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- 6章 -
- それぞれの大切な人 -
しおりを挟むなんやかんやで始まったおままごと。お嫁さんと言うのは憧れときめく立ち位置のようで、すでに近所のお兄ちゃんと本当の兄ちゃんは蚊帳の外状態であった。
そんな蚊帳の外から妹の旦那、安積に終始睨みをきかせている実兄。その隣にいる植野は実に居たたまれない…
自他共に認めるインテリ鈴橋のステータスに、自他共に認めるシスコンも今日で追加されたに違いない。
さてこの状況どうしよう。触らぬ神に祟りなし。
4人が夫婦生活(仮)に夢中になっている今、むやみに鈴橋を刺激するよりもあえて蚊帳の外にいた方が安全ではないのだろうか?一応、鈴橋もまだ理性をきかせているようだし。
「はいあなた、あーん♪」
「お父さん、ネクタイ曲がってますわよ」
そんな植野等を他所に、楽しそうに繰り広げられているのは実にラブラブな夫婦生活である。
「しっかし、見てると面白いな」
「…なにが?」
「や、呼び方がさ。『あなた』とか『お父さん』とか。お家で各々なんだなぁーって」
「………」
「家はなんだったんだろうなぁ」
「……さぁ」
「俺だったら、お嫁さんには名前で読んでほしいなw」
「…ハート付きで、とか言うなよ。気持ち悪い」
「わかってんねぇー!なんならがっくんも俺の事、ハートつけて呼んでも良いんだよっ!?」
「断る」
「冷たい( ノД`)…」
しかし言葉こそは冷たいが、その声には覇気がない。
実を言うと、植野は物心つく前から母子家庭で育っている。それについて寂しいと思った事はない。母も自分を大切にしてくれているし、自分も母はとても大切な存在だ。荒れていた時期もあったが、それでも見捨てず一生懸命育ててくれた事に凄く感謝している。
母ともう一人、その時に凄くお世話になった人がふいに脳裏に浮かび、植野は1人ひっそりと苦笑した。
『そういえば最近会ってないや。元気にしてるかなぁ?後で会いに行こー』
そしてそんな植野の家庭事情を知っている鈴橋は、植野の何気ない一言にとても困惑していた。
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