるの?」
「…知らないと思う。俺らが卒業してもう7年だし、流石に同じ高校に行ったからって会うなんて思ってないんじゃないかな?」
父親には会った事を伝えても問題はないだろう。問題なのは祐子さんのほうだ。
でも…
「まったく迷わなかったわけじゃないけどね。なんかもー、単純にさ?会いたいから会った。理由はそれだけだよ。聖と一緒に居たいから、その友達にもこんにちはーってしただけ!」
「だけって…びっくりしただろうなw」
「それはそれで面白かったよwそれにさ、もう子供じゃないし、祐子さんに上手く隠しながらやっていく事だって出来る。…まぁ、隠すつもりはないけど」
「え?」
「は?」
もうあの頃のように言いたい事も言えずに、ただ暴力に怯える子供ではない。
「だからってわざわざ言う事もないだろう」
「もしかしたら弟君が学園から連れ戻されるかもしれないよね」
「それにもしなにかあってお前がキレたら止められる自信ないし…」
「ごめんっててっちゃんw 大丈夫だよぉ、もうなんもないって。というか、聖の事がなくても会いに行こうって思ってたし」
「「なんで!?」」
「わぁ、息ぴったりw でも…」
信じたい。
最初の頃の優しい彼女を。
あんなことがあったのにも関わらず、実子に自分と同じ字をつけ大切に育ててくれた祐子さんを。
これは想像でしかないが、もしかしたらそれは…
「おい、ひー?」
「あっ、ごめんごめん、なに?」
「急に黙り込んじゃったから…なにかあった?」
「あぁ、なんでもないよ!心配ありがとっ! 大丈夫大丈夫っ、良い結果待っててよ!」
「…まぁ、お前がそういうなら。つっても、言い出したら聞かないからな、お前は…」
「確かにっwでもなにかあったら絶対連絡頂戴ね?」
「うん!」
“自分の役割”を果たした上で、謝罪をすると言うのは難しそうだけれど…。まぁ、なんとかなるだろう。
それから他愛ない話をしながら日付変更まで飲み、各々が日常へと帰っていった。
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