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- 6章 -
- それぞれの大切な人 -
しおりを挟む「安積って意外と大人なんですね」
「え?それどういう意味?」
「たとえ幼稚園児相手でも “ お婿さん ” なんて言われたらもっと照れると思ってましたよ」
「……馬鹿にされてんの? 褒められてんの?」
「半分半分ですかね?」
「そうだよな」
「えっ!? がっくんもそう思ってんの?」
「や、お前が言ったんだろ? 只の憧れで大きくなったら忘れるって」
「あっ、あぁ…そっちの話ね」
まわりの会話が耳に入らないくらい、鈴橋にとっては大きな問題だったらしい。 “ そっちの話 ” の “ そっち ” の意味が分からないらしく不思議な顔をしているが、そんな珍しい鈴橋の姿を他の三人はほほえましく見ているのであった。
多少過保護な感じはするが、本当に妹を大切にしている姿に嫌な感情を沸かせる人はそういないだろう。
「さて、僕と安積はあっちなんで」
「あ、そっか。がっくん鞄持とうか?」
「あぁ、悪いな」
植野と鈴橋は帰り道が途中まで一緒な為、鞄を植野に預けると安積の背中から寝息をたてる妹をそっと移動させた。
「今日はお疲れさまでした」
「いえ、母さんも喜ぶと思うし、また機会があったらお願いします」
「もっちろん!」
「お前はいい…」
「なにそれっ!?」
冷たくあしらわれながら鈴橋たちと別れた安積と班乃は、駅へ向かって並び歩いていた。
「やー、本当に妹の事大事なんだねぇ~学校からでの変わりようにビックリだよw」
「でしょうねぇ。僕も最初は吃驚しましたよ。大事な存在の為ならあんなにも人格が変わるなんて」
学校では辛口でツンツンしててアルミ缶を平気で人に投げつけるような鈴橋が、可愛い妹に対しあんなになるなんて一体誰が想像できただろうか。
「でも楽しかったな!」
「モテモテでしたもんねw」
「初めて告白されちゃったっw」
そんな馬鹿げた話をしながら歩いていると、ふいに班乃の視界の片隅に見知った顔が写り込んだ。相手は赤信号で車に乗っているためこちらには気づいてないようだ。
信号が青に変わると車は直ぐに走り出し、遥か彼方へと消えてしまった。
「…学君は妹さん。綾雪はお母様。安積の大切な人って誰です?」
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