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女子校潜入任務(中編)

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 馬車に揺られること約一時間、俺達を乗せた馬車はエリューモ学園に到着した。

 3mはありそうな高い塀に囲まれた広大な敷地を持つ学園。厳重な警備の正門を通過して、馬車は校舎の前に止まった。

 馬車から降りるとそこには緑に囲まれた、いかにもお嬢様学校といった感じの建物があった。

「まずは生徒会長にあいさつに行きましょう。私が案内します」

「校長とか学園長とかじゃなくて、生徒会長?」

「今の私たちは、表向きには事件を解決しに来た騎士と冒険者では無くて、いち女生徒です。学園長たちは、騎士団の上層部とこの件の解決に向けて会談していますが、現場の我々と直接会う事はありません」
「我々が生徒に紛れて捜査することは、生徒会長のみに知らされているので、細かい打ち合わせは彼女と行います」

 レミリナに従って、俺とリンゼは校舎に入り案内されるままに進む。とある部屋の前でレミリナは立ち止まり、コン、コン、コンとドアをノックした。

 室内から「どうぞ」という声が聞こえ、レミリナはドアを開ける。

「失礼します」

 レミリナは部屋のドアを開き部屋に入る。俺とリンゼもそれに続いて部屋に入ると、会議室っぽく机と椅子が複数並べてあった。

 中には一人の美少女が立っており、俺達に会釈をする。するとレミリナはピシッと姿勢を正して左手を胸の前に持って行き、騎士っぽい敬礼ポーズをとった。

「生徒会長のカナローネさんですね? 私は今回の潜入捜査の任務にあたることになった、騎士のレミリナです。早速ですが本題に入らせていただきます」

 レミリナとカナローネさんが何やら打ち合わせをしているのを、俺はしばらくぼんやり聞き流していた。

 生徒会長は知的な雰囲気を漂わせるスレンダーな美人だ。カナローネさんかー、いいなぁ、とても良い。いや、もちろんリンゼの方が可愛いけどね。そんなことを考えていると、カナローネさんが立ち上がって、頭を下げる。

「どうか、犯人を捕まえてください」

「はい。お任せください」

 おっと、レミリナとカナローネさんの打ち合わせは終わったようだな。レミリナは再び敬礼すると、部屋から出て行ったので、俺とリンゼも軽く会釈して会議室から出た。

 会議室を出た俺達は、校舎の廊下を三人で歩いている。レミリナとリンゼは俺を挟むように両隣に歩いている。右を見るとリンゼの綺麗な横顔が目に入る。そして左を見ると凛々しい表情のレミリナの横顔がある。ふつくしい女の子が俺の両サイドに……。何なら俺自身もふつくしい女の子なわけだが。

 なんか体の芯から、グッと込み上げてくるものがある……。俺が幸せを噛み締めていると、レミリナが口を開いた。

「私たち三人は表向きは生徒会役員となり、この学園の敷地内全てに立ち入る許可を得ました。寮の部屋などプライベートな空間も含めて全てです」

 マジか? なんかワクワクしちゃうな! 

「しかし、この学園全てをしらみつぶしに捜査するのは無理があります。聞くところによると、バランセは非常に高度な探知系のスキルを持っているのですよね?」

 するとリンゼは、ドヤ顔で胸を張ってレミリナに答えた。

「そうなんだよ! バランセの直感力は物凄いんだから!」

 リンゼ、嬉しそうにしてくれるのは俺も嬉しいのだが、それでは説明になっていないぞ……。かといって俺も『ニュータイプ』を正確に解説できないけどな。

「私のスキルは正確には探知系じゃないけど、やるだけやってみるね」

 俺は集中し気配を探る。かなり多くの人がいるのを感じる。事前に聞いていた話だと約1000人の生徒と、約300人の教員やスタッフがいるらしい。そのほとんどが女性だという。なんて素晴らしい場所なんだろう。

 おっと、そんなことはどうでもよかった。うーん、これだけたくさんいるといると良く分からんな……。

「ゴメン、わからないなぁ……。外に出てみようか」

 校舎から出て、三人でグラウンドに降りて外周部を歩く。すると……。

 ――!? 嫌な感じがしたっ!

 その方向を見ても姿は見えないが、確実に俺に向けて視線を送っている奴がいる。確か姿も気配も消せるスキルって言っていたか。だが俺の事を物凄くエロい目で見て欲情しているのが感じられる。俺の隣にレミリナとリンゼがいるにもかかわらず、俺の体のみをガン見しているな。俺の容姿が奴の好みなのだろうか。

「レミリナ、いたよ。校舎の屋根の上からこっちを見てる。場所ははっきり分かるけど姿は見えない。どうする?」

「バランセの魔法で拘束できませんか?」

 拘束かー、なんかあったかなぁ? ウミへビ使ってみるか。しかし『ゼロ』の解答ではワイヤーを絡めた際に、ちょん切って即死させてしまうとのこと。

「ゴメン、殺すことなら可能だけど、拘束する魔法は持ってない……」

「そうですか、なら仕方ありませんね。もしもの時は殺してしまうのやむなしと思っていすが、まずは身柄の拘束を目標にしましょう」

「うん、了解。あと、多分次のターゲットは私だと思う」

 俺がそう言うと、リンゼは一気に不安そうな顔に変わった。

「それ大丈夫なの!? バランセがひどい目に遭わない?」

「リンゼも私の強さは知っているでしょ? それに、奴の感じはもうわかったから、どこにいてもすぐに分かる。襲ってきたところを取り押さえるね」

 レミリナは熱い眼差しで俺の顔をジッと見つめる。

「バランセは噂以上の実力の持ち主のようですね」

 噂ねぇ……。パサド村での一件で、あの村の人々や冒険者ギルドのスタッフが俺の噂を広げているのだろうか。どんな噂が流れているのか多少は興味はあるが。

「私の噂がどんなものかは知らないけど、レミリナの期待に応えられるように頑張るよ」

 するとレミリナは「ええ、頼りにしています」と軽く笑って見せた。



 * * *



 夜になったら俺が一人で出歩き、犯人が襲ってきたところを、俺が捕縛する作戦で行くことになった。なので、俺とリンゼは寮の空いている部屋で待機している。

 俺とリンゼは制服姿のまま、ベッドに並んで座って話している。レミリナはやることがあるらしく、部屋から出て行った。ここにきて、やっとリンゼと二人きりになれた。

 他愛もない話をしながらでも、俺はJK姿のリンゼにムラムラして限界が近かった。

「ねーリンゼ、少しだけキスしようよー」

「……少しだけだよ」

 やった! 俺はリンゼの唇に吸い付いた。

「ちゅ、んんん、はむっ、はぁ、んちゅ」

 舌を絡めているうちに、息が上がってきて、身体の芯がジンと熱くなってきた。俺はリンゼのスカートの中に手を滑り込ませて、パンツの上からクリを擦った。

「こらぁ、ちょっとって言ったのにー」

 文句を言うリンゼの唇を、塞ぐようにキスをする。

「んんん、むぐっ、ちゅぅぅ、ちゅくっ」

 リンゼの手も俺のスカートの中に入ってきて、パンツの上からクリを撫で始めた。ヤバイ、気持ちよくなってきた。でも、もう少しだけ……。

 その時、ドアをノックする音がした。あわてて俺とリンゼは離れる。そしてドアが開き、レミリナが部屋に入ってきた。

「おや、二人とも顔が赤いですね? どうかしましたか?」

「な、なんでもないよ! レミリナこそどうしたの?」

「夜まで暇でしょうから、差し入れを持ってきました。色々持ってきたので好きなように食べてください。私はこれから生徒会長と話があります。日が暮れる前には、またここに戻ります」

 レミリナはそう言い残して部屋から出て行った。

「はぁ、びっくりしたね」

 俺が深く息を吐くと、リンゼは頬を膨らます。

「ほんとだよ! 仕事中なんだからエッチなことは我慢してよね!」

「……はい」

 怒られてしまった。リンゼだって俺のクリを弄ったのに……。

「そんな残念そうな顔しないで。この仕事が終わったらいっぱいしようね」

 リンゼはそう言いながら俺の背中を撫でる。こうなったら、意地でも今夜中に犯人をとっ捕まえてやる! 俺は拳を握り締め、意気込むのだった。
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