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獣人の街グオルク ~創立祭~
猫族の町ミルーシャ 3 ~三属性~
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フェイは箱の中から短剣を三本選んだみたいで、テーブルの上に置いて、悩んでいた。
短剣は一つの予定だから、迷っているのか…。
「どれかに決めれないんだよな…」
そうフェイがボヤいた声に、ザザさんが反応した。
「そうきたか…」
…何が?
「魔力の適正率、面白いな…」
ザザさんは、ニヤニヤと笑いながらフェイが選んだ短剣を手に取る。
「少し待ってろ」
そう言って、三本の短剣を持って、部屋の奥に入っていった。
「「「…。」」」
「魔力の適正率…分かるか?」
「分からない…」
フェイが首を左右に振る。
「僕の魔力は風と水だって言われているけれど…」
魔力は分かるが、適正率?
それぞれの魔力の大きさの違い?
あの短剣が青色と水色に輝いて見えたのは、自分の魔力と短剣の魔力が同一だったから見えた?
だから、短剣が自分の手に馴染んだのだろうか…。
もし、そうだとしたら…。
「…アレイも選んでみる?」
「面白そうだから、僕も選んでみよう…」
アレイはそう言って、木箱の中からゴソゴソと選び始めた。
自分の魔力が馴染む短剣選びだ。
しばらくすると、ザザさんがニコニコとしながら、一本の短剣を持って戻って来た。
「これならどうだ?」
差し出された短剣を見て、フェイが目を丸くする。
「…どうしたの?」
「…短剣が、黒色と水色に光って…でも…銀色の光が散りばめたみたいに、キラキラと光ってる…」
黒色と水色と銀色…。
確か黒は闇属性、水色は風属性、そして銀色は聖属性…。
それがわかって、オルガはハッとしてフェイの方を見る。
「すごい!三属性!それも聖属性って!」
確かフェイは、聖属性の治療の魔法を使った事は無い…。
もしかして、聖属性を使えるって知らなかったのかも…。
「…。」
フェイは呆然とその短剣を見ている。
「闇と風属性の組み合わせは多く見てきたが、それにわずかに聖属性の光が入っているのは初めて見た」
ザザさんが楽しそうに言う。
「貴重なものを見せてもらったよ」
そう言ってフェイに短剣を差し出してきて、フェイが受け取り、僕と同じ様に短剣の鞘を抜いた。
すると青黒い光が放たれ、キラキラと星が降るように…。
夜空に星が輝くように周囲を照らし、光が収まった…。
「「「…。」」」
「これでその剣はお前のモノだ」
ザザさんがそう言う。
フェイのものだって言われたけれど、これって貴重なモノだよね…。
金額が…。
フェイは、短剣と投げナイフを買うために、お金は多く持ってきている。
けれど、きっと予算オーバーだよね…。
「…投げナイフも欲しいんだけれど、予算が…」
フェイも同じことを思ったようで、複雑な顔で短剣を鞘にしまう。
「予算はいくらだ?」
ザザさんがそう聞いてきたので、フェイが素直に答えると、カウンター奥の棚から布に包まれたモノを持ってきた。
それをザザさんが広げると、細い投げナイフが十本、一本づつ収納された腰ベルトのようなものだった。
「これは試作品だ。短剣とこれでその値段で良いぞ」
「「「…。」」」
そんなわけないだろう。
どう考えても、この投げナイフ、短剣と同じような、闇と風属性の魔力を蓄積している…。
「…でも…」
フェイは戸惑いながらザザさんを見る。
「その代わり、その短剣の状態を時々…年に数回は見せに来い。それと聖属性は使った事は?」
「無いです。初めて僕も知った…」
「だったら聖属性を学べ。学ぶ事によって、短剣の変化を見たい」
「はぁ…」
「これは対価だ。俺は今後の為に、三属性の短剣の変化を観察したい。だからその短剣を使えるお前に試してもらう。どうだ?」
「…ありがとうございます」
フェイは、嬉しそうに頭を下げた。
「契約成立だな」
ザザさんは楽しそうに笑う。
フェイは予算のお金を払い、今まで付けていた短剣を外し、新しい短剣を腰に下げる。
するとザザさんが、外した短剣を手に取り、鞘からボロボロの剣を抜き、顔をしかめた。
「属性一つしか対応してない剣で、よくココまで使えたな」
そうなんだ…。
フェイは、二個どころか三個だもんね。
ここへ来て良かった。
ちなみにアレイが二本短剣を選んだが、それは、アレクさんがくれた短剣の方が、良いものらしい…。
強いて言うなら、ザザさんいわく、せっかく良い短剣なのに、アレイが使いこなせていない。そうだ。
アレイはガックリとしていた。
頑張れ!
短剣を手に入れ、ザザさんが、買い出しのついでだと、町中まで小さな馬車で送ってくれた。
薄暗くなった町の屋台で夕食を食べると、宿に戻り、フェイの聖属性の話になった。
使える人は少ないし、誰にでも言わない方が良いだろうと…。
そうだ!
リーンさんが使える!
確か出会った時、僕の怪我を治してくれた…。
その話をして、グオルクに居る、リーンさんの子供や孫の事を話した。
リーンさんなら、何か良い方法を知っているかも!
グオルクに行く、目的が一つ増えた。
短剣は一つの予定だから、迷っているのか…。
「どれかに決めれないんだよな…」
そうフェイがボヤいた声に、ザザさんが反応した。
「そうきたか…」
…何が?
「魔力の適正率、面白いな…」
ザザさんは、ニヤニヤと笑いながらフェイが選んだ短剣を手に取る。
「少し待ってろ」
そう言って、三本の短剣を持って、部屋の奥に入っていった。
「「「…。」」」
「魔力の適正率…分かるか?」
「分からない…」
フェイが首を左右に振る。
「僕の魔力は風と水だって言われているけれど…」
魔力は分かるが、適正率?
それぞれの魔力の大きさの違い?
あの短剣が青色と水色に輝いて見えたのは、自分の魔力と短剣の魔力が同一だったから見えた?
だから、短剣が自分の手に馴染んだのだろうか…。
もし、そうだとしたら…。
「…アレイも選んでみる?」
「面白そうだから、僕も選んでみよう…」
アレイはそう言って、木箱の中からゴソゴソと選び始めた。
自分の魔力が馴染む短剣選びだ。
しばらくすると、ザザさんがニコニコとしながら、一本の短剣を持って戻って来た。
「これならどうだ?」
差し出された短剣を見て、フェイが目を丸くする。
「…どうしたの?」
「…短剣が、黒色と水色に光って…でも…銀色の光が散りばめたみたいに、キラキラと光ってる…」
黒色と水色と銀色…。
確か黒は闇属性、水色は風属性、そして銀色は聖属性…。
それがわかって、オルガはハッとしてフェイの方を見る。
「すごい!三属性!それも聖属性って!」
確かフェイは、聖属性の治療の魔法を使った事は無い…。
もしかして、聖属性を使えるって知らなかったのかも…。
「…。」
フェイは呆然とその短剣を見ている。
「闇と風属性の組み合わせは多く見てきたが、それにわずかに聖属性の光が入っているのは初めて見た」
ザザさんが楽しそうに言う。
「貴重なものを見せてもらったよ」
そう言ってフェイに短剣を差し出してきて、フェイが受け取り、僕と同じ様に短剣の鞘を抜いた。
すると青黒い光が放たれ、キラキラと星が降るように…。
夜空に星が輝くように周囲を照らし、光が収まった…。
「「「…。」」」
「これでその剣はお前のモノだ」
ザザさんがそう言う。
フェイのものだって言われたけれど、これって貴重なモノだよね…。
金額が…。
フェイは、短剣と投げナイフを買うために、お金は多く持ってきている。
けれど、きっと予算オーバーだよね…。
「…投げナイフも欲しいんだけれど、予算が…」
フェイも同じことを思ったようで、複雑な顔で短剣を鞘にしまう。
「予算はいくらだ?」
ザザさんがそう聞いてきたので、フェイが素直に答えると、カウンター奥の棚から布に包まれたモノを持ってきた。
それをザザさんが広げると、細い投げナイフが十本、一本づつ収納された腰ベルトのようなものだった。
「これは試作品だ。短剣とこれでその値段で良いぞ」
「「「…。」」」
そんなわけないだろう。
どう考えても、この投げナイフ、短剣と同じような、闇と風属性の魔力を蓄積している…。
「…でも…」
フェイは戸惑いながらザザさんを見る。
「その代わり、その短剣の状態を時々…年に数回は見せに来い。それと聖属性は使った事は?」
「無いです。初めて僕も知った…」
「だったら聖属性を学べ。学ぶ事によって、短剣の変化を見たい」
「はぁ…」
「これは対価だ。俺は今後の為に、三属性の短剣の変化を観察したい。だからその短剣を使えるお前に試してもらう。どうだ?」
「…ありがとうございます」
フェイは、嬉しそうに頭を下げた。
「契約成立だな」
ザザさんは楽しそうに笑う。
フェイは予算のお金を払い、今まで付けていた短剣を外し、新しい短剣を腰に下げる。
するとザザさんが、外した短剣を手に取り、鞘からボロボロの剣を抜き、顔をしかめた。
「属性一つしか対応してない剣で、よくココまで使えたな」
そうなんだ…。
フェイは、二個どころか三個だもんね。
ここへ来て良かった。
ちなみにアレイが二本短剣を選んだが、それは、アレクさんがくれた短剣の方が、良いものらしい…。
強いて言うなら、ザザさんいわく、せっかく良い短剣なのに、アレイが使いこなせていない。そうだ。
アレイはガックリとしていた。
頑張れ!
短剣を手に入れ、ザザさんが、買い出しのついでだと、町中まで小さな馬車で送ってくれた。
薄暗くなった町の屋台で夕食を食べると、宿に戻り、フェイの聖属性の話になった。
使える人は少ないし、誰にでも言わない方が良いだろうと…。
そうだ!
リーンさんが使える!
確か出会った時、僕の怪我を治してくれた…。
その話をして、グオルクに居る、リーンさんの子供や孫の事を話した。
リーンさんなら、何か良い方法を知っているかも!
グオルクに行く、目的が一つ増えた。
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