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獣人の街グオルク ~~

荷物運びの手伝い

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 オルガ達は、資料館を出て『リマ商会』に向かい、案内所でヤナックさんの事を聞くと、今日はずっと忙しいそうだ。
 なので、図書館の二階に入るための滞在証明書の書類の、オルガ達が書く、名前や出身地の場所だけを書き込み、書類を案内所で渡して、ヤナックさんにお願いしてもらうことにした。
 何度も中継ぎをしてくれている人なので、直ぐに了承してくれた。
 よろしくお願いいたします。

 
 少し早いが宿に戻って、食堂で夕食を食べて部屋に戻った。
 食堂は時間が早かったのもあって、お客さんが少なかったから、それほど騒がしくなく、ゆっくりと食べれた。
 明日は『リマ商会』の馬車に乗せてもらって施設に行く。
 途中の荷物の積み降ろしの手伝いをしながらだ。
 なので、ちょっと早めに起きなくてはいけない。
 シャワーを浴びて、今日は頭が疲れたので、本も読まずにベットに入った。
 お休みなさい…。



 翌日、オルガ達は朝食を食べて『リマ商会』の建物の裏口から入った。
 ソコは馬車が何台も並んでいて、配達区域ごとに荷物を乗せる場所のようだ。
 オルガ達は、裏口の受付で施設を通る馬車の場所を教えてもらって、馬車がある場所に行くと、連絡を受けていた担当の人に挨拶をして、積み荷を運ぶのを手伝った。
 施設に行くまでに、三ヶ所の荷物を下ろす場所があるので、ソコで馬車から荷物を下ろして運ぶ手伝いもだ。
 予定の荷物を乗せ終わると、僕達は荷物と一緒に後ろの荷台に乗り込み、馬車が出発した。


 リマ商会を出て、馬車通りを走る中、一緒に荷台に乗った熊族の男の人が、コレから向かう場所の事を教えてくれた。
 一件目は、西区の学校。
 子供達の昼食に使う野菜と調味料などの配達。
 日持ちするジャガイモやニンジンなどは、大袋でリマ商会から購入され、日持ちしない肉や魚、葉物はそれぞれの専門の店からの配達されるそうだ。
 熊族の町ベイエルでも、昼食は出されていたから、それと一緒なんだ。
 でも西区の学校って、言っていたから、グオルクには四ヶ所有るって事だよね…。
 中央区にも有るのなら、五ヶ所か…。
 さすがに街だけあって、学校も人数も多いや…。

 学校に着くと、裏口に馬車を横付けにして、荷物を下ろし始めた。
 麻袋に入った野菜の袋が六つ。
 木箱に入った消耗品が二つ。
 それ以外に、大小様々な袋を下ろす。
 アレイとフェイは軽々と持ち上げて、建物の中に運んで行くが、はい…僕は戦力外です…。
 オルガは徐者の人と一緒に馬に水をあげて、馬を撫でてました…。
 
 次に向かったのは、学校の近くに有る、子供達が暮らす寮。
 寮では朝食と夕食が作られているので、ココでも野菜の袋と木箱を下ろす。
 僕達が向かう施設を卒業した子供達が、学校に通い、簡単な仕事や手伝いをしながら、学校を卒業した後の働く場所を探し、寮で共同生活をしているそうだ。
 上手くいけば、今、行っている仕事場での就職にも繋がるらしい…。
 それなら勉強も、仕事も一生懸命になるよね…。
 学校を卒業した後の先が決まるんだから…。
 
 次に向かったのは宿場。
 この辺に有る二階建の宿は、僕達が泊っている宿とは違い、ベットだけの寝泊まりするだけの宿だそうだ。
 シャワーは無く、手洗いなどは共同。
 その中心地に、大きな大衆食堂が有り、安くて量があるので、この周辺に泊っている人達は、ココで食事をするのがほとんどだそうだ。
 その大衆食堂の裏口に馬車を停め、再び荷物を下ろす。
 ほとんどが野菜の袋だ。
 大量に買うから安くて手に入って、それで格安の値段で食事を提供できるんだな…。
 今度は小さい箱も有ったので、数少ない持てる荷物だけ、建物の中に運ぶのを手伝いました。

 最後に向かうのが、僕達の目的の施設。
 ココでは野菜の袋以外にも、別の物を下ろすそうだ。
 それは最後に残った木箱に入っている古着。
 施設にいる子供達の着替えの服なのだとか。
 子供達は直ぐに大きくなるし、転んだり、引っ掻けたりして、破けてしまってのを直して使っていても、痛んできてしまうから、時々集めた古着を運んでいるそうだ。
 使うものだけ選んで、施設で使っていない服と交換して、別の区域の施設で使える子に渡すのだとか…。
 そうだよね。
 もったいないから、着れるところで使った方が良いもんね。
 そんな役割も『リマ商会』は行っているそうだ。
 回りのいろんな人達に支えられて、施設は運営されているんだな…。
 オルガはそう思った。
 
 施設に着くと、ユーリさんとリーンさんが建物から出てきて、アレイとフェイは野菜の袋を厨房の方へ運び、ユーリさんとリーンさんで、古着の入った木箱を真ん中の建物に運んでいった。
 木箱は中身を確認して、欲しいものだけ選り分けて、リマ商会の方に戻すのは、次回の配達の時になるそうだ。
 子供達にも見てもらって、好きなのを選びたいだろうしね…。

 僕達は乗せてきてくれた、御者の人と、一緒に乗っていた熊族の人にお礼を言って、リーンさん達がいる、真ん中の建物に入っていった。


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