123 / 182
獣人の街グオルク ~創立祭~
猫族の町ミルーシャ 2 ~短剣~
しおりを挟む
蔦におおわれた家の呼鈴を鳴らして、しばらくすると、ギーッと音をたてて、扉が開き始めた。
ドキドキしながら扉が開くのを待つ。
扉から姿を現したのは、ヨレヨレの服を着た、背の高い兎族の男の人だった。
「何か用?」
彼はめんどくさそうに聞いてくる。
「えっと、ザザさんですか?」
「そうだけど…」
間違いない。
やっぱりココであっている。
オルガは、ポーチの中からヨウドさんにもらった紹介状の手紙を取り出す。
彼はそれを受け取って、中を開くと目を通し、大きなタメ息を付いて、扉を大きく開けた。
「どうぞ」
ザザさんに促されて僕達は家の中に入った。
何が書かれていたのかは知らないが、フェイの魔力に合う短剣があると言いな…。
家の中に入って直ぐの、右の壁には、いくつもの剣や短剣などが飾られていて、その下の木箱に、同じような剣や短剣が無造作に入れられていた。
整頓されているような、いないような…。
正面には小さなカウンターが有り、左手には日常的に使うようなフォークやナイフが置かれていて、思わず首をかしげた。
なんだろう…。
不思議な店…。
「そこの箱の中から好きなのを選べ」
ザザさんが、カウンターから、ぶっきらぼうに右の壁下に有る木箱を指差す。
木箱は三箱有り、この中から選べば良いってことだろうか…。
「「「…。」」」
三人は顔を組み合わせ、取り敢えず見るか…と、アレイとフェイが、しゃがみこんだ。
アレイとフェイがしゃがんで箱の中を覗きながら、短剣を取り出し、手に持って見始めた。
僕はそれより、右の壁にかかっていた、短剣に目を奪われ、気になっていた。
「…。」
なんて綺麗な色をしているんだろう…。
短剣自体はシンプルなデザインだが、鞘に入った短剣の周りを、青色と水色の二色がうっすらと光を放ち、包むように輝いていた。
何で光っているのか分からない…。
特に、魔石が嵌め込まれているわけでもないのに…。
「あの…この短剣…触ってみても良いですか?」
オルガは壁にかけられた短剣を指差す。
壁にかけてあると言うことは、見せるためのモノだろうけれど、気になるし、ちょっと触って持ってみたい…。
そう思った。
「良いぜ」
そう言ってザザさんが、棚にかけてあった短剣をヒョイと取り、僕に渡してきた。
「鞘を抜いてみろ」
ザザさんがそう言ったので、オルガは短剣を両手でそっと受け取った。
思ったほど重くはない。
左手で鞘を持って、右手で短剣を抜いてみた。
するりと抜けた短剣の刃が、光を放ち輝き出した。
「「「!?」」」
箱の中から短剣を選んでいたアレイもフェイも、その光に驚いて眩しそうに目を細め、手を止めた。
そして直ぐに光が収まると、鞘から抜いた短剣の刃が混じらない青色と水色に輝いていた。
「「「…。」」」
三人はその短剣を凝視する。
不思議な短剣だ…。
手に収まる、しっくりとした感じにオルガは首を傾げた。
持ちやすくて、手に馴染む…。
それにしても…。
「…鞘から剣を抜くと光る?」
「そんなわけ有るか!」
ザザさんが隣で頭を押さえている。
どういう意味だろう…。
「えっと…名前は」
「僕はオルガ。『クルーラ』から来ました」
「ああ。ヨウドのヤツが『クルーラ』に居るって言ってたな…」
ザザさんが手を出したので、オルガは短剣を鞘に終い、ザザさんに手渡す。
「受け取りと請求書はヨウドに渡しておく」
「はぁ?」
いったいどう言う意味だろう…。
「あの…」
オルガが戸惑いながら聞くとザザさんが教えてくれた。
この店に置いてある剣は、魔石の粉や欠片を利用して作られた剣で、属性の適正が有れば剣が反応するんだそうだ。
混ぜられた魔石の分量の対比が、その人の魔力属性の比率と同じ場合、魔力を剣に通しやすく、魔力の負担が軽減されるのだと言う…。
と、言うことは、その短剣と僕の魔力対比が同じと言うこと…?
そして、その剣との対比が同じで、反応した場合、相手に剣を売るそうだ。
なかなか、適合する人は見つからないからだって…。
「…。」
ザザさんは、そそくさと短剣を箱に入れ、梱包し始めた。
良いのかな…。
あっ、でも後で、僕がお金を払えば良いか。
折り魔紙の制作手数料が有るから、何か欲しいものが有ったら言えよ。と、ヒナキさんには言われている。
うん。そうしよう…。
フェイの短剣を見に来たのに、僕のになってしまった…。
ふと見ると、フェイは箱の中から短剣を三本選んだみたいで、テーブルの上に置いて、悩んでいた。
短剣は一つの予定だから、迷っているのか…。
「どれかに決めれないんだよな…」
そうフェイがボヤいた声に、ザザさんが反応した。
「そうきたか…」
…何が?
ドキドキしながら扉が開くのを待つ。
扉から姿を現したのは、ヨレヨレの服を着た、背の高い兎族の男の人だった。
「何か用?」
彼はめんどくさそうに聞いてくる。
「えっと、ザザさんですか?」
「そうだけど…」
間違いない。
やっぱりココであっている。
オルガは、ポーチの中からヨウドさんにもらった紹介状の手紙を取り出す。
彼はそれを受け取って、中を開くと目を通し、大きなタメ息を付いて、扉を大きく開けた。
「どうぞ」
ザザさんに促されて僕達は家の中に入った。
何が書かれていたのかは知らないが、フェイの魔力に合う短剣があると言いな…。
家の中に入って直ぐの、右の壁には、いくつもの剣や短剣などが飾られていて、その下の木箱に、同じような剣や短剣が無造作に入れられていた。
整頓されているような、いないような…。
正面には小さなカウンターが有り、左手には日常的に使うようなフォークやナイフが置かれていて、思わず首をかしげた。
なんだろう…。
不思議な店…。
「そこの箱の中から好きなのを選べ」
ザザさんが、カウンターから、ぶっきらぼうに右の壁下に有る木箱を指差す。
木箱は三箱有り、この中から選べば良いってことだろうか…。
「「「…。」」」
三人は顔を組み合わせ、取り敢えず見るか…と、アレイとフェイが、しゃがみこんだ。
アレイとフェイがしゃがんで箱の中を覗きながら、短剣を取り出し、手に持って見始めた。
僕はそれより、右の壁にかかっていた、短剣に目を奪われ、気になっていた。
「…。」
なんて綺麗な色をしているんだろう…。
短剣自体はシンプルなデザインだが、鞘に入った短剣の周りを、青色と水色の二色がうっすらと光を放ち、包むように輝いていた。
何で光っているのか分からない…。
特に、魔石が嵌め込まれているわけでもないのに…。
「あの…この短剣…触ってみても良いですか?」
オルガは壁にかけられた短剣を指差す。
壁にかけてあると言うことは、見せるためのモノだろうけれど、気になるし、ちょっと触って持ってみたい…。
そう思った。
「良いぜ」
そう言ってザザさんが、棚にかけてあった短剣をヒョイと取り、僕に渡してきた。
「鞘を抜いてみろ」
ザザさんがそう言ったので、オルガは短剣を両手でそっと受け取った。
思ったほど重くはない。
左手で鞘を持って、右手で短剣を抜いてみた。
するりと抜けた短剣の刃が、光を放ち輝き出した。
「「「!?」」」
箱の中から短剣を選んでいたアレイもフェイも、その光に驚いて眩しそうに目を細め、手を止めた。
そして直ぐに光が収まると、鞘から抜いた短剣の刃が混じらない青色と水色に輝いていた。
「「「…。」」」
三人はその短剣を凝視する。
不思議な短剣だ…。
手に収まる、しっくりとした感じにオルガは首を傾げた。
持ちやすくて、手に馴染む…。
それにしても…。
「…鞘から剣を抜くと光る?」
「そんなわけ有るか!」
ザザさんが隣で頭を押さえている。
どういう意味だろう…。
「えっと…名前は」
「僕はオルガ。『クルーラ』から来ました」
「ああ。ヨウドのヤツが『クルーラ』に居るって言ってたな…」
ザザさんが手を出したので、オルガは短剣を鞘に終い、ザザさんに手渡す。
「受け取りと請求書はヨウドに渡しておく」
「はぁ?」
いったいどう言う意味だろう…。
「あの…」
オルガが戸惑いながら聞くとザザさんが教えてくれた。
この店に置いてある剣は、魔石の粉や欠片を利用して作られた剣で、属性の適正が有れば剣が反応するんだそうだ。
混ぜられた魔石の分量の対比が、その人の魔力属性の比率と同じ場合、魔力を剣に通しやすく、魔力の負担が軽減されるのだと言う…。
と、言うことは、その短剣と僕の魔力対比が同じと言うこと…?
そして、その剣との対比が同じで、反応した場合、相手に剣を売るそうだ。
なかなか、適合する人は見つからないからだって…。
「…。」
ザザさんは、そそくさと短剣を箱に入れ、梱包し始めた。
良いのかな…。
あっ、でも後で、僕がお金を払えば良いか。
折り魔紙の制作手数料が有るから、何か欲しいものが有ったら言えよ。と、ヒナキさんには言われている。
うん。そうしよう…。
フェイの短剣を見に来たのに、僕のになってしまった…。
ふと見ると、フェイは箱の中から短剣を三本選んだみたいで、テーブルの上に置いて、悩んでいた。
短剣は一つの予定だから、迷っているのか…。
「どれかに決めれないんだよな…」
そうフェイがボヤいた声に、ザザさんが反応した。
「そうきたか…」
…何が?
1
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜
田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。
謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった!
異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?
地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。
冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……
封印されていたおじさん、500年後の世界で無双する
鶴井こう
ファンタジー
「魔王を押さえつけている今のうちに、俺ごとやれ!」と自ら犠牲になり、自分ごと魔王を封印した英雄ゼノン・ウェンライト。
突然目が覚めたと思ったら五百年後の世界だった。
しかもそこには弱体化して少女になっていた魔王もいた。
魔王を監視しつつ、とりあえず生活の金を稼ごうと、冒険者協会の門を叩くゼノン。
英雄ゼノンこと冒険者トントンは、おじさんだと馬鹿にされても気にせず、時代が変わってもその強さで無双し伝説を次々と作っていく。
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
隠密スキルでコレクター道まっしぐら
たまき 藍
ファンタジー
没落寸前の貴族に生まれた少女は、世にも珍しい”見抜く眼”を持っていた。
その希少性から隠し、閉じ込められて5つまで育つが、いよいよ家計が苦しくなり、人買いに売られてしまう。
しかし道中、隊商は強力な魔物に襲われ壊滅。少女だけが生き残った。
奇しくも自由を手にした少女は、姿を隠すため、魔物はびこる森へと駆け出した。
これはそんな彼女が森に入って10年後、サバイバル生活の中で隠密スキルを極め、立派な素材コレクターに成長してからのお話。
クラスまるごと異世界転移
八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。
ソレは突然訪れた。
『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』
そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。
…そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。
どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。
…大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても…
そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。
神様のミスで女に転生したようです
結城はる
ファンタジー
34歳独身の秋本修弥はごく普通の中小企業に勤めるサラリーマンであった。
いつも通り起床し朝食を食べ、会社へ通勤中だったがマンションの上から人が落下してきて下敷きとなってしまった……。
目が覚めると、目の前には絶世の美女が立っていた。
美女の話を聞くと、どうやら目の前にいる美女は神様であり私は死んでしまったということらしい
死んだことにより私の魂は地球とは別の世界に迷い込んだみたいなので、こっちの世界に転生させてくれるそうだ。
気がついたら、洞窟の中にいて転生されたことを確認する。
ん……、なんか違和感がある。股を触ってみるとあるべきものがない。
え……。
神様、私女になってるんですけどーーーー!!!
小説家になろうでも掲載しています。
URLはこちら→「https://ncode.syosetu.com/n7001ht/」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる