お願いもうやめて

あまみや。旧

文字の大きさ
上 下
18 / 18
第4章 友達。

第11話【日菜子】殺してやる…!!

しおりを挟む
「え………日菜子?」
「お兄ちゃん…………何、してるの?」

どうしよう……、日菜子に、見られてしまった………

「ち、違う……今のは、この人が無理矢理ッ……!」
僕は先輩を見て、言い訳するように叫んだ。

…………日菜子はずっと無言だった。
すると影薄く後ろにいた雪香が、口を開いた。
「………先輩、ほんとですか?」
「なにが?」
「……先輩が、杏葉に手を出したんですか?」
「…………」
先輩はニコッと笑って僕から身を離した。
そして……

「そうだよ?」

………!
あっさりと、認めた―――



「………殺して、やる……」
「え?」

ひな、こ……?

次の瞬間、日菜子はこちらへ来て僕の腕を力強く引っ張った。
「イタッ……!」
「お兄ちゃん、帰ろう。」
「えっ……あ、うん………?」
あれ?
なんだか、日菜子の様子がおかしい……

「ばいばい、杏葉。」










「……どうやって殺そう………」
日菜子は家までずっとひとりごとをブツブツ言いながら歩いていた、後ろに雪香と僕が並んで歩いていた。
「……ッ!」
いたっ………
「!杏葉、大丈夫?」
「ぅ、うん………」
「お、お兄ちゃん……何されたの?あいつに。」
ぱっと日菜子がこちらに振り向き、不安そうに聞いてくる。
……あれっ、いつもの日菜子………なんか今日の日菜子は情緒不安定だ、僕のせい、だろうけど…………
「ちょっと殴られただけだから……大丈夫だよ。」
僕は、できる限り笑って見せた。
すると……
「じゃあ、その腕の傷も、さっきのキスも、大丈夫なの?」
「えっ」
次の瞬間、日菜子の目のハイライトは失われ、ぎゅっと僕の腕の傷の少し下を握りしめた。
そっか……そういえばさっきの、見られて………
「あぅ ッ……!」
そんなことを考えていると、日菜子の力が強くなった。
「……日菜子、被害者は杏葉なんだから、あんまり攻めるな。」
「………あ、ごめん……」
日菜子は、まるでなにかを思いついたかのようにハッとして手を離した。
目のハイライトも戻ってきた。
「大丈夫……」
はぁ……日菜子にも雪香にも迷惑をかけて、僕、最低だな………


そういえば、なんでこのふたり図書室に来たんだろ……それに、日菜子は、どうしてこの学校に………


そんなことを考えていると、


(あ……れ………?)




なんか、意識が、朦朧として………

それに、なんか、熱い……



次の瞬間、






「お兄ちゃん!?」
「杏葉!」











僕は、意識を失った………
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

ただ、愛しただけ…

きりか
恋愛
愛していただけ…。あの方のお傍に居たい…あの方の視界に入れたら…。三度の生を生きても、あの方のお傍に居られなかった。 そして、四度目の生では、やっと…。 なろう様でも公開しております。

とある文官のひとりごと

きりか
BL
貧乏な弱小子爵家出身のノア・マキシム。 アシュリー王国の花形騎士団の文官として、日々頑張っているが、学生の頃からやたらと絡んでくるイケメン部隊長であるアベル・エメを大の苦手というか、天敵認定をしていた。しかし、ある日、父の借金が判明して…。 基本コメディで、少しだけシリアス? エチシーンところか、チュッどまりで申し訳ございません(土下座) ムーンライト様でも公開しております。

彼の理想に

いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。 人は違ってもそれだけは変わらなかった。 だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。 優しくする努力をした。 本当はそんな人間なんかじゃないのに。 俺はあの人の恋人になりたい。 だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。 心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。

迅英の後悔ルート

いちみやりょう
BL
こちらの小説は「僕はあなたに捨てられる日が来ることを知っていながらそれでもあなたに恋してた」の迅英の後悔ルートです。 この話だけでは多分よく分からないと思います。

路地裏の少年は逃げ惑う

笹坂寧
BL
 世界一平和な国と名高い、【エメラルド王国】。  しかし、そんな国にも闇は存在するもので。  騎士団にも見捨てられた【貧民街】へと続く路地裏。そこに暮らす1人の少年がいた。  名前はテオ。  治安の悪い路地裏にて、小さな小さな喫茶店を開いている少年は、「貧民街の救世主」の異名を持つ有名人でもあった。    路地裏、そして貧民街の住民から愛されるテオ。しかし彼は同時に、「世界を謀る大犯罪者」としても名高い恐ろしい男として忌み嫌われているのである。

嫌われ者の僕

みるきぃ
BL
学園イチの嫌われ者で、イジメにあっている佐藤あおい。気が弱くてネガティブな性格な上、容姿は瓶底眼鏡で地味。しかし本当の素顔は、幼なじみで人気者の新條ゆうが知っていて誰にも見せつけないようにしていた。学園生活で、あおいの健気な優しさに皆、惹かれていき…⁈ 学園イチの嫌われ者が総愛される話。 嫌われからの愛されです。ヤンデレ注意。 ※他サイトで書いていたものを修正してこちらで書いてます。

指輪一つで買われた結婚。~問答無用で溺愛されてるが、身に覚えが無さすぎて怖い~

ぽんぽこ狸
恋愛
 婚約破棄をされて実家であるオリファント子爵邸に出戻った令嬢、シャロン。シャロンはオリファント子爵家のお荷物だと言われ屋敷で使用人として働かされていた。  朝から晩まで家事に追われる日々、薪一つ碌に買えない労働環境の中、耐え忍ぶように日々を過ごしていた。  しかしある時、転機が訪れる。屋敷を訪問した謎の男がシャロンを娶りたいと言い出して指輪一つでシャロンは売り払われるようにしてオリファント子爵邸を出た。  向かった先は婚約破棄をされて去ることになった王都で……彼はクロフォード公爵だと名乗ったのだった。  終盤に差し掛かってきたのでラストスパート頑張ります。ぜひ最後まで付き合ってくださるとうれしいです。

処理中です...