84 / 85
俺達と一緒にこいよ
しおりを挟む
とある昼下がり、俺がリビングのソファーでリラックスしていると、フォルがススっと寄ってきて俺の膝の上に腰かける。まるで自分の定位置であるかのような振る舞いだな。他の子達の視線が痛い。
そんな俺の落ち着かない心の内など一切構わずに、俺の首にぶら下がるように抱き着くフォル。俺に向けられている、みんなの抗議の視線が強くなる。いたたまれなくなった俺は、フォルに声を掛けた。
「おい、なんか用か?」
「ところで、リーゼロッテちゃんはいつまで放っておくつもりですか?」
「は? リーゼロッテはお前の策略で、ドラゴンになったから仕方なく殺したよ。その時に神剣ベイルスティングのソウルイーターのスキルで、魂を残らず喰い尽くして俺のレベルの足しになったんだ。天界からお前も見ていたんだろ?」
リーゼロッテとの戦いを思い出すと、今でも胸の奥がギュッと締め付けられるように軋む。ところがフォルは意外なことを口にした。
「ええ見てました。ですが、私がリーゼロッテちゃんに授けた『ニーベルンゲンの指輪』のエネルギー量が、あなたの剣のソウルイーターの性能の上限を超えていたために、吸収しきれなかったんですよ」
「……何を言っているんだ?」
「つまり、リーゼロッテちゃんの魂は、ソウルイーターに喰われずに残っているということです。さらに言うと、リーゼロッテちゃんのこの世界に対する執着は想像以上のようで、私が彼女に渡した神器、神剣エターナルシャインに魂が縛り付けられている状態なのですよ」
「え、マジで?」
「はい、マジです」
ってことは、復活させることも可能なのか? 俺の疑問に答えるようにフォルは続ける。
「ラプラスの記録の情報を使って、レイナちゃんがリーゼロッテちゃんの肉体を創り、魂を移し替えれば復活できるはずですよ」
リーゼロッテか。あいつも前世で報われない人生だった。出来ることなら助けてやりたい。
「ノエル、レイナ、力を貸してくれないか?」
レイナはいつものように「カイト様の仰せのままに」と俺に頭を下げる。でも、ノエルは「えー、また女増やすの?」とあからさまに不服そうだ。
「違うんだ。リーゼロッテは元は俺と同じ地球の人間だし、俺と同じように前世ではひどい人生だったんだ。せっかくこの世界に転生してきたのに、訳の分からない駄女神のせいで不本意な最期だったと思う」
「カイト、訳の分からない駄女神とは失礼ですよ」
フォルが頬を膨らまして、俺の腕を抓るが無視して続ける。
「だから、出来ることならこの世界で幸せになって欲しいんだ。別に俺の物にしたいだなんて思ってない」
「でも、肉体を創って復活させたら、カイトに惚れるよね」
マユはジト目で突っ込むので、俺は「それは、そうかもしれないね……」と視線を泳がせる。周囲から口々にため息や小言が聞こえるが、リーゼロッテを復活させる協力はしてもらえるようだ。
* * *
みんなで手分けしてダンジョンを巡って魔石をかき集めた。集めた魔石を使ってレイナは一晩でリーゼロッテの肉体を創ってくれた。
ノエルとレイナが創ってくれた肉体は、以前見たリーゼロッテと全く同じ姿だった。きちんと衣装も再現されていた。
髪はつやつやで、肌もきめ細かでスベスベだ。あ、まつ毛長いなぁ。唇もぷるんとして柔らかそうだ。この前は戦うのに必死で、じっくりと眺めるなんて出来なかったけど、こいつ、かなり美人だな。
「カイト、いつまでそんな舐めるような目つきで、リーゼロッテちゃんの体を眺めているつもりですか?」
フォルに冷やかされて我に返る。そうだ、ここで眺めていてもしょうがない。早く復活させて動くところを見たいな。
レイナがリーゼロッテの体を持ち、俺はフォルをお姫様抱っこしてみんなで出発した。
俺とリーゼロッテが戦った場所に到着した。未だ大地は引き裂かれ、激しい戦いの跡がそのまま残されている。意識を集中すると、神剣エターナルシャインのものと思われる波動を感じた。
波動をたどり歩くと、地中から波動を感じる。埋もれているのか。俺がライトボールを地面に向かって撃つと、地面に穴が開いて深い紫色の剣が姿を現した。
俺はそれを手に取って意識を集中する。
リーゼロッテの魂の波動を確かに感じる。彼女の魂はこの剣に強く結びついているのか。
「じゃあノエル、頼むよ」
「ん、分かった」
ノエルが儀式用の台座をアイテムボックスから出すと、レイナがその上にリーゼロッテの肉体を寝かせたので、俺もその隣に神剣エターナルシャインを置いた。
「それじゃ、始めるね」
ノエルは神剣エターナルシャインに手をかざすと、呪文の詠唱を始めた。すると、神剣エターナルシャインから眩い光が放たれて、リーゼロッテの肉体が光に包まれる。
しばらくして、光は収まった。上手くいったのか? 俺がリーゼロッテの肉体を眺めていると、目が開いた。
「ん、ここは……? 私は何を……」
俺が「おはよう、目が覚めた?」と声を掛けると、リーゼロッテは「あ、あんたは!!」と、よろけながら俺から距離を取ろうとする。
リーゼロッテは、俺の恋人たちに囲まれていることに気が付く。そして、その中にフォルの姿を見つけた。
「女神、フォルトゥナ様? どうして……」
「リーゼロッテちゃん、お久しぶりですね。色々あって私は人間になってしまいました。あなたに与えた使命はもう果たす必要はありません。これからは自由に生きてください」
「そんな! ……そんなことを突然言われても、私はこれからどうすればいいの?」
「なら、取りあえず俺達と一緒に来いよ。衣食住は保証するからさ」
「なんであんたなんかと一緒に行かなきゃいけないのよ!? 私とあんたは殺し合った敵同士でしょ!!」
「その使命を与えた女神が自由にしていいって言ってるし、そもそも今のこいつは神の力を失って人間になったんだ。もう俺達が殺し合う理由は無いと思うけど」
「でも……」
「俺はお前とも仲良くしたいと思ってるんだけどなぁ」
俺がリーゼロッテの目を見ながら手を差しだすと、彼女はサッと目を逸らす。そして、少し黙ってから口を開いた。
「あんたがそう言うなら、ついて行ってあげてもいいんだからね……!」
おぉ、これは俺のモテモテスキルが効いている! この反応が欲しかったんだよねー!
俺が軽く感激していると、ノエルがゴホンと咳払いをする。
「こんなところでいつまでも話してないで、さっさと屋敷に帰るよ!」
「あ、ああ、そうだな。リーゼロッテ、生き返ったばかりだから力をうまく使えないんじゃないか? 良かったら、俺がお姫様抱っこで屋敷に飛んでやろうか?」
「仕方ないわね! 抱っこされてあげるわ!」
そんなべたにデレるか? リーゼロッテの分かりやすい態度に、つい俺の口から笑みがこぼれる。するとノエルが語気を強める。
「カイト! 大量の魔石を使ってその子の体を創ったのを忘れたの? その子のレベルは優に200を超えている。飛ぶのなんて造作もないはずでしょ!?」
すると、リーゼロッテはわざとらしく声をあげる。
「あーん、魔力の操作が上手くいかないよー。なんでだろー」
おいおい、棒読みすぎるだろ……。周囲から湿った視線がリーゼロッテに集中する。このままじゃ埒が明かないので、俺はリーゼロッテを抱き上げて屋敷に向かって飛び立った。
俺の後を追うようにみんなも飛び立つ。ちなみにフォルはレイナに抱えられていた。
* * *
そして屋敷に到着。リビングにて、レイナが用意してくれた紅茶とお菓子を、みんなで囲んでいる。
俺やリーゼロッテがこの世界に召喚された本当の理由や、俺がこの世界てやってきたこと、それに女神を倒したことなどを説明した。
最初は戸惑った様子だったが、話を聞いているうちに事態を飲み込めたようだった。
「そうだったのね。頼れる人もいないし、しばらくあんたの世話になるわ。よろしく、カイト」
「ああ、よろしくな! リ―ゼロッテ」
「リーゼでいいわよ」
頬を染めて、やや俯いて手を差しだすリーゼ。俺はその手をとって握手を交わした。こいつ、やっぱり可愛いなぁ。
「じゃあリーゼ、俺が屋敷を案内するよ」
リーゼは素直に俺の後ろについてきた。空いている部屋をいくつか案内すると、彼女の気に入った部屋があったようだ。
「魔王城と比べるとたいしたこと無いけど、この部屋にしてあげるわ」
リーゼは顎を上げ気味で腕を組んでいる。はいはい。いちいちツンを入れなくてもいいですよー。だが可愛いから許す。
「必要な物があったら言ってくれ。大体なんでも買えるし、売っていないものでもレイナが作ってくれる」
「別に物なんていらないわよ」
リーゼはアイテムボックスから次々と家具を取り出す。
「お前もアイテムボックスを持っていたんっだっけ。それじゃ、あとは自由にしていいからな」
俺が部屋を出ようとすると、リーゼに腕を掴まれて呼び止められた。
「ちょっと、まちなさいよ」
「ん? どうかしたか?」
「……するんだけど」
「は?」
「だから、ムラムラするって言ってるの!!」
リーゼは顔を真っ赤にして視線を落としている。いつも思うが、俺のモテモテスキルは最高の神スキルだよな。俺はつい頬を緩めてしまう。
「な、なにニヤニヤ笑ってるのよ! 私がこんなことを言のがおかしいの!?」
「おかしくないよ。ただ嬉しいだけ」
俺はリーゼを抱き上げてベッドに運び、優しく寝かせる。するとリーゼは俺の首に手をまわして抱き着き体を密着させる。
俺がリーゼの唇に顔を近づけると、彼女の方から唇を押し付けてくる。さらにリーゼの舌が入り込んできた。一気に燃え上がった俺達は、そのまま体を重ね合った。
* * *
リーゼは俺の腕の中で、くたっとなって体を預けている。俺が頭を撫でてやると潤んだ目で俺の目をじっと見つめた。
「あんたに触れていると、なんでこんなに満たされた気持ちになるんだろう」
「そりゃ、俺が素敵だからじゃないのか?」
「どう見ても、おバカでクズなハーレム野郎なのに……」
なんて酷い言いようだ。別に隠しているわけでもないので、本当のことを言っておくか。
「……実は、この世界に転生した時、女の子にモテモテになる体質にしてもらったんだ。だから、俺が好きになった女の子は、強制的に俺に惚れるらしいよ」
「そっか、あんたは私のことが好きなのね」
リーゼはそう言って微笑むと、俺の胸に顔を埋めた。
しばらくして部屋を出ようとドアを開けると、部屋の前にみんなが集結していた。全員俺に湿った視線を送っている。ノエルが代表して、圧力を感じる笑みを浮かべながら俺に詰め寄った。
「屋敷の案内、長かったわね?」
俺は圧力に屈して半歩下がる。
「ちょっと熱が入ってしまって……」
「まぁ、いいよ。カイトだし。その代わり、その子だけに夢中になったら許さないからね!」
「分かってるって! ここにいるみんなの事、同じくらいに大切に想っているから!」
* * *
こうして異世界に転生した俺は、可愛い恋人達と幸せに暮らしている。
村娘、聖女、奴隷、公爵令嬢、勇者、メイド、元女神、元魔王。いろんな属性持ちの女の子達を堕として、俺のものにできるなんて前世じゃ考えられなかった。
でも、俺はこの世界でハーレムの夢を実現できた。今後の事は何も考えていないけど、これからもみんなと楽しく暮らしていきたいなぁ、と思うのだった。
そんな俺の落ち着かない心の内など一切構わずに、俺の首にぶら下がるように抱き着くフォル。俺に向けられている、みんなの抗議の視線が強くなる。いたたまれなくなった俺は、フォルに声を掛けた。
「おい、なんか用か?」
「ところで、リーゼロッテちゃんはいつまで放っておくつもりですか?」
「は? リーゼロッテはお前の策略で、ドラゴンになったから仕方なく殺したよ。その時に神剣ベイルスティングのソウルイーターのスキルで、魂を残らず喰い尽くして俺のレベルの足しになったんだ。天界からお前も見ていたんだろ?」
リーゼロッテとの戦いを思い出すと、今でも胸の奥がギュッと締め付けられるように軋む。ところがフォルは意外なことを口にした。
「ええ見てました。ですが、私がリーゼロッテちゃんに授けた『ニーベルンゲンの指輪』のエネルギー量が、あなたの剣のソウルイーターの性能の上限を超えていたために、吸収しきれなかったんですよ」
「……何を言っているんだ?」
「つまり、リーゼロッテちゃんの魂は、ソウルイーターに喰われずに残っているということです。さらに言うと、リーゼロッテちゃんのこの世界に対する執着は想像以上のようで、私が彼女に渡した神器、神剣エターナルシャインに魂が縛り付けられている状態なのですよ」
「え、マジで?」
「はい、マジです」
ってことは、復活させることも可能なのか? 俺の疑問に答えるようにフォルは続ける。
「ラプラスの記録の情報を使って、レイナちゃんがリーゼロッテちゃんの肉体を創り、魂を移し替えれば復活できるはずですよ」
リーゼロッテか。あいつも前世で報われない人生だった。出来ることなら助けてやりたい。
「ノエル、レイナ、力を貸してくれないか?」
レイナはいつものように「カイト様の仰せのままに」と俺に頭を下げる。でも、ノエルは「えー、また女増やすの?」とあからさまに不服そうだ。
「違うんだ。リーゼロッテは元は俺と同じ地球の人間だし、俺と同じように前世ではひどい人生だったんだ。せっかくこの世界に転生してきたのに、訳の分からない駄女神のせいで不本意な最期だったと思う」
「カイト、訳の分からない駄女神とは失礼ですよ」
フォルが頬を膨らまして、俺の腕を抓るが無視して続ける。
「だから、出来ることならこの世界で幸せになって欲しいんだ。別に俺の物にしたいだなんて思ってない」
「でも、肉体を創って復活させたら、カイトに惚れるよね」
マユはジト目で突っ込むので、俺は「それは、そうかもしれないね……」と視線を泳がせる。周囲から口々にため息や小言が聞こえるが、リーゼロッテを復活させる協力はしてもらえるようだ。
* * *
みんなで手分けしてダンジョンを巡って魔石をかき集めた。集めた魔石を使ってレイナは一晩でリーゼロッテの肉体を創ってくれた。
ノエルとレイナが創ってくれた肉体は、以前見たリーゼロッテと全く同じ姿だった。きちんと衣装も再現されていた。
髪はつやつやで、肌もきめ細かでスベスベだ。あ、まつ毛長いなぁ。唇もぷるんとして柔らかそうだ。この前は戦うのに必死で、じっくりと眺めるなんて出来なかったけど、こいつ、かなり美人だな。
「カイト、いつまでそんな舐めるような目つきで、リーゼロッテちゃんの体を眺めているつもりですか?」
フォルに冷やかされて我に返る。そうだ、ここで眺めていてもしょうがない。早く復活させて動くところを見たいな。
レイナがリーゼロッテの体を持ち、俺はフォルをお姫様抱っこしてみんなで出発した。
俺とリーゼロッテが戦った場所に到着した。未だ大地は引き裂かれ、激しい戦いの跡がそのまま残されている。意識を集中すると、神剣エターナルシャインのものと思われる波動を感じた。
波動をたどり歩くと、地中から波動を感じる。埋もれているのか。俺がライトボールを地面に向かって撃つと、地面に穴が開いて深い紫色の剣が姿を現した。
俺はそれを手に取って意識を集中する。
リーゼロッテの魂の波動を確かに感じる。彼女の魂はこの剣に強く結びついているのか。
「じゃあノエル、頼むよ」
「ん、分かった」
ノエルが儀式用の台座をアイテムボックスから出すと、レイナがその上にリーゼロッテの肉体を寝かせたので、俺もその隣に神剣エターナルシャインを置いた。
「それじゃ、始めるね」
ノエルは神剣エターナルシャインに手をかざすと、呪文の詠唱を始めた。すると、神剣エターナルシャインから眩い光が放たれて、リーゼロッテの肉体が光に包まれる。
しばらくして、光は収まった。上手くいったのか? 俺がリーゼロッテの肉体を眺めていると、目が開いた。
「ん、ここは……? 私は何を……」
俺が「おはよう、目が覚めた?」と声を掛けると、リーゼロッテは「あ、あんたは!!」と、よろけながら俺から距離を取ろうとする。
リーゼロッテは、俺の恋人たちに囲まれていることに気が付く。そして、その中にフォルの姿を見つけた。
「女神、フォルトゥナ様? どうして……」
「リーゼロッテちゃん、お久しぶりですね。色々あって私は人間になってしまいました。あなたに与えた使命はもう果たす必要はありません。これからは自由に生きてください」
「そんな! ……そんなことを突然言われても、私はこれからどうすればいいの?」
「なら、取りあえず俺達と一緒に来いよ。衣食住は保証するからさ」
「なんであんたなんかと一緒に行かなきゃいけないのよ!? 私とあんたは殺し合った敵同士でしょ!!」
「その使命を与えた女神が自由にしていいって言ってるし、そもそも今のこいつは神の力を失って人間になったんだ。もう俺達が殺し合う理由は無いと思うけど」
「でも……」
「俺はお前とも仲良くしたいと思ってるんだけどなぁ」
俺がリーゼロッテの目を見ながら手を差しだすと、彼女はサッと目を逸らす。そして、少し黙ってから口を開いた。
「あんたがそう言うなら、ついて行ってあげてもいいんだからね……!」
おぉ、これは俺のモテモテスキルが効いている! この反応が欲しかったんだよねー!
俺が軽く感激していると、ノエルがゴホンと咳払いをする。
「こんなところでいつまでも話してないで、さっさと屋敷に帰るよ!」
「あ、ああ、そうだな。リーゼロッテ、生き返ったばかりだから力をうまく使えないんじゃないか? 良かったら、俺がお姫様抱っこで屋敷に飛んでやろうか?」
「仕方ないわね! 抱っこされてあげるわ!」
そんなべたにデレるか? リーゼロッテの分かりやすい態度に、つい俺の口から笑みがこぼれる。するとノエルが語気を強める。
「カイト! 大量の魔石を使ってその子の体を創ったのを忘れたの? その子のレベルは優に200を超えている。飛ぶのなんて造作もないはずでしょ!?」
すると、リーゼロッテはわざとらしく声をあげる。
「あーん、魔力の操作が上手くいかないよー。なんでだろー」
おいおい、棒読みすぎるだろ……。周囲から湿った視線がリーゼロッテに集中する。このままじゃ埒が明かないので、俺はリーゼロッテを抱き上げて屋敷に向かって飛び立った。
俺の後を追うようにみんなも飛び立つ。ちなみにフォルはレイナに抱えられていた。
* * *
そして屋敷に到着。リビングにて、レイナが用意してくれた紅茶とお菓子を、みんなで囲んでいる。
俺やリーゼロッテがこの世界に召喚された本当の理由や、俺がこの世界てやってきたこと、それに女神を倒したことなどを説明した。
最初は戸惑った様子だったが、話を聞いているうちに事態を飲み込めたようだった。
「そうだったのね。頼れる人もいないし、しばらくあんたの世話になるわ。よろしく、カイト」
「ああ、よろしくな! リ―ゼロッテ」
「リーゼでいいわよ」
頬を染めて、やや俯いて手を差しだすリーゼ。俺はその手をとって握手を交わした。こいつ、やっぱり可愛いなぁ。
「じゃあリーゼ、俺が屋敷を案内するよ」
リーゼは素直に俺の後ろについてきた。空いている部屋をいくつか案内すると、彼女の気に入った部屋があったようだ。
「魔王城と比べるとたいしたこと無いけど、この部屋にしてあげるわ」
リーゼは顎を上げ気味で腕を組んでいる。はいはい。いちいちツンを入れなくてもいいですよー。だが可愛いから許す。
「必要な物があったら言ってくれ。大体なんでも買えるし、売っていないものでもレイナが作ってくれる」
「別に物なんていらないわよ」
リーゼはアイテムボックスから次々と家具を取り出す。
「お前もアイテムボックスを持っていたんっだっけ。それじゃ、あとは自由にしていいからな」
俺が部屋を出ようとすると、リーゼに腕を掴まれて呼び止められた。
「ちょっと、まちなさいよ」
「ん? どうかしたか?」
「……するんだけど」
「は?」
「だから、ムラムラするって言ってるの!!」
リーゼは顔を真っ赤にして視線を落としている。いつも思うが、俺のモテモテスキルは最高の神スキルだよな。俺はつい頬を緩めてしまう。
「な、なにニヤニヤ笑ってるのよ! 私がこんなことを言のがおかしいの!?」
「おかしくないよ。ただ嬉しいだけ」
俺はリーゼを抱き上げてベッドに運び、優しく寝かせる。するとリーゼは俺の首に手をまわして抱き着き体を密着させる。
俺がリーゼの唇に顔を近づけると、彼女の方から唇を押し付けてくる。さらにリーゼの舌が入り込んできた。一気に燃え上がった俺達は、そのまま体を重ね合った。
* * *
リーゼは俺の腕の中で、くたっとなって体を預けている。俺が頭を撫でてやると潤んだ目で俺の目をじっと見つめた。
「あんたに触れていると、なんでこんなに満たされた気持ちになるんだろう」
「そりゃ、俺が素敵だからじゃないのか?」
「どう見ても、おバカでクズなハーレム野郎なのに……」
なんて酷い言いようだ。別に隠しているわけでもないので、本当のことを言っておくか。
「……実は、この世界に転生した時、女の子にモテモテになる体質にしてもらったんだ。だから、俺が好きになった女の子は、強制的に俺に惚れるらしいよ」
「そっか、あんたは私のことが好きなのね」
リーゼはそう言って微笑むと、俺の胸に顔を埋めた。
しばらくして部屋を出ようとドアを開けると、部屋の前にみんなが集結していた。全員俺に湿った視線を送っている。ノエルが代表して、圧力を感じる笑みを浮かべながら俺に詰め寄った。
「屋敷の案内、長かったわね?」
俺は圧力に屈して半歩下がる。
「ちょっと熱が入ってしまって……」
「まぁ、いいよ。カイトだし。その代わり、その子だけに夢中になったら許さないからね!」
「分かってるって! ここにいるみんなの事、同じくらいに大切に想っているから!」
* * *
こうして異世界に転生した俺は、可愛い恋人達と幸せに暮らしている。
村娘、聖女、奴隷、公爵令嬢、勇者、メイド、元女神、元魔王。いろんな属性持ちの女の子達を堕として、俺のものにできるなんて前世じゃ考えられなかった。
でも、俺はこの世界でハーレムの夢を実現できた。今後の事は何も考えていないけど、これからもみんなと楽しく暮らしていきたいなぁ、と思うのだった。
21
お気に入りに追加
435
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
最強スキルで無双したからって、美女達によってこられても迷惑なだけなのだが……。冥府王は普通目指して今日も無双する
覧都
ファンタジー
男は四人の魔王を倒し力の回復と傷ついた体を治す為に魔法で眠りについた。
三十四年の後、完全回復をした男は、配下の大魔女マリーに眠りの世界から魔法により連れ戻される。
三十四年間ずっと見ていたの夢の中では、ノコと言う名前で貧相で虚弱体質のさえない日本人として生活していた。
目覚めた男はマリーに、このさえない男ノコに姿を変えてもらう。
それはノコに自分の世界で、人生を満喫してもらおうと思ったからだ。
この世界でノコは世界最強のスキルを持っていた。
同時に四人の魔王を倒せるほどのスキル<冥府の王>
このスキルはゾンビやゴーストを自由に使役するスキルであり、世界中をゾンビだらけに出来るスキルだ。
だがノコの目標はゾンビだらけにすることでは無い。
彼女いない歴イコール年齢のノコに普通の彼女を作ることであった。
だがノコに近づいて来るのは、大賢者やお姫様、ドラゴンなどの普通じゃない美女ばかりでした。
果たして普通の彼女など出来るのでしょうか。
普通で平凡な幸せな生活をしたいと思うノコに、そんな平凡な日々がやって来ないという物語です。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる