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慰弦

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- 10章 -

- 現実と夢の指輪 -

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大事な事なので2回言います。
バリに、むしろ有無を言わせぬ声で言い放った班乃は、まだ周囲に居る他の生徒達に感ずかれないよう、視線は植野ではなく前を向いてなんでもないように口を開いた。


「綾雪は学君こと、好いてますよね。恋愛対象として」

「…へ?」


思いもよらぬ言葉に足を止めると、つられる様に班乃も足を止めた。

お互い見つめあいながら、暫し沈黙が流れる。


ぶれずに真っ直ぐ自分をみる視線。そんなにらめっこに負けたのは植野だった。誤魔化すように苦笑を浮かべると、班乃は微かに眉を寄せた。


「いやいや、ないないっ!だって俺もがっくんも男じゃん!なんつーの?一緒に居る時間が結構長いから、そりゃ愛情?みたいなのはあるけど、あくまで家族に対する愛情!みたいな?」

「成る程。学君にそう見られていて悩んでるんですね?」

「本当困まりもんだよねぇ…がっくんの鈍感っぷりと言ったら」

「…………」

「…………っ!」

「素直で馬鹿な子は嫌いじゃないですよ」

「……かっ、会長ぉ」


唐突に言い当てられた想いに焦った末の暴露。自分ですらどうしたいか分かりかねている現状で、誰かに吐露して鈴橋にまで迷惑をかけてしまうことは避けたかった。が、誤魔化すつもりが自分から肯定してしまうなんて…

『なんつー鮮やかな誘導尋問』


「で?もう学君には言ったんですか?」

「いや…まぁ…言えないでしょ」

「でしょうね。そもそも恋愛自体興味なさそうですし。それが同性からとなると」

「未知数すぎて怖いよねぇ……」


断られるだけならまだ良い。
いや、良くはないけれど、もしそうなってしまったら、鈴橋と、鈴橋の家族と共に過ごす時間もなくなってしまうかもしれない。

家族のようだと迎え入れてくれるあの空間を壊してしまうかもしれない。

それよりなにより、気持ち悪いと鈴橋から距離をとられ嫌われてしまったらー…

そんなのもっと嫌だ。


「あのさ、会長は、その…気持ち悪いとか思わないの?」

「なにがですか?」

「男同士とか…そーいぅの」

「別になんとも」

「…会長は寛大すぎると思う」

「すぎる、は言いすぎですよ。隠れてるだけでわりと居ますし」

「…え?」

「まぁ、どうでも良いですけどね。そんなこと。そもそも恋愛に興味ないですし…」

「ちょっと!?それは彼女に失礼なんじゃっ!?」

「…彼女が居るからですよ」

「あー…彼女以外は興味ないってことですねぇー」
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