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- 13章 -
- 事実は小説よりも奇なり -
しおりを挟む入り口でウエイトレスと2~3言言葉を交わし案内されるままに個室へと入と、外装にたがわず中もなかなかのものだった。
長テーブルに4脚づつ、計8脚の椅子が向かい合って並んでおり、案内されるがまま学生達はその片方に並んで座る。メニューなど一切ないことから、すでにコースメニューか何かを頼んでいるんだろう。
「ねぇ、聖?」
「ん?」
それよりも、昼休みからずっとソワソワとしている鈴橋と植野をさすがに可哀想に感じていた安積が2人に変わり口を開いた。
「綾達に会わせたい人って? ってか、あとどれくらいで来るの?」
「んー、多分あと少しで来ると思うんだよね。それまでのお楽しみっ!!2人来るんだけど、その2人とも知ってる人だよ。しかもその片方とはかなり深い関わりがー」
丁度その時、会話を遮るようにノックの音が個室に響き、全員の視線がそちらへ向かうと同時にゆっくりと扉が開いた。
失礼いたしますと顔を出した店員が室内へ向け会釈をし、横を向くとそこに居るであろう“誰か”へともう1度会釈をする。
開け放ったドア前から道を開けるように体をずらし、揃えた5本の指先を室内へと指し向けた。
「どうぞ、こちらでございます」
「ありがとうございます」
「ったく、たまには予定立ててから動いて欲しいよ」
まだその姿は見えないが、聞こえてきた2人ぶんの声にバッと植野と鈴橋が顔を見合わせ、そしてすかさず扉へと視線を戻した。
「なぁ、植野」
「なに、がっくん」
「物凄く聞き覚えがある声がするんだけど」
「ね。でもなんであの人達が…」
「2人とも、確か静創学園母校だって言ってよな?」
「そーだけど…。でも月影さんと知り合いで親しいなんて想像できる?」
「………」
反らすことなく入り口を注視しながらひそひそと会話を交わす2人を驚かせた、その声の正体。
2人の視線に現れた、その人物はー…
「えっ!?」
「えっ!?あれ!? 弟君と愉快な仲間達ってー」
「綾雪っ! それに学君もっ!なんでこんな所にっ!?」
「えっ、待って待って!? ちょー吃驚!!ねぇねぇっ、どの子が弟君でどの子達が愉快な仲間なのっ!?」
「え?えっと…」
人気カフェの店長、秋山花音と、植野が“鉄兄”と慕っている人物、長谷川鉄司だった。
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