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- 8章 -

- 休日 -

―――朝7時 鈴橋家―――


「お兄ちゃんおっはよーーっ！！」


元気の良い声と一緒に鈴橋を夢の世界から目覚めさせたのは、布団越しに突如襲いかかった衝撃だった。

無防備な所に飛び乗るなんてなんと言うバイオレンス。妹がお転婆なのか、園児が居る家庭では日常茶飯事なのか。少し気になるところだ…


「……おはようっ、紗千」


色々と飛び出しそうになるのをなんとかこらえ、布団の上の体重に挨拶をした。


「お兄ちゃん今日はお寝坊さん！」

「え？」


妹を乗せたままなんとか上半身をお越し繋がったままのコードを手繰り寄せると、携帯を手に取り時刻を確認する。


「…寝坊って」


休みの日、予定がない限りは前日の夜に夜更かしをする癖がある。

大抵はゲームをしたり漫画や深夜枠TV、インターネットに見いったりが一般的だろうが、鈴橋の場合は少し特殊で、勉強で夜更かしをしてしまうのである。

予習中、分からない事があると分かるまでとことん調べる。分かると楽しくなって次から次へと進んでいき、気がつけばもう朝陽が出そうな時間だったりもする。

勉強が楽しすぎて、勉強=娯楽の公式が出来上がって居るのである。

そして昨日も例外ではなかった。

今日は予定はあるが午後からだし…と朝の3時辺りまで勉強していたのだった。


「４時間睡眠…」

「よっちゃんすいみ…ん？」

「…おはよう、紗千」

「うんっ！おはよう！」


２回目の挨拶で会話を流し、とりあえず自分の上に乗っかったままの妹を床に下ろすと布団から出て大きく伸びをした。


「今ね今ね、ママがお弁当つくってるのっ！」

「お弁当？」

「うん！」


嬉しそうに返事をする妹に手を引かれるまま台所へと急ぐと、確かに母が鼻唄混じりでお弁当を作っていた。

それもピクニックへ行く時の大きめのお弁当箱にだ。