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慰弦

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- 4章 -

-だってか弱いんだもんw-

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「演劇部かぁ…」


地面に視線を落とし、なにやら考えている安積。まさしく考える人ポーズ。自分の時とは違い、真剣に考えている様子に若干寂しさを覚えた植野だが、それを他所に、鈴橋は天気の良すぎる空を見ながら


『水、あげに行った方が良いな』


などと考えていた。


「演劇部っていっぱい走る?」

「え?えーと、走ったりはしませんよ。発声練習で筋トレはしたりしますけど」


そんな二人の会話の途中、徐に立ち上がった鈴橋は、弁当箱を持って屋上出入り口へと向かった。


「あれ、がっくんどこ行くの?」

「水やり。天気良いから」


The フリーダム

きっと鈴橋なら多重ロックオン機能搭載済みで、犯罪級な水やりも可能だろう。


「本当学君、植物育てるの好きですよね。部活と言うより趣味感覚」

「なんか、将来盆栽とか趣味にしてそう…」

「確かに」


言い得て妙だ。
意見が一致した班乃と植野は、顔を見合せて笑った。その時、今の今まで考えていた安積がパッと顔をあげ、“ はいっ ” と元気良く手を上げた。

いきなりの元気な声に多少驚きつつ安積に視線を向けた班乃と植野。勿論、と言って良いのか。
鈴橋は一瞥すらせず屋上を後にした。


「俺演劇やってみたい!あっきー、放課後見学行って良い?」


思わずキラキラと吹き出しをつけたくなるくらいの笑顔の安積に、部員が増えるからか、それとも自分を名前で呼ぶ珍しい人物に好意を抱いたからか、班乃も嬉しそうに笑った。


「勿論です。今日の午後練一緒に行きましょう」

「そかそか。演劇部かぁ…」


そう言った植野は、安積をまじまじと上から下まで、そして最後に顔を見つめた。


「なっ、なに?」


品定めするような視線に、思わず班乃の後ろへと隠れ、植野に警戒の目を向けた。


「なぁなぁ、会長っ!せーちゃんって自分で言うだけあって小さいし華奢だし、女の子役に適任だと思わないっ?」

「はいっ!?」


いかにも名案を思いついたように言い放った植野に、思わずすっとんきょうな声を上げてしまった。

女の子役と言うことは当たり前に女装する事になるわけで、スカートはいたり化粧したり、女の子っぽい仕草とか諸々、やらなきゃならないわけで…

そりゃ、男子校の演劇部というなら女の子役をやる人も出てくるに決まっている。そんな当たり前の事は分かっているが、だからと言って好き好んでやりたいわけがない。
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