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獣人の街グオルク ~~
リシト
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その後に人族の、黒髪の金目の子がリシトが、チラリと談話室を覗いて、部屋を出ていこうとしたので、オルガは思いきって、勇気を振り絞って声をかけた。
「ちょっと話をしないか」
リシトとは立ち止まって、オルガをじっと見て、玄関の方を見て歩き出した。
「「…。」」
えっと…話をしてくれるのかな…。
オルガとアレイは顔を見合せ、リシトの後を追って玄関の方に向かった。
玄関ホールと呼ばれる少し広い玄関先には、来客に座って待ってもらうためのソファーが端の方に置いてあった。
たまに、ココで子供が本を読んでいる事があるくらいで、本来の用途としては、ほとんど使われてないと言ってはいた場所だ。
そのソファーの端に、リシトが座る。
えっと…話をする、で良いのかな…。
言葉数が少なすぎるだろ!
コレは分かりにくいぞ…。
オルガとアレイは顔を見合せ、リシトの隣にオルガが座り、その横にアレイが座った。
「「「…。」」」
思いきって声をかけたけれど、えっと…何から話せば良いんだ?
「…えっと…僕達、もうすぐ帰るんだけど、君とは話をしてないな…と、思って…」
「…。」
何をどう話せば良いんだ?
「ココは獣人の街だけど、人族の街には行ったことが有る?」
アレイが直球に聞いた!
「…有る。一年に一度、親族の集まりが有るから、人族の街、カザンナ王国のシンラへ行く…」
「「えっ!良いな!」」
人族の国に行った事が有るんだ!
リーンさん達は、リシトが人族の国に行きたいような事をって言っていたのは、もしかして、人族の国で暮らしてみたいって事か?
「…でも、一日だけ。直ぐに帰って来る…」
「「…。」」
やっぱり、暮らしたいって言うか、もっと人族の街を散策したいんじゃないのか?
「…直ぐに帰って来ないといけないのか?」
「…。」
この感じだと、多分、人族の街にもっと滞在したいとか、街を見て回りたいとか、自分から言った事がないんじゃないか?
「ダメだって言われたのか?」
「…。」
何も答えないと言うことは、聞いた事が無いって事だよね…。
オルガがアレイを見ると、アレイもその事に気が付いたみたいだ。
それに、一日だけの滞在で直ぐに帰って来るって事は、馬車での移動では無い…。
馬車で人族の国に行くには、数日かかるはず…。
「もしかして、転移で人族の街に行っている?」
オルガが聞くとリシトは頷いた。
便利な移動をしていて、その移動方法が特別だと知っていても、わかっていないのだ。
「だったら、直ぐに帰れるだろ?滞在を延ばすことは出来ないのか?」
「…。」
何も答えない…。
「人族の街を散策してみたくないの?」
「…。」
「してみたくない」とは言わないから、興味はあるって事だ。
「僕は行ってみたいけど」
オルガがそう言うと、アレイはニコニコと言う。
「僕も!人族の街って、人族ばっかりなんだろ!獣人の街とは逆なんて想像付かないや!」
「…屋敷から出ないから、あまりわからない…」
リシトがボソリとそう言う。
「「…。」」
あまり外に出なくない派?
オルガとアレイは顔を見合せる。
う~ん。
リーンさん、ユーリさん、僕達には無理です!
何を考えているか分かんないや…。
「そうだ。グオルクの近くの外の町は行ったこと有る?」
「…無い」
やっぱり無いんだ。
「それなら、長時間、馬車に乗ったことは?」
「長時間…グオルクの街一周くらい…」
それって、僕らにとっては長時間とは言わない…。
ずっとグオルクの街中にいて、外の世界を知らない…。
獣人の街では、人族は、特に子供は珍しいから、回りが過保護になっているのもある。
僕も、『クルーラ』から出るのに、いろいろと条件付きで出ているようなもの…。
「…気が向いたら、気になったら、街の外に出てみると良いよ」
僕らには、強制することは出来ない。
言えることは、ソコまで…。
でもきっと、街の外に出てみると、いろんなモノの見方が変わる…。
そして言葉にしないと、何も出来ないことを知る…。
「一人では無理だから、誰か一緒に…。僕らの場合は、三人だったから、グオルクまでの旅の許可が降りたんだもんね」
オルガとアレイは頷き会う。
そう、三人だから許可が出た。
「気になるなら、聞いてみたら?」
「さっきの話だと、聞いたことが無いんだろ?」
「…。」
リシトは黙ったまま、何も答えない…。
「…外の世界が気にならないなら、聞かなくても良いけど…」
「知らない事を知るって楽しいよ」
それは僕達の感覚…。
知らない事を知るのは楽しい。
本に載っている知識しか無い事を、実際に経験するもの楽しい。
だから僕達は、大人と約束をして、約束を守ることを繰り返して、グオルクに来た。
きっとリシトは、一歩を踏み出せないでいるだけかも知れないけれど…。
「ちょっと話をしないか」
リシトとは立ち止まって、オルガをじっと見て、玄関の方を見て歩き出した。
「「…。」」
えっと…話をしてくれるのかな…。
オルガとアレイは顔を見合せ、リシトの後を追って玄関の方に向かった。
玄関ホールと呼ばれる少し広い玄関先には、来客に座って待ってもらうためのソファーが端の方に置いてあった。
たまに、ココで子供が本を読んでいる事があるくらいで、本来の用途としては、ほとんど使われてないと言ってはいた場所だ。
そのソファーの端に、リシトが座る。
えっと…話をする、で良いのかな…。
言葉数が少なすぎるだろ!
コレは分かりにくいぞ…。
オルガとアレイは顔を見合せ、リシトの隣にオルガが座り、その横にアレイが座った。
「「「…。」」」
思いきって声をかけたけれど、えっと…何から話せば良いんだ?
「…えっと…僕達、もうすぐ帰るんだけど、君とは話をしてないな…と、思って…」
「…。」
何をどう話せば良いんだ?
「ココは獣人の街だけど、人族の街には行ったことが有る?」
アレイが直球に聞いた!
「…有る。一年に一度、親族の集まりが有るから、人族の街、カザンナ王国のシンラへ行く…」
「「えっ!良いな!」」
人族の国に行った事が有るんだ!
リーンさん達は、リシトが人族の国に行きたいような事をって言っていたのは、もしかして、人族の国で暮らしてみたいって事か?
「…でも、一日だけ。直ぐに帰って来る…」
「「…。」」
やっぱり、暮らしたいって言うか、もっと人族の街を散策したいんじゃないのか?
「…直ぐに帰って来ないといけないのか?」
「…。」
この感じだと、多分、人族の街にもっと滞在したいとか、街を見て回りたいとか、自分から言った事がないんじゃないか?
「ダメだって言われたのか?」
「…。」
何も答えないと言うことは、聞いた事が無いって事だよね…。
オルガがアレイを見ると、アレイもその事に気が付いたみたいだ。
それに、一日だけの滞在で直ぐに帰って来るって事は、馬車での移動では無い…。
馬車で人族の国に行くには、数日かかるはず…。
「もしかして、転移で人族の街に行っている?」
オルガが聞くとリシトは頷いた。
便利な移動をしていて、その移動方法が特別だと知っていても、わかっていないのだ。
「だったら、直ぐに帰れるだろ?滞在を延ばすことは出来ないのか?」
「…。」
何も答えない…。
「人族の街を散策してみたくないの?」
「…。」
「してみたくない」とは言わないから、興味はあるって事だ。
「僕は行ってみたいけど」
オルガがそう言うと、アレイはニコニコと言う。
「僕も!人族の街って、人族ばっかりなんだろ!獣人の街とは逆なんて想像付かないや!」
「…屋敷から出ないから、あまりわからない…」
リシトがボソリとそう言う。
「「…。」」
あまり外に出なくない派?
オルガとアレイは顔を見合せる。
う~ん。
リーンさん、ユーリさん、僕達には無理です!
何を考えているか分かんないや…。
「そうだ。グオルクの近くの外の町は行ったこと有る?」
「…無い」
やっぱり無いんだ。
「それなら、長時間、馬車に乗ったことは?」
「長時間…グオルクの街一周くらい…」
それって、僕らにとっては長時間とは言わない…。
ずっとグオルクの街中にいて、外の世界を知らない…。
獣人の街では、人族は、特に子供は珍しいから、回りが過保護になっているのもある。
僕も、『クルーラ』から出るのに、いろいろと条件付きで出ているようなもの…。
「…気が向いたら、気になったら、街の外に出てみると良いよ」
僕らには、強制することは出来ない。
言えることは、ソコまで…。
でもきっと、街の外に出てみると、いろんなモノの見方が変わる…。
そして言葉にしないと、何も出来ないことを知る…。
「一人では無理だから、誰か一緒に…。僕らの場合は、三人だったから、グオルクまでの旅の許可が降りたんだもんね」
オルガとアレイは頷き会う。
そう、三人だから許可が出た。
「気になるなら、聞いてみたら?」
「さっきの話だと、聞いたことが無いんだろ?」
「…。」
リシトは黙ったまま、何も答えない…。
「…外の世界が気にならないなら、聞かなくても良いけど…」
「知らない事を知るって楽しいよ」
それは僕達の感覚…。
知らない事を知るのは楽しい。
本に載っている知識しか無い事を、実際に経験するもの楽しい。
だから僕達は、大人と約束をして、約束を守ることを繰り返して、グオルクに来た。
きっとリシトは、一歩を踏み出せないでいるだけかも知れないけれど…。
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