ゆうみお

あまみや。旧

文字の大きさ
上 下
31 / 260
1章 一学期。

27.自己紹介

しおりを挟む

(優馬side)

………やばい。

あと10分で待ち合わせ時間だと言うのに、最悪な状況におちいってしまった。




さっき、道で転んだ女の子の飲み物の中身がかかって、びしょ濡れになってしまった……


「家が近い」なんて言っちゃったけど、結構遠いし………



どうすればいいんだ………




「あ、優馬!」
「…!」


声がして、振り返った。


「……!未来斗!海斗!」








ーーーーー

(澪side)

皆、待ち合わせまでに来れるかな……

莉音が飲み物を買いに行って、郁人と僕だけが待ち合わせ場所にいる。
けど……

あと待ち合わせ時間まで5分くらいなのに、まだ誰も来ない。


優馬も、未来斗も、海斗も………



それに、莉音…も中々帰ってこない。


どうしちゃったんだろ………





「ただいま…!」
「!莉音……遅かったね。」
「ごめん……色々あって、服も汚れたし最悪………」

見ると、確かに少し汚れている。
フリル…?がついた白くて短い綺麗なスカートは少し砂がついていて、上に着ていたピンクのセーターも、若干糸がほつれていた。
タイツは破れてはないけど……大丈夫、かな。


ていうか、ほんとにこの人男なんだ……

女の子にしか見えないよ………



「まぁ……莉音は澪くらい華奢だし身長も小さいし、顔も可愛いから男に見えないよね。」

今の、心の声だったんだけど………

郁人は、心が読めるのかな。






ーーー


そして、30分後…


「おまたせー!ごめん!遅れた!」
「い、色々あってだな…ゼェ…悪かった……ハァ」


未来斗と海斗が来て、その次に優馬も走ってきた。


未来斗は元気そうに笑ってたけど、後ろで未来斗のパーカーの裾を掴みながらぜぇぜぇ言ってる海斗は多分、未来斗のペースに合わせて必死に裾を掴みながら走ったんだろうけど、結果死にかけてる、って感じかな……

優馬は、自分のペースで来たのかな、息も切れてないし………

あ、ていうか優馬……珍しくパーカー着てる。


ふと莉音を見ると、何やら驚いた顔で優馬を見ていた。
そして優馬も莉音を見て、ギョッとしていた。




「「さっきの……!!」」





え?何?知り合い?






「ぁ……あ、えぅ……さ、さっきはすいませんでした!!」


すると、莉音が急に優馬に謝った。
周りは訳が分からない感じで見ているけど、海斗は何か察しているようにも見えた。


「あ、あの…まさか澪と桜木の友達だともしらじゅ…!!」

噛んでる………


「お、俺こそ!!だ、大丈夫…だった?」
優馬が珍しく人を気にかけている……!?
少し驚いた。


「は、はい!き、着替えてくるの早いですね……!」

……着替えてくる?


すると、未来斗がようやく察した、みたいな雰囲気を醸し出した。


「なるほど!優馬がずぶ濡れだったのはこの美少女となにかあって、それでずぶ濡れだったんだな!!」


馬鹿なりの推測……頑張った、ね。

優馬が説明した。

「じ、実はさっきこの子が転んで、持ってた飲み物が俺にかかって……みたいな?」

すると海斗が、
「あぁ…俺達が通りかかった時、優馬が濡れていて、そこから一番近かった未来斗の家で着替えを借りたって、事か。」


なるほど……


だからこんなに時間、かかってたんだ。

それに、莉音が少し汚れているわけも分かった。

「いやー、髪乾かすの大変だったわ……」
「ぴぇ!?ご、ごめんなさい…!!」

あ、いつものクズ優馬だ。


「まぁ……でも肝試しは夜だから、夜になるまで色んなお店回ろーよ、僕タピオカ飲みたい!」


JKかよ…

「郁人がタピオカ……!?なんか、エロいな!」
「み、未来斗…!?急にそういう事言うなよ…!!」

よく聞こえなかったけど、何やらNGワードを言っちゃったらしい。
海斗が全力で止めてた。

「でも、なんか飲んでみたい気はするよな……行ってみようぜ…!」

優馬が賛成すると、莉音、僕…って、皆が賛成したので、とりあえず行く事に。


「あ……その前に、自己紹介まだだった…ですね……俺、宝条海斗っていいます…!!」

海斗は女子の前でキョドるタイプかな。

まぁ、女子じゃないんだけど……

「!ヘタレ金持ちさん……?」
「は?」

誰が吹き込んだんだろう………

「い、いえ!ボクは莉音っていいます…!あとボク…男です。」
「……………えっ…!?」

割と普通の反応だった。
つまらないな……


「女装男子ってやつだな!可愛い!俺は鳳未来斗!気軽に名前で呼んでくれていいぞ!」

未来斗は、ほんとに気さくっていうか……馴染みやすいよね。
八重歯がチラついた猫口が可愛い。

「あ…イキリ、腐男子さん…?」
「え?」
「な、なんでもないです!!よろしく、未来斗。」
「お、おぅ…!よろしく、莉音…!」

この2人は、仲良くやれそう。

後は……


「えっと……俺は早苗優馬、あの小さい子は俺の嫁です。」
そう言って僕を指さした。
「おい」
冗談でもやめて欲しい。







すると、莉音は少しほっとしていた。


「………そ、そうなん、ですか?」


どうしてほっとしたかは分からないけど……



「………良かった、相手がいるなら、桜木はボクのものでいい、よね…………」


何か、独り言が聞こえた気がしたけど、気の所為だと思った。



「…そ、そうなんだ!澪、こんなかっこいい彼氏がいるなんて羨ましいな~!」
「なっ…!?か、かかかかっこいい…!!?まぁ……確かに俺はかっこいい、ケド……」


なんで優馬は照れてんだろ。
てか、彼氏じゃないし、こんなクズ。



「変な事言ってないで、早く行こ。」
「あ……澪がツンデレモードに入った……」
「2年生ぶりだな…っ!」


ツンデレモードって何だよ。

………はぁ……




(………桜木は、譲らないよ。)


莉音がその時そんな事を思っていたなんて、その場の誰も…知らなかった。






ーーー

この時はタピオカ全盛期だった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

さくらと遥香

youmery
恋愛
国民的な人気を誇る女性アイドルグループの4期生として活動する、さくらと遥香(=かっきー)。 さくら視点で描かれる、かっきーとの百合恋愛ストーリーです。 ◆あらすじ さくらと遥香は、同じアイドルグループで活動する同期の2人。 さくらは"さくちゃん"、 遥香は名字にちなんで"かっきー"の愛称でメンバーやファンから愛されている。 同期の中で、加入当時から選抜メンバーに選ばれ続けているのはさくらと遥香だけ。 ときに"4期生のダブルエース"とも呼ばれる2人は、お互いに支え合いながら数々の試練を乗り越えてきた。 同期、仲間、戦友、コンビ。 2人の関係を表すにはどんな言葉がふさわしいか。それは2人にしか分からない。 そんな2人の関係に大きな変化が訪れたのは2022年2月、46時間の生配信番組の最中。 イラストを描くのが得意な遥香は、生配信中にメンバー全員の似顔絵を描き上げる企画に挑戦していた。 配信スタジオの一角を使って、休む間も惜しんで似顔絵を描き続ける遥香。 さくらは、眠そうな顔で頑張る遥香の姿を心配そうに見つめていた。 2日目の配信が終わった夜、さくらが遥香の様子を見に行くと誰もいないスタジオで2人きりに。 遥香の力になりたいさくらは、 「私に出来ることがあればなんでも言ってほしい」 と申し出る。 そこで、遥香から目をつむるように言われて待っていると、さくらは唇に柔らかい感触を感じて… ◆章構成と主な展開 ・46時間TV編[完結] (初キス、告白、両想い) ・付き合い始めた2人編[完結] (交際スタート、グループ内での距離感の変化) ・かっきー1st写真集編[完結] (少し大人なキス、肌と肌の触れ合い) ・お泊まり温泉旅行編[完結] (お風呂、もう少し大人な関係へ) ・かっきー2回目のセンター編[完結] (かっきーの誕生日お祝い) ・飛鳥さん卒コン編[完結] (大好きな先輩に2人の関係を伝える) ・さくら1st写真集編[完結] (お風呂で♡♡) ・Wセンター編[不定期更新中] ※女の子同士のキスやハグといった百合要素があります。抵抗のない方だけお楽しみください。

もしかして俺の主人は悪役令息?

一花みえる
BL
「ぼく、いいこになるからね!」 10歳の誕生日、いきなりそう言い出した主人、ノア・セシル・キャンベル王子は言葉通りまるで別人に生まれ変わったような「いい子」になった。従者のジョシュアはその変化に喜びつつも、どこか違和感を抱く。 これって最近よく聞く「転生者」? 一方ノアは「ジョシュアと仲良し大作戦」を考えていた。 主人と従者がおかしな方向にそれぞれ頑張る、異世界ほのぼのファンタジーです。

最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない

百門一新
ファンタジー
選ばれた貴族の少年たちが通う学園で、戦闘奴隷出身として知られている『最強風紀委員長サード・サリファン』は嫌われている。実はその出自やフルネームは嘘で、百年ごとに繰り返されている≪悪魔≫との闘い終わらせるため、学園へ送られた短命な≪実験体の半悪魔≫だった……のだが、当の本人は『学園の嫌われ役』も『死ぬための使命』も全く悲観していなかった。 何故か慕ってくる風紀委員会のメンバーと共に、サードは男同士キャーキャー言い合う現状を「理解し難い(困惑)」と思いながら違反者をぶっ飛ばし、喧嘩を売ってくる生徒会を相手にし、――そして半悪魔体としての寿命が迫る中とうとう≪悪魔≫が現われる。 【小説家になろう】様にも掲載しております。

養子の僕が愛されるわけない…と思ってたのに兄たちに溺愛されました

日野
BL
両親から捨てられ孤児院に入った10歳のラキはそこでも虐められる。 ある日、少し前から通っていて仲良くなった霧雨アキヒトから養子に来ないかと誘われる。 自分が行っても嫌な思いをさせてしまうのではないかと考えたラキは1度断るが熱心なアキヒトに折れ、霧雨家の養子となり、そこでの生活が始まる。 霧雨家には5人の兄弟がおり、その兄たちに溺愛され甘々に育てられるとラキはまだ知らない……。 養子になるまでハイペースで進みます。養子になったらゆっくり進めようと思ってます。 Rないです。

もふもふ相棒と異世界で新生活!! 神の愛し子? そんなことは知りません!!

ありぽん
ファンタジー
[第3回次世代ファンタジーカップエントリー] 特別賞受賞 書籍化決定!! 応援くださった皆様、ありがとうございます!! 望月奏(中学1年生)は、ある日車に撥ねられそうになっていた子犬を庇い、命を落としてしまう。 そして気づけば奏の前には白く輝く玉がふわふわと浮いていて。光り輝く玉は何と神様。 神様によれば、今回奏が死んだのは、神様のせいだったらしく。 そこで奏は神様のお詫びとして、新しい世界で生きることに。 これは自分では規格外ではないと思っている奏が、規格外の力でもふもふ相棒と、 たくさんのもふもふ達と楽しく幸せに暮らす物語。

弟が生まれて両親に売られたけど、売られた先で溺愛されました

にがり
BL
貴族の家に生まれたが、弟が生まれたことによって両親に売られた少年が、自分を溺愛している人と出会う話です

公爵家の次男は北の辺境に帰りたい

あおい林檎
BL
北の辺境騎士団で田舎暮らしをしていた公爵家次男のジェイデン・ロンデナートは15歳になったある日、王都にいる父親から帰還命令を受ける。 8歳で王都から追い出された薄幸の美少年が、ハイスペイケメンになって出戻って来る話です。 序盤はBL要素薄め。

病弱な悪役令息兄様のバッドエンドは僕が全力で回避します!

松原硝子
BL
三枝貴人は総合病院で働くゲーム大好きの医者。 ある日貴人は乙女ゲームの制作会社で働いている同居中の妹から依頼されて開発中のBLゲーム『シークレット・ラバー』をプレイする。 ゲームは「レイ・ヴァイオレット」という公爵令息をさまざまなキャラクターが攻略するというもので、攻略対象が1人だけという斬新なゲームだった。 プレイヤーは複数のキャラクターから気に入った主人公を選んでプレイし、レイを攻略する。 一緒に渡された設定資料には、主人公のライバル役として登場し、最後には断罪されるレイの婚約者「アシュリー・クロフォード」についての裏設定も書かれていた。 ゲームでは主人公をいじめ倒すアシュリー。だが実は体が弱く、さらに顔と手足を除く体のあちこちに謎の湿疹ができており、常に体調が悪かった。 両親やごく親しい周囲の人間以外には病弱であることを隠していたため、レイの目にはいつも不機嫌でわがままな婚約者としてしか映っていなかったのだ。 設定資料を読んだ三枝は「アシュリーが可哀想すぎる!」とアシュリー推しになる。 「もしも俺がアシュリーの兄弟や親友だったらこんな結末にさせないのに!」 そんな中、通勤途中の事故で死んだ三枝は名前しか出てこないアシュリーの義弟、「ルイス・クロフォードに転生する。前世の記憶を取り戻したルイスは推しであり兄のアシュリーを幸せにする為、全力でバッドエンド回避計画を実行するのだが――!?

処理中です...