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2章 夏休み。
102.友達以上
しおりを挟む河川沿いに行けばいるかもしれないと思って、優馬とそこまで向かった。
………でも、
「いないね……、人も沢山いて見つけるの難しいし……………」
もうすぐ花火が始まるから、河川沿いは人でごった返していた。
「困ったな……今日は携帯も持ってきてないし………」
僕も充電するのを忘れて持ってこなかった。
よい子のみなさんはお祭りには連絡機器を持って行きましょう………
その時だった。
「………あ、……!」
空を眺めていると、大きな音と共に……朱色と赤色の花火が、空に浮かんだ。
「花火始まった…!」
「もういっそ俺達2人で見ちゃおうか、どうせ見つかんないし………」
ーーー
花火はすごく綺麗だった。
いろんな形があって、暗い夜空に色とりどりの光が浮かんだ。
「すごい……すごいね、優馬…!」
「う、うん……!」
珍しく無邪気にはしゃいでしまい、そんな僕の後ろで優馬も少しだけ、笑ってた。
「もっと前来なよ、綺麗…だよ?」
「ううん!俺はここからの方が、ずっと綺麗に見えるから……!」
……………?
何でだろう。
(花火をバックに嫁が今日も可愛い………ッ)
ーーー
(李世side)
「………真冬」
もう少しで花火が始まる。
目的地だった高台について、とりあえずベンチがあったから腰掛けて休んでいた。
「……?」
「ふふ、なんでもないっ」
なんとなく呼んでみただけ、ってやつ。
短気な真冬には不機嫌そうな顔をされたけど、気にしない。
「………用がないなら、呼ばないで」
「…えーじゃあ……適当に用作るね、」
真冬の扱いにはもう慣れた。
…………あ、そうだ。
「じゃあ…………ボクと結婚しよ?」
考えてたら咄嗟に優馬先輩が浮かんだ。
「…………は?」
「優馬先輩の口癖っ、ふふ…ときめいた?」
「……全く」
今日もいいドライ具合ですね…………
「でも、ボクは……そんな関係も、悪くないとは思うけどなぁ」
また……何言ってるのって怒られるだろうな。
……
………
「真冬?」
返事がない。
不思議に思って隣を見ると、
「…………え"…?!」
「……けほ、けほ………ッ」
なんでこのタイミングで…………って思うくらいバッドタイミングで、こそこそ食べていたお菓子を喉に詰めてむせていた。
「ちょ……もう、馬鹿………!」
本当に手が焼ける……!!
背中をさすろうと手を伸ばした時、
「わっ…!!」
花火が………いきなり大きな音が、耳をつんざいた。
その拍子で、体制が崩れた。
「………」
「…………あ……えと…………」
神様……
(どうしてこのタイミングでBL展開になるんですか…………)
「………邪魔…」
「ゴメンナサイ……」
つい押し倒してしまって、ふたりきりだと途端に恥ずかしくなってすぐに離れた。
(………あれ、真冬……意外と簡単に押し倒せた)
力がないのは分かってたけど………こんなに力の差……あったっけ………
顔が………あつい……………
「………ねぇ、真冬……」
「……?」
真冬も体制を整えて、また隣合わせで真ん中にコンビニ袋を置いて、座った。
「真冬は………こういうの、なんとも思わないの……?」
「………」
首を横に振った。
「そ、そうなんだ………」
………どうしよ。
変に意識して、会話が続かない。
「……は…花火、綺麗だね」
「……」コクン
……………
「えと……真冬決めた?進路」
「………」コクン
「それ美味しい?」
「……」コクン
「……ボクのこと、恋愛的に好き?」
「……」コク…
「ッ………!!?」ガタン
「あはは……!」
段々……大丈夫になってきたかも。
真冬を騙して遊んでいるうちに、だんだん冷静になってきた。
「………嫌い…李世なんか、大っ嫌い」
「素直じゃない子は嫌われちゃうよ~?」
ほんと、かわいいなぁ……………
ーーー
(未来斗side)
「………あ……花火」
歩いている間に、花火がはじまってしまった。
(1人花火か……寂しい)
結局見つけれなかった。
俯いて、地面を見る。
(どうせなら………あの人だけとでも)
……………そう心の中で呟いた、次の瞬間……
「み………………未来斗…!!」
「………!!海斗!!?」
人混みの中から、焦った様子の海斗が………俺のところに駆け寄ってきた。
「………わぁっ」
直前で転んだ拍子でぽすん、と俺に飛びついてきて、しかもなんかいい匂いした。
「………はぁ……良かった……………」
「海斗……他の皆は?」
確か……はぐれる前には郁人も隣にいたはず。
もしかして全員迷子になったのかと思っていると、
「郁人と莉音は先に河川沿いに行くように言ったから。……俺は………その」
「……?」
途端にもじもじしはじめて、
「せ…せっかく楽しみにしてた花火、えと……し、親友と見たかったから………」
………………!
「親友……!!?」
「っ…聞き返すな!!」
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