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第七章 夜
朱い旗
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久二郎は、そのことを、春に短く言った。
「彰介が、隊を抜けた」
春は、久二郎の横顔を、じっと見ている。
「樋口さんが」
「参謀の伊東という人に、付いて行った。東大路三条の寺に詰め、先帝の御陵の衛士をするらしい」
「まぁ」
春は、驚いてみせた。
「とても、誉れなことですね」
春とて、久二郎の心中は、手に取るように分かる。だからこそ、当たり障りない言葉で、片付けてやった。ここで春が久二郎の悲しみをそのままの形で分かち合い、共に泣くことなど、久二郎は求めてはいまい。
喪失感を、理性で埋めようとしている。それを、春は、分かりすぎるほどに分かっていた。春にしてやれることは、久二郎の帰りを喜び、粗末な食事を暖めてやることだけである。
朝になると、久二郎は、何事もなかったかのように家を出た。春もにっこりと笑い、大刀を差し出してやった。春が笑うと、そこだけ花が咲いたようになる。決して、派手な花ではない。白い、小さな花。きっと、その名の通り、春の季節に咲くのであろう。
猪熊通り松原の家から、屯所に歩いてゆく。今日も天気は良い。屯所に行けば、隊務。今日という日は、昨日と一見変わらぬようであるが、少しずつ、今日がくる度、その形を変えてゆくものなのかもしれない。
屯所に行っても、彰介はいない。不在の伍長の穴を埋めるため、誰かを指名しなければならない。誰を指名するか、土方に、今日報告することになっている。
朝のうちに、わりあい古くから隊にいる真面目で勇敢な者に伍長にする旨を言い含め、土方にもそのことを報告した。汚れた帳面に、土方は久二郎の指名した者の名を書き留めた。新たな隊の編成をするのに、必要なのだろう。
「綾瀬」
部屋を出ようとするとき、背中に声が刺さった。
「ひでェ顔だぜ」
口の端を持ち上げ、土方は笑った。
「べつに、普通です」
帳面を畳み、立ち上がる。襖に手をかけたままの久二郎の前に歩いてきて、その肩に手を置いた。
「無理はするな」
「済みません」
「俺は、お前を、買っている。気を散じて、敵に斬られるようなことになってもらっては、困るのだ」
部屋に、白い、小さな蝶が一匹、迷い込んできた。それを、久二郎は眼で追い、そっと指で掴んだ。
「ご心配には、及びません」
蝶とはふわふわと流れるように飛ぶから、飛んでいるその羽を摘むなど、常人技ではない。土方は、眼を見張った。久二郎は、春から初夏に移らんとしている日差しを斜めに受けながら、そっと微笑むと、蝶を離してやった。蝶は、何事もなかったかのように少し部屋を飛び、空いている障子から外に出ていった。
土方が、それから久二郎に眼を戻したとき、久二郎の姿は既になく、襖が音もなく閉まるところであった。
それから数日して、事件があった。隊の中でも腕利きとして知られ、剣術指南役のうちの一人であった田中寅蔵という者が脱走した。
伊東のもとへ、走ったらしい。斎藤が知らせてきた。伊東のもとへ一度走ったはいいが、新撰組と無用の軋轢を避けるため、伊東が拒絶したらしい。行き場を無くした田中は、斬られるか、捕まり、屯所に連れ戻され、死ぬしかない。あるいは、追っ手を返り討ちにし、自らの道を拓くか。
白羽の矢が立ったのは、永倉。
「できるか」
土方が、永倉に、問うた。
「愚問ですな」
ゆっくりと、永倉が立ち上がる。その視界の端に、同じく立ち上がる者があった。
久二郎。
「綾瀬」
永倉が、驚いた様子で、座り直した。
「副長。そのお役目、私にお命じ下さい」
土方ほど隊士の心の機微を読むのが上手い男が、その眼から何の感情も読み取れなかった。
「構わぬが。田中は、相当な使い手だ。ここは、永倉君に行ってもらうのが、順当であると思ったが」
「私には、斬れぬと?」
「いや、お前なら、大丈夫だろうが」
土方は、久二郎の心の乱れを、案じている。久二郎には、それは無用であった。実際、土方が久二郎の眼から感情を読み取れなかったのは、久二郎が、ほんとうに何も考えていなかったからである。
逃げる者があれば、斬る。向かい合い、剣を向ける者があれば、斬る。それだけだった。
夕まで、監察から詳しい情報を仕入れ、陽が暮れる頃、久二郎は屯所を出た。寺町今出川、出町と呼ばれる地区の本満寺という寺に潜伏していることを、監察は既に突き止めていた。新撰組の監察というのは恐るべき情報網と偵察能力を持っており、現代に例えるならば米国のCIAやNSA、英国ならばMI6といったところであろうか。
西本願寺の正門に掲げられた、朱に染め抜いた誠の旗をくぐって、久二郎は堀川通りに出た。ふと、誠の旗は、以前からこれほどまでに朱かったか、と思った。
新撰組が、新撰組であるために、敵を、そして身内を斬って流された血。旗が朱いのが、単に、夕陽のせいというわけでないのであれば、この旗を染めたのは、それであるのかもしれない。
久二郎は、暮れゆく道を歩く。十一番組は、連れていない。一人で、田中を殺しにゆく。土方に命じられているのは、屯所に連れ戻すことである。しかし、田中は剣の達人である。連れ戻すつもりであれば、ひょっとすると、屯所に戻るのは久二郎だけで、それも、小さな木箱に納められた髪だけが戻ることになるかもしれぬ。
隊を脱すれば、死。伊東は、せいぜい肝を冷やせばよい。自らを頼り、拒んだ者は、これから、自分に斬られるのだ。なんなら、その首を、伊東らのいる城安寺に放り込んでやってもよいかもしれぬ。
それは、冗談。東山の緩やかな稜線が青と黒でもって縁取られてゆくのを正面に、久二郎は今出川通りをゆく。薩摩藩邸を左手に、御所を右手に。その御所が途切れるところが、寺町。左に折れる。
そこからすぐ、田中が隠れている本満寺がある。潜り戸を抜けて、境内を歩く。寺の者が暮らすであろう家屋の戸を、ぼそぼそと叩く。まだ、陽が暮れて間もないから、寺の者は起きている。出てきた寺の小僧らしい者が、きょとんとした顔で久二郎を見ている。
「ここに、田中という侍がいるな」
小僧の手蝋の光を顔に受けながら、久二郎は、戸の隙間から覗く闇を見つめている。
「どちらさんでっしゃろ」
「綾瀬が来た、と言ってもらえれば、分かるはずだ」
「へい」
小僧は、廊下を、ぱたぱたと歩いてゆく。その闇を、久二郎は見つめている。
待った。
田中は、かんたんに身支度を済ませ、あらわれた。
「よくここが分かりましたね、綾瀬君」
「監察の力を、あなたも知らぬわけではないでしょう」
「さて」
裸足のまま、境内に出た。
「おい」
田中は、小僧に言った。
「今から、死体が出る。経を上げる準備を、しておいてくれ」
どちらに、経は上げられるのか。灯籠の頼りない灯が、旧暦四月の緑色の風に揺れている。
「理由を、問わぬのですか」
「理由?」
「私が、隊を脱した理由を」
「御陵衛士に、ゆくつもりだったのでしょう。しかし、拒まれた」
「違う」
「どう、違うのです」
「私の志のためだ。近藤局長のもとでは、私の志は果たされぬ」
久二郎は、吹き出した。
「なにが、おかしい」
「それは、理由にはなりませんよ」
刀の柄に手をかけ、鯉口を切った。
「あなたの志を果たすのは、あなただ。伊東さんでも、近藤さんでもない」
すらりと、刀を抜く。田中も、応じて抜刀した。流石、新撰組の剣術指南役の一人であっただけに、堂々とした構えである。
「それに、お忘れですか、田中さん」
刃に、久二郎の顔が、映っている。
「志がどうこう、は関係ない。隊を脱すれば、死」
緑色の風を、境内の闇が溶かしている。木々の葉が、それを喜ぶように、音を立てている。
闇の世界が、形を成してゆく。
思えば、久二郎が剣を振るうのは、きまって夜が多い。その度、血の花が咲く。
少し、眼を閉じた。
ほんの僅かなその隙を、田中は見逃さなかった。
振りかぶる。
久二郎は、動かない。
田中は、斬ったと思った。しかし、足が、重い。
振り下ろした自らの刀の下に咄嗟に眼をやると、なにか、足に絡みついている。
びちゃびちゃと、水の音。
無惨に横たわる田中も、腰を抜かしている寺の小僧も見ず、久二郎は、潜り戸から出ていった。
歩いて、屯所に戻る。また、誠の旗の下をくぐる。出たときよりも、やはり朱い。
今ごろ、彰介は、何をしているだろうか。自由に動けるようになった伊東に感化され、倒幕の志を、着々と伸ばしているのか。あるいは、薩摩や長州などと交わる伊東の手助けを、嬉々としてこなしているのだろうか。
考えても、仕方のないことである。田中のかんたんな葬儀の手配を、久二郎はした。切腹の場合は、隊から葬儀を出す。斬罪の場合は、葬式はせぬ。田中は、久二郎に斬られたわけであるが、隊の中には、「脱走のかどにより、切腹。」と触れられた。
これまでも、久二郎は、身内にその刃を多く向けてきた。
この慶応三年という年は、それが多かったように思う。
六月に、次の標的が定まる。
「彰介が、隊を抜けた」
春は、久二郎の横顔を、じっと見ている。
「樋口さんが」
「参謀の伊東という人に、付いて行った。東大路三条の寺に詰め、先帝の御陵の衛士をするらしい」
「まぁ」
春は、驚いてみせた。
「とても、誉れなことですね」
春とて、久二郎の心中は、手に取るように分かる。だからこそ、当たり障りない言葉で、片付けてやった。ここで春が久二郎の悲しみをそのままの形で分かち合い、共に泣くことなど、久二郎は求めてはいまい。
喪失感を、理性で埋めようとしている。それを、春は、分かりすぎるほどに分かっていた。春にしてやれることは、久二郎の帰りを喜び、粗末な食事を暖めてやることだけである。
朝になると、久二郎は、何事もなかったかのように家を出た。春もにっこりと笑い、大刀を差し出してやった。春が笑うと、そこだけ花が咲いたようになる。決して、派手な花ではない。白い、小さな花。きっと、その名の通り、春の季節に咲くのであろう。
猪熊通り松原の家から、屯所に歩いてゆく。今日も天気は良い。屯所に行けば、隊務。今日という日は、昨日と一見変わらぬようであるが、少しずつ、今日がくる度、その形を変えてゆくものなのかもしれない。
屯所に行っても、彰介はいない。不在の伍長の穴を埋めるため、誰かを指名しなければならない。誰を指名するか、土方に、今日報告することになっている。
朝のうちに、わりあい古くから隊にいる真面目で勇敢な者に伍長にする旨を言い含め、土方にもそのことを報告した。汚れた帳面に、土方は久二郎の指名した者の名を書き留めた。新たな隊の編成をするのに、必要なのだろう。
「綾瀬」
部屋を出ようとするとき、背中に声が刺さった。
「ひでェ顔だぜ」
口の端を持ち上げ、土方は笑った。
「べつに、普通です」
帳面を畳み、立ち上がる。襖に手をかけたままの久二郎の前に歩いてきて、その肩に手を置いた。
「無理はするな」
「済みません」
「俺は、お前を、買っている。気を散じて、敵に斬られるようなことになってもらっては、困るのだ」
部屋に、白い、小さな蝶が一匹、迷い込んできた。それを、久二郎は眼で追い、そっと指で掴んだ。
「ご心配には、及びません」
蝶とはふわふわと流れるように飛ぶから、飛んでいるその羽を摘むなど、常人技ではない。土方は、眼を見張った。久二郎は、春から初夏に移らんとしている日差しを斜めに受けながら、そっと微笑むと、蝶を離してやった。蝶は、何事もなかったかのように少し部屋を飛び、空いている障子から外に出ていった。
土方が、それから久二郎に眼を戻したとき、久二郎の姿は既になく、襖が音もなく閉まるところであった。
それから数日して、事件があった。隊の中でも腕利きとして知られ、剣術指南役のうちの一人であった田中寅蔵という者が脱走した。
伊東のもとへ、走ったらしい。斎藤が知らせてきた。伊東のもとへ一度走ったはいいが、新撰組と無用の軋轢を避けるため、伊東が拒絶したらしい。行き場を無くした田中は、斬られるか、捕まり、屯所に連れ戻され、死ぬしかない。あるいは、追っ手を返り討ちにし、自らの道を拓くか。
白羽の矢が立ったのは、永倉。
「できるか」
土方が、永倉に、問うた。
「愚問ですな」
ゆっくりと、永倉が立ち上がる。その視界の端に、同じく立ち上がる者があった。
久二郎。
「綾瀬」
永倉が、驚いた様子で、座り直した。
「副長。そのお役目、私にお命じ下さい」
土方ほど隊士の心の機微を読むのが上手い男が、その眼から何の感情も読み取れなかった。
「構わぬが。田中は、相当な使い手だ。ここは、永倉君に行ってもらうのが、順当であると思ったが」
「私には、斬れぬと?」
「いや、お前なら、大丈夫だろうが」
土方は、久二郎の心の乱れを、案じている。久二郎には、それは無用であった。実際、土方が久二郎の眼から感情を読み取れなかったのは、久二郎が、ほんとうに何も考えていなかったからである。
逃げる者があれば、斬る。向かい合い、剣を向ける者があれば、斬る。それだけだった。
夕まで、監察から詳しい情報を仕入れ、陽が暮れる頃、久二郎は屯所を出た。寺町今出川、出町と呼ばれる地区の本満寺という寺に潜伏していることを、監察は既に突き止めていた。新撰組の監察というのは恐るべき情報網と偵察能力を持っており、現代に例えるならば米国のCIAやNSA、英国ならばMI6といったところであろうか。
西本願寺の正門に掲げられた、朱に染め抜いた誠の旗をくぐって、久二郎は堀川通りに出た。ふと、誠の旗は、以前からこれほどまでに朱かったか、と思った。
新撰組が、新撰組であるために、敵を、そして身内を斬って流された血。旗が朱いのが、単に、夕陽のせいというわけでないのであれば、この旗を染めたのは、それであるのかもしれない。
久二郎は、暮れゆく道を歩く。十一番組は、連れていない。一人で、田中を殺しにゆく。土方に命じられているのは、屯所に連れ戻すことである。しかし、田中は剣の達人である。連れ戻すつもりであれば、ひょっとすると、屯所に戻るのは久二郎だけで、それも、小さな木箱に納められた髪だけが戻ることになるかもしれぬ。
隊を脱すれば、死。伊東は、せいぜい肝を冷やせばよい。自らを頼り、拒んだ者は、これから、自分に斬られるのだ。なんなら、その首を、伊東らのいる城安寺に放り込んでやってもよいかもしれぬ。
それは、冗談。東山の緩やかな稜線が青と黒でもって縁取られてゆくのを正面に、久二郎は今出川通りをゆく。薩摩藩邸を左手に、御所を右手に。その御所が途切れるところが、寺町。左に折れる。
そこからすぐ、田中が隠れている本満寺がある。潜り戸を抜けて、境内を歩く。寺の者が暮らすであろう家屋の戸を、ぼそぼそと叩く。まだ、陽が暮れて間もないから、寺の者は起きている。出てきた寺の小僧らしい者が、きょとんとした顔で久二郎を見ている。
「ここに、田中という侍がいるな」
小僧の手蝋の光を顔に受けながら、久二郎は、戸の隙間から覗く闇を見つめている。
「どちらさんでっしゃろ」
「綾瀬が来た、と言ってもらえれば、分かるはずだ」
「へい」
小僧は、廊下を、ぱたぱたと歩いてゆく。その闇を、久二郎は見つめている。
待った。
田中は、かんたんに身支度を済ませ、あらわれた。
「よくここが分かりましたね、綾瀬君」
「監察の力を、あなたも知らぬわけではないでしょう」
「さて」
裸足のまま、境内に出た。
「おい」
田中は、小僧に言った。
「今から、死体が出る。経を上げる準備を、しておいてくれ」
どちらに、経は上げられるのか。灯籠の頼りない灯が、旧暦四月の緑色の風に揺れている。
「理由を、問わぬのですか」
「理由?」
「私が、隊を脱した理由を」
「御陵衛士に、ゆくつもりだったのでしょう。しかし、拒まれた」
「違う」
「どう、違うのです」
「私の志のためだ。近藤局長のもとでは、私の志は果たされぬ」
久二郎は、吹き出した。
「なにが、おかしい」
「それは、理由にはなりませんよ」
刀の柄に手をかけ、鯉口を切った。
「あなたの志を果たすのは、あなただ。伊東さんでも、近藤さんでもない」
すらりと、刀を抜く。田中も、応じて抜刀した。流石、新撰組の剣術指南役の一人であっただけに、堂々とした構えである。
「それに、お忘れですか、田中さん」
刃に、久二郎の顔が、映っている。
「志がどうこう、は関係ない。隊を脱すれば、死」
緑色の風を、境内の闇が溶かしている。木々の葉が、それを喜ぶように、音を立てている。
闇の世界が、形を成してゆく。
思えば、久二郎が剣を振るうのは、きまって夜が多い。その度、血の花が咲く。
少し、眼を閉じた。
ほんの僅かなその隙を、田中は見逃さなかった。
振りかぶる。
久二郎は、動かない。
田中は、斬ったと思った。しかし、足が、重い。
振り下ろした自らの刀の下に咄嗟に眼をやると、なにか、足に絡みついている。
びちゃびちゃと、水の音。
無惨に横たわる田中も、腰を抜かしている寺の小僧も見ず、久二郎は、潜り戸から出ていった。
歩いて、屯所に戻る。また、誠の旗の下をくぐる。出たときよりも、やはり朱い。
今ごろ、彰介は、何をしているだろうか。自由に動けるようになった伊東に感化され、倒幕の志を、着々と伸ばしているのか。あるいは、薩摩や長州などと交わる伊東の手助けを、嬉々としてこなしているのだろうか。
考えても、仕方のないことである。田中のかんたんな葬儀の手配を、久二郎はした。切腹の場合は、隊から葬儀を出す。斬罪の場合は、葬式はせぬ。田中は、久二郎に斬られたわけであるが、隊の中には、「脱走のかどにより、切腹。」と触れられた。
これまでも、久二郎は、身内にその刃を多く向けてきた。
この慶応三年という年は、それが多かったように思う。
六月に、次の標的が定まる。
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