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- 13章 -
- 再会 (続) -
しおりを挟む「うん。なんていうかーまじめに語るのって苦手なんだよねぇ。上手く言いたいことまとまらないっていうか…ごめんねー、支離死滅だったかも。ってか、やっぱちょっと恥ずかしいね。うん」
「いやいや、謝んないでよ。全然支離死滅なんかじゃなかったよ!?本当、ずっとずっと誤りたくって、ずっとお礼言いたくて、ずっと捜してたからっ。会えてそれが出来ただけでも満足だって思ってたのに、こんなにいっぱい話できるなんて…本当感動」
「そうだね。…俺も嬉しかった、かな。というか、そもそも聖は小さかったから俺のことは覚えてないって思ってたし、父さんたちも俺のことをお前に言うとは思ってなかったから…ちゃんと覚えてくれてた事が凄く嬉しい。ありがと、聖」
どこかスッキリとした顔で前に座る安積へ…異母弟へと手を伸ばし、その柔らかそうな髪を撫でる。
ゆっくりと顔を上げると、目を細め包み込むような月影の笑顔が向けられた。
その優しげな顔は…
『変わらない…変わらないな。昔からずっと…』
月影の穏やかな声と表情に、安積の目には再び熱いものが込み上げる。
自分がしてしまった過ちが、この笑顔で少しだけ許された気がして。
会いたいのは自分だけかもと頭によぎってから、本当は会う事も怖かった。
だが、こうして“弟”として再会を果たし、受け入れてくれて、笑顔を向けてくれているという事がとてつもなく嬉しくて、両目から流れるしずくを止める事が出来ない。
驚いたような顔をした月影に何もいわず、その胸に飛びついた。
不意打ち的に飛びつかれ少しむせ込む月影だったが、自分の懐で子供のように泣き出す安積の姿に昔の光景を思いだす。
かくれんぼだと嘘をついて別れたあの日、出て行く自分から泣きじゃくって抱きついて離れなかった幼い異母弟を。
あの時は抱きしめてあげられなかった。
でも、今度は…
月影はそっと安積の背中に手を回した。
「おっ、俺っ…ずっと言いたかった事、本当はもう1個あるんだ」
「ん? なに?」
月影の背中に回していた腕にさらに力を込めた。
「みぃーつっけたっ!!」
泣いているため湧き上がる嗚咽に負けないように大きく息を吸い込んでから、力強く叫んだ。
13年越しのかくれんぼ。
その13年は埋めることは出来ない。
それでもそんな長い時間を埋める事はこれからー
これからは出来る。
時間はまだまだいっぱいあるのだから。
柔らかい風が吹き抜ける中、予鈴が鳴り響くと同時に、そんな風に負けないくらいの笑顔で、笑いあった。
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