眠っていた魔力紙を折紙みたいに折ったら、新しい魔法の使い方が出来たので、役立てます。

ゆう

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熊族の町ベイエル

熊族の町へ

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 オルガは風魔法を使って『シュリケン』の練習をしたり、浮遊の練習をしながら、少しづつ成果を伸ばしていった。


 月末の今日は、月に一度の熊族の町へお出かけの日だ。
 『クルーラ』には学校が無いから、月末は熊族の学校に通っている。
 勉強はヒナキさんや白の館の人達が、見てくれるので、特に支障は無い。
 だけと『クルーラ』では、同じ年頃の子供達と接する事が出来ないので、熊族の町に行って、一緒に遊んだり、剣術を習ったり、お手伝いをするのが、とても楽しみだ。
 今回は、仲の良いアレイと一緒に、近くの湖に魚釣りに行く約束もしている。
 
 熊族の町に行くには、四日に一便の獣馬ジュウマの馬車に乗って移動する。
 『クルーラ』の近くに有る広場から、朝、獣馬車に乗って、昼過ぎには熊族の町にたどり着く。
 意外と近いのだ。
 馬車道は整備されているし、護衛の青の館の人も二人は乗ってるし、めったに危険なことは無い。
 いつもはアレクさんと一緒に熊族の町に向かうのだが、仕事が終わらなかったので、今回は、僕一人で熊族の町に行く事になった。
 だからか、ヒナキさんが…回りの人達が過保護になっている…。
 
 僕の装備は、腰に着けたポーチに折り魔紙の『シュリケン』が五個、『ヒコウキ』が二個、『コップ』が一個、携帯食、小型のナイフが一本。
 それだけでポーチは一杯だ。
 今回は、初めて『シュリケン』を装備した。
 まだ不安定ながらも、落ち着いてゆっくりとなら、風魔法を『シュリケン』に乗せることが出来るので、持つことを許された。
 と、言うか、持たされた…。

 『ヒコウキ』も、救難用だからか普段は一個だけしか持たないのだが、もう一個、追加された。
 『ヒコウキ』には僕の名前が書かれていて、魔力を込めて飛ばせば、近くの町の門番のところに届き、込められた魔力の痕跡を追って、助けに来てくれる仕組みになっていた。
 余力が有れば、『ヒコウキ』に助けを求めている場所や状況を書き込み飛ばす事も出来るのだ。
 一応、魔力紙は紙だからね…。

 左腰には短剣を提げて、いつもの斜め掛けのバックには、『折り魔紙』の入れ物と着替え、魔力ペンなどでバックの中も一杯だ。
 それ以外にも、ヒナキさんから渡された、対物用の魔道具のブレスレットを左手に付け、右手には対魔法用の魔道具を付けている。
 普段、何も付けないから、軽量化魔法が掛けてあるとは言え、結構重たい…。
 そこまでしなくても…。
 そう思ったけれど、それでも最低限度の装備だったらしい…。
 『クルーラ』の出入りで、忘れ物は無いかと、ヒナキさんに何度も聞かれ、初めて一人で、出掛けることになった。
 熊族の町までは送っていけないが、アレクさんが、『クルーラ』の外の広場、獣馬車乗り場まで送ってくれ、その道中にヒナキさんの過保護ぷりを聞いた。

 熊族の町まで獣馬車を護衛する二人の内の一人が、なぜかシュウベルさん…だとか…。
 えっ?
 シュウベルさんは『クルーラ』の警備隊だったよね…。
 急遽、ヒナキさんからの依頼で、獣馬車を護衛することになったらしい…。
 よく知った顔が有った方が、気分的に楽だろうと…。
 それって、僕の一人でのお出かけではないよね…。
 それも、帰りの獣馬車にもシュウベルさんが来ると言う…。
 何も無いことが前提だけど、過保護すぎたよね…。
 ちょっと嬉しいけれど…。

 
 オルガは、獣馬車乗り場から獣馬車に乗って、熊族の町に向かった。
 一応、シュウベルさんは獣馬車の護衛として、他人のふりしている…。
 獣馬車には十人が乗っていて、途中の村や集落で降りる人達もいた。
 最後の熊族の町まで行くのは僕を入れて四人。
 その内の二人は『クルーラ』に出稼ぎに来ている熊族の人達だったので、顔見知りだった。
 オルガはその人達と一緒に座り、いろんな話をしていると、彼らは「帰るのなら話し相手になってほしい」と、アレクさんに頼まれたみたいだった。
 有りがたいけれど、やっぱり過保護だよね…。

 
 そして昼過ぎには、何事も無く、熊族の町にたどり着いた。

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