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約束
移住登録
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そして、リマ商会のレギの仕事部屋に戻ってきた四人。
ヒイロはソファーに座り、ぐったりと背もたれに寄りかかっていた。
チイは隣に座り心配そうにヒイロを見ている。
レギはテーブルの上の書類を片付け、ホムラはキッチンで飲み物を準備していた。
「取り敢えずは解決したな。後は事後処理だ」
レギは書類をデスクに乗せると、椅子に座った。
「そうですね。行き場のない獣人は、ココで預かるのか?」
ホムラはキッチンから紅茶を入れて持って来て、テーブルの上に置く。
「ああ。落ち着いたら、住居と仕事をあてがう。人族の中で暮らしていくなら、それくらいしないとな…」
レギは、早速手を出し紅茶を口にする。
ヒイロも紅茶の匂いに誘われて、テーブルに手を伸ばす。
「以前から思っていたんだが、ここで、獣人の移住登録を出来ないか?戻ってこない奴がいて、消息不明の者達が結構いる」
レギがココを拠点に生活しているなら、その方が把握できる。
「そうだな。どれくらいこちらに来てるか把握出きるし、社長と相談してみるよ。俺達の町グオルクだけでなく、他の村や里から来てるのも居るだろうから、その辺も考えてみる。…チイの所みたいに、両親からココに居る者達もあるだろうし…」
「そうだな」
そうか、両親達の時からココに住んでいれば考え方も、人族に近いものがあるのかもしれない…。
「そうだ、チイちゃん。メイちゃんに連絡をしてあげて。心配してたから…」
ホムラが思い出したかのように、そう言うと、
「本当だ!近所なので、メイの所に行ってきます!」
チイは立ち上がり、部屋を出ていった。
「この後は、どうするんだ?」
ヒイロとホムラは顔を見合せ、頷き会う。
本来の目的、消息不明者が居るかどうかだ。
「…町の者がいれば、どうしたいか聞いて、一度、連れて帰る」
「そうか…。人族の警察次第だな…」
三人は落ち着いてのんびりと紅茶を飲み始めた。
もうしばらく、ココに居る…。
あの事件で保護された獣人は十人。人族は五人。
その内、三人がグオルクの町、出身者で、旅行に来て捕まったそうだ。
魔法で抵抗しようとしても逃げられず、高位能力者がいた!と、騒いでいた。
獣人達は、チイ達と同じ長屋の空き部屋の一角で、長屋の管理人が面倒を見ることになった。
他の獣人達も協力すると言うことで…。
だが、売られて行った者達も居たそうで、その行方はこれからの捜索になるみたいだ。
ヒイロが不在の時、ホムラがレギに問う。
「帰って来ないのか?」
その問いにレギは、複雑そうな顔をする。
「…帰らないよ…。お前が側にいれば無茶はしない」
ホムラは真っ直ぐにレギを見る。
「…私は右腕。…左腕は空いたままだ」
「…もう少ししたら、ソコは埋まるよ」
レギは即答する。
「…良いのか?」
どちらに対しても複雑なレギは、絞り出すような声で答えた。
「あの子が望めば…」
レギがチイに問う。
「ヒイロの側にいたい?」
「…分からないです」
好きなんだろう事は気が付いた。
だけど、レギさんの言う『側』とは、きっと別の意味。
ヒイロのあの保有魔力が関係しているはず。
「…ヒイロは族長の息子なんだ。色々と誓約があって…少しでもヒイロの側に居たいと思うなら、覚える事や、やることがある。今は…グオルクには連れていけない」
「…。」
ただ、好きなだけでは側に居れない。
「考えておいて。…俺はそれから逃げた方だから…」
レギは苦笑いする。
…逃げた?それって…。
「ホムラは右腕。左腕は空いたままなんだ…」
「…。」
「だから、側にいたいと思ったらヒイロの左腕になって欲しい。チイには潜在能力は有るよ。俺が番にと、望んだだけあるから…」
…側にいるための居場所。
私の望みは…。
「私は…」
「急がなくて良い。でも、ヒイロが帰るまでに返事だけ欲しい」
私はどうしたい…。
「…はい…」
ヒイロはソファーに座り、ぐったりと背もたれに寄りかかっていた。
チイは隣に座り心配そうにヒイロを見ている。
レギはテーブルの上の書類を片付け、ホムラはキッチンで飲み物を準備していた。
「取り敢えずは解決したな。後は事後処理だ」
レギは書類をデスクに乗せると、椅子に座った。
「そうですね。行き場のない獣人は、ココで預かるのか?」
ホムラはキッチンから紅茶を入れて持って来て、テーブルの上に置く。
「ああ。落ち着いたら、住居と仕事をあてがう。人族の中で暮らしていくなら、それくらいしないとな…」
レギは、早速手を出し紅茶を口にする。
ヒイロも紅茶の匂いに誘われて、テーブルに手を伸ばす。
「以前から思っていたんだが、ここで、獣人の移住登録を出来ないか?戻ってこない奴がいて、消息不明の者達が結構いる」
レギがココを拠点に生活しているなら、その方が把握できる。
「そうだな。どれくらいこちらに来てるか把握出きるし、社長と相談してみるよ。俺達の町グオルクだけでなく、他の村や里から来てるのも居るだろうから、その辺も考えてみる。…チイの所みたいに、両親からココに居る者達もあるだろうし…」
「そうだな」
そうか、両親達の時からココに住んでいれば考え方も、人族に近いものがあるのかもしれない…。
「そうだ、チイちゃん。メイちゃんに連絡をしてあげて。心配してたから…」
ホムラが思い出したかのように、そう言うと、
「本当だ!近所なので、メイの所に行ってきます!」
チイは立ち上がり、部屋を出ていった。
「この後は、どうするんだ?」
ヒイロとホムラは顔を見合せ、頷き会う。
本来の目的、消息不明者が居るかどうかだ。
「…町の者がいれば、どうしたいか聞いて、一度、連れて帰る」
「そうか…。人族の警察次第だな…」
三人は落ち着いてのんびりと紅茶を飲み始めた。
もうしばらく、ココに居る…。
あの事件で保護された獣人は十人。人族は五人。
その内、三人がグオルクの町、出身者で、旅行に来て捕まったそうだ。
魔法で抵抗しようとしても逃げられず、高位能力者がいた!と、騒いでいた。
獣人達は、チイ達と同じ長屋の空き部屋の一角で、長屋の管理人が面倒を見ることになった。
他の獣人達も協力すると言うことで…。
だが、売られて行った者達も居たそうで、その行方はこれからの捜索になるみたいだ。
ヒイロが不在の時、ホムラがレギに問う。
「帰って来ないのか?」
その問いにレギは、複雑そうな顔をする。
「…帰らないよ…。お前が側にいれば無茶はしない」
ホムラは真っ直ぐにレギを見る。
「…私は右腕。…左腕は空いたままだ」
「…もう少ししたら、ソコは埋まるよ」
レギは即答する。
「…良いのか?」
どちらに対しても複雑なレギは、絞り出すような声で答えた。
「あの子が望めば…」
レギがチイに問う。
「ヒイロの側にいたい?」
「…分からないです」
好きなんだろう事は気が付いた。
だけど、レギさんの言う『側』とは、きっと別の意味。
ヒイロのあの保有魔力が関係しているはず。
「…ヒイロは族長の息子なんだ。色々と誓約があって…少しでもヒイロの側に居たいと思うなら、覚える事や、やることがある。今は…グオルクには連れていけない」
「…。」
ただ、好きなだけでは側に居れない。
「考えておいて。…俺はそれから逃げた方だから…」
レギは苦笑いする。
…逃げた?それって…。
「ホムラは右腕。左腕は空いたままなんだ…」
「…。」
「だから、側にいたいと思ったらヒイロの左腕になって欲しい。チイには潜在能力は有るよ。俺が番にと、望んだだけあるから…」
…側にいるための居場所。
私の望みは…。
「私は…」
「急がなくて良い。でも、ヒイロが帰るまでに返事だけ欲しい」
私はどうしたい…。
「…はい…」
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