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6章 三学期。
225.カーディガン
しおりを挟む前までのあらすじ…
ちょっと情緒不安定な母親に悩まされていた澪、中学1年生の時に両親が事故で亡くなってしまう。
その現場を目の前で見ていてすごくトラウマになる。
体調を崩してぐったりしているところに従兄弟の春樹が両親代わりとして家に住み込みで面倒を見てくれるようになった。
ようやく落ち着いてきた…と思ったら春樹が学校へ外出中の深夜に変態不審者が入ってきた。
「腕欲しい」「やめてください」
その後めちゃくちゃ傷付けられた。
立て続きにトラウマありすぎてメンヘラ化した澪。夢に事故当時の姿の親が出てきて病んでる澪に春樹が深く眠れるように強力な睡眠薬を飲ませ始めた。
周りからの助けもあってなんとか学校に復帰したけど腕の傷を見られて「気持ち悪い」と言われてメンヘラ悪化。
その後時間を経て回復していき、無事中学を卒業することが出来た。
現在に戻ります!
ーーー
「………あのさ優馬」
さっきからずっと、
「もうそろそろ離れてくれない………?」
ずっと抱き締められてる。
その間優馬は俯いて何も話さなかった。
「何分経ったと思ってるの、離れて、邪魔、暑い」
もう話し終えてから結構時間が経った。
離れて欲しい、けど力の差もあって自分じゃどうにも出来ない。
すると……ようやく話し出した。
「なんか……辛いけど、嬉しいっていうか」
相変わらず抱きついて俯いたまま。表情を確認することは出来ない。
「………」
「話してくれたの、素直に嬉しかった。内容は辛いけど……でも、信用してくれたのかなって」
信用した。
そう言われれば、そうなのかもしれないけど。
(なんか………言われると照れくさい)
………というか、
「分かった…分かったから離れて、暑いよ」
「暑くなってカーディガン脱いでもらうのが狙いです」
「変態…!!」
「なんてね」とようやく離れた優馬は少し眉を下げて笑ってた。
「カーディガン脱いだら、傷跡バレるから」
「バレていいよ、ていうかバラして」
(それこっちに決定権ないじゃん……)
「………絶対気持ち悪いって言う」
「言わない。好きな人のどんなものも姿も愛せる自信あるし」ドヤ
………
「あ、その引くようなジト目やめて興奮する」
「さっきから気持ち悪いな………、
………いいの?ほんとに」
頷いて欲しくないような頷いて欲しいような、
何か考える暇もなくすぐ、優馬は頷いた。
「うん……勿論。」
...
ボタンを外す指が緊張して痺れてくる。
1個1個外していって、開いたカーディガンの前。
「い……、イキマスヨ? 」
「めっちゃ緊張してる……うん」
カチコチしながらカーディガンを脱いだ。
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