結~ゆい~ ソレを愛と呼ぶならば。

ゆう

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学生時代

狙われた二人

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 幸いにも、商店街の側だったこともあり、直ぐに人が来て救急車を呼んでくれ、紅緒は搬送されていった。
 
「彼女の家族の連絡先は!」
 そう聞かれたが…知らない。 
 一緒にいるのに、何も…知らない…。
 ただ、唯一知っていること…。
「如月家の…修司の婚約者だ!!如月家に連絡を取ってくれ!!」
 和也はそう叫んでいた。 
「如月家…!!」
「…如月家の婚約者…!!」
 側にいた誰かが、慌てて何か叫んでいる。
 もう、何を言っているのか耳に入らない…。
 …なんで、こんなことになった…。 
 …ただ、話がしたかっただけなのに…。
 和也は失意に沈んでいった。


 和也は呆然とベンチに座っていた。
 左手が…まだ、紅緒の血で…赤く染まっている…。
 警察が来て辺りが騒がしくなり、事情を聞かれたが、俺にも訳がわからない…。
 ただ、ありのままの状況を話すしかなかった。
 なんで…。
 …紅緒が…。
 しばらくすると、連絡がいったのだろう、修司が駆けつけてきた。
「…和也」
 真っ青な修司の顔を見て、涙が溢れた。 
 呆然としていた時間が戻ってきた…。
 現実を突きつけられた…。
「…紅緒…さんが…」
 …それしか言えなかった。
 和也は修司に支えられ、水道の水の出るところに連れていかれ、血で濡れた手を洗った。
「…何があった」
 和也は首を振った。
「…分からない…」
 和也は震える手で、修司にしがみつき、さっき警察にも話した事をポツリポツリと話し出した。
「…ベンチに…座って…話を…していて…、急に…紅緒さんが…立ち上がって、…俺の前に…立った時…突然…倒れてきて、…血を…流していて…意識を…失っていて…」
 話しながら、その時の事を思い出して、身体が震える。
「…何が…起こったのか…分からない…」
 青ざめた修司は和也をしっかりと抱き締めて、小声で言う。
「…狙われたのは和也だ」
「…。」
 …俺?
「…石塚のおじさんも重傷だ」
「…親父…?」
 和也は訳が分からなかった。
「…俺の父さんが動いた。…覚悟を決めなくてはいけない…」
 …修司?
 何の話をしているんだ…?
 和也は混乱しながら、修司に支えられ、修司が乗ってきた車に乗り込んだ。
 直ぐに車は発進して、静かな沈黙の中、紅緒が救急搬送された病院へ向かった。


 俺と親父が狙われた?
 …だったら紅緒は、偶然にも俺の代わりになったと言うことか…?
 あの時、公園に誘わなければ、こんなことにはならなかったのか…?
 …そうだ…!
 …髪飾り…。
 和也は茫然としていて、買った髪飾りの入った袋をベンチに置いてきてしまった事に気が付いた。
 …紅緒のカバンは…確か…搬送されるとき、一緒に持っていったはず…。
 あまりにも記憶が合間いで、愕然とする。
 …紅緒さんの分の髪飾りが無事であれば良いか…。
 それに、現状にまだ、頭がついていかない…。
 なぜ、俺達親子が狙われたんだ…?
 …それより…紅緒は無事なのだろうか…。
 チラリと隣に座る修司を見ると、蒼白な顔をして茫然と外を眺めている。
 …修司も気が気でないのだ…。
 …修司に、こんな顔をさせたくないのに…。
 和也の胸がズキリと痛んだ。

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