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慰弦

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- 6章 -

- それぞれの大切な人 -

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「あれ?せーちゃんなんか窶れてない?」

「あっきーが激しくて」

「か、会長……(〃艸〃)」

「好きだなお前ら…」

「もー本当、覚え悪くて調教しがいがありますよ」


部活を終えた四人は並んで帰路についていた。あれから班乃の容赦ない暗記指導に、安積はテスト一夜漬けしたあとかと言うほど疲れ果てていた。


「俺、ちゃんと演劇出来るかな…」

「今からそれでどうするんですか。でもまぁ大丈夫。僕が居ますから」

「会長って結構苛めるの好きですよね」

「同じ部員としての愛情と言って欲しいところですね」

「でも、やっぱりせーちゃんは女役になったんだねぇ」

「やっぱりとか言うなし`д´」

「まぁ、適任じゃない?」

「酷っ!身長もやしっこで言うならがっくんだってそうじゃんっ」

「あっは、確かにっ!!」

「絞め殺すよ」

「す、すいませんっ」

「でも、身長が安積と大差なくても、もやしっ子とは言えない程には筋力ありますよね。学君は」


その言葉に安積は勢い良く、酷くショックを受けたような顔で鈴橋を振り返った。見た目的には殆んど変わらない。身長だってほぼ同じなのに、この評価の違いは頷けない。キッ睨むと、即座に苛立たしげに睨み返された。


「…なんだよ」

「なんでよぅっ!!」

「学君、見た目はか弱そうですし」

「……地味に傷つきました」

「あはは」

「がっくん家は保育園やってるから、その手伝いで良く子供達の相手してるんだよ。意外と体力使うんだよねぇ。子供相手にするのって」

「子供っ!?がっくんがっ!?意外すぎる…ってか、子供達と戯れてるのなんて想像出来ないんだけどっ!?」

「こう見えてがっくん、子供ちょー好きだからね」

「………好き」


植野の言葉を反復しじっと見詰める安積に、鈴橋の表情がグッと険しくなる。口をつぐみ微動だにせず、物言いたげにそわそわしている様子に鈴橋の苛立ちは絶好調だ。


「言いたい事があるならはっきり言え」

「見てみたい」

「あ?」

「見てみたいっ!がっくんが子供と戯れてるの!」
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