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- 8章 -
- 休日 -
しおりを挟むマッチョまではいかないが、程よく割れた腹筋。安積の視線はそこに釘付けとなった。
「あの…そこまで見られると、流石に少し恥ずかしいのですが…」
「……ずるい」
「はい?」
「腹筋割れてんのずるい」
「あぁ、貴方うっすらとも割れてなかったですしね」
衣装制作のためにサイズを計った時の事を思いだすと、傷も割れ目もなに1つない綺麗な腹部が脳裏に浮かぶ。
「好きですねぇ…腹筋。前も言いましたけど、そんな気にしなくても良いじゃないですか。太ってる訳でもガリガリな訳でもないですし」
「分かってないなぁあっきーは!腹筋の割れ目!男のロマン!」
「ロマン…はちょっと分かりませんが…」
それだけ言うと班乃は少し考える様なしぐさを見せた後、安積へと視線を向けた。
不思議そうな顔をする安積へと手を伸ばし当人が気にしているお腹に指を滑らす。見事に凹凸はなく、なににも突っ掛かる事もなく、それはするすると降りきった。
「ちょっと…あっきー?」
「いえ、少し考え事を…」
なされるがまま少し不機嫌な声を出す安積に構うことなく、軽く最後に腹部を2度叩いた。
「…なによ?」
「僕は…そう、ですね。安積みたいに小さくて華奢で可愛い子が、バッチリ腹筋割れてたりしたらちょっと嫌ですね」
「でも…」
「今の安積が1番安積らしいと思いますし、そのままの安積が僕は好きですよ。変わらずに居てくれたら嬉しいです。やはり無理せず自分らしくいるのが一番ですしね」
「あっきー…」
にっこりと笑う班乃。それをキラキラとした目で見つめる安積。
しばしば見つめあった二人だったが…
「ねぇあっきー?」
「なんです?」
「それは優しさ?それとも女役に対する要望?」
「85%後者ですね」
「………部活熱心だこと」
「誉め言葉として受け取っておきます」
そんなやり取りの後、班乃は朝食準備を、安積はまったりと着替えなどを済まし、午後は何をしようかと朝食についた。
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