53 / 182
森の聖域クルーラ
初めての買い物 4
しおりを挟む
「次はどこへ行く?」
「木工屋さん!」
テリヤさんのいる、お店だ。
木工屋さんも前の方がお店になっていて、後ろに木工所が有り、店の横の広場には、木造の小さな小屋が並んでいる。
三メートル四方くらいの小さな小屋と、折り魔紙用に作ってくれた僕のいる小屋と、その中間くらいの小屋、三棟が並んでいる。
これらも売り物で、荷物の運搬用や、仮設住宅として利用されるとか…。
そう言えば、地面にくっついていなかった。
運べるようになっているからだね…。
木工屋さんの店内は木の香りがした。
ここにも入り口付近に、木で作った置物が置かれており、棚には木のコップと皿が置かれている。
奥の方には、棚やテーブル、椅子などが置かれていて、部屋のようになっていた。
しばらく見て回ったけれど、コレと言って欲しいものはなかったので、木工屋さんを出る。
次は…。
オルガは木工屋さんの隣の建物を見る。
あれ?
この店は何の店だろう…?
外からは中の様子が見えない…。
「ここのお店は何のお店?」
オルガは、隣を歩くヒナキさんに聞く。
「ここは貸し本屋。『クルーラ』の住人は、自由に借りれるぞ」
「貸し本屋…」
どんな本が有るのだろう…。
「行ってみるか?」
「うん!」
向かった貸し本屋の扉を開けると、本独特の匂いがした。
折り魔紙を置いている小屋と同じくらいの店で、入り口にカウンターが有り、奥の本棚にはぎっしりと本が並べられていた。
「こんにちは。今日は何かお探しですか」
カウンターにいた男の人が聞いてくる。
「オルガは初めて使うから、仕組みを教えてあげてくれ」
ヒナキさんがそう言うと、カウンターの男の人、多分人族だと思う…。は、微笑んで教えてくれた。
ここには魔法、図鑑、地図などいろいろな本が有って、カウンターで『こんな本が見たい』と言ってくれれば、候補を何冊か持ってきてくれもするし、自分で探しても良いと言う。
本は、ここに見えるよりも多くあるので、目的がある場合は、カウンターに持ってきてもらう方が楽だとか…。
他にも、人族の方で流行っている娯楽小説も一部入荷していて、こちらは予約待ちと言う本もあるそうだ。
人族で流行っている本…。
ちょっと気になって、チラリと見せてもらった本は、小さい文字がびっしりと並んでいたので、断念した。
まだ、そこまで読めない…。
ソレ以外にも、ここに有る本を複写したい場合は、別料金を払うと、魔力紙に複写してくれて、『クルーラ』で複写されたモノ。と、言う『魔法印』が押され、文章の内容が改善されていないことを保証するそうだ。
複写したものを勝手に書き換えられても困るからね…。
僕がいつも見ているのは図鑑ばかりだから、何か違う本が良いな…。
そう思っていると、ヒナキさんが奥から、一冊の本を持ってきた。
「コレなんかどうだ?」
差し出されたのは、表紙に絵が書かれた薄い一冊の本。
オルガはそれを受け取り、1ページ開いてみる。
中身は絵と文字が書かれた本だった。
「コレは『絵本』。と、言っても、『クルーラ』の『絵本』だから、少し魔力を入れてみろ」
オルガが本に少し魔力を込めると、絵が立体的に浮かび上がってきた。
おおっ!
「中に魔方陣が組み込まれていて、浮かび上がるんだ。そのまま、次のページを捲れば、前の絵は消えて、次のページの絵が浮かび上がるだろう」
「面白いね」
「いつも図鑑ばかりだからな。違った本を読むなら、コレくらいの物語ぐらいから読み始めた方が、分かりやすいだろう」
「うん」
今まで読んでいたのは、図鑑。
説明書きと、用途、特徴などが書かれている。
物語はまだ、読んだことが無い…。
「まずはコレを借りて、読みなれてきたら、違う『絵本』を借りると良い」
「うん。わかった」
「こちらでも、何か読みやすそうなのを、準備しておきますよ」
カウンターの男の人がそう言って微笑んでくれる。
オルガは教えてもらいながら、貸し本の借り方の手続きを終え、鞄の中にしまった。
「ここには魔法の本も有るの?」
「有るよ。でも、初級の本を覚えてからだな。基礎知識が無くては、次の本を読んでもわからない事が多いからな」
「…やっぱりそうなんだ…」
最近、リーンさんが来ていないので、魔法の基礎練習をあまりやっていない…。
基本の魔力操作はやっても、まだ一人では、魔法の練習してはいけないと言われているから、あまり進んでいないのだ。
「まあ、自在に魔力操作だけでも出来るようになれば、すぐに覚えれるよ」
ヒナキさんはそう言って微笑む。
「…うん」
魔法の操作の危険性を教えてもらっているから、勝手に使ってみようとは思わない。
でもね、便利そうだから、早く使って見たい…気にはなるんだよね…。
「さて、次はどこへ行く?」
「うんとね…」
オルガはヒナキさんと一緒に『クルーラ』を散策しながら買い物を楽しんだ。
「木工屋さん!」
テリヤさんのいる、お店だ。
木工屋さんも前の方がお店になっていて、後ろに木工所が有り、店の横の広場には、木造の小さな小屋が並んでいる。
三メートル四方くらいの小さな小屋と、折り魔紙用に作ってくれた僕のいる小屋と、その中間くらいの小屋、三棟が並んでいる。
これらも売り物で、荷物の運搬用や、仮設住宅として利用されるとか…。
そう言えば、地面にくっついていなかった。
運べるようになっているからだね…。
木工屋さんの店内は木の香りがした。
ここにも入り口付近に、木で作った置物が置かれており、棚には木のコップと皿が置かれている。
奥の方には、棚やテーブル、椅子などが置かれていて、部屋のようになっていた。
しばらく見て回ったけれど、コレと言って欲しいものはなかったので、木工屋さんを出る。
次は…。
オルガは木工屋さんの隣の建物を見る。
あれ?
この店は何の店だろう…?
外からは中の様子が見えない…。
「ここのお店は何のお店?」
オルガは、隣を歩くヒナキさんに聞く。
「ここは貸し本屋。『クルーラ』の住人は、自由に借りれるぞ」
「貸し本屋…」
どんな本が有るのだろう…。
「行ってみるか?」
「うん!」
向かった貸し本屋の扉を開けると、本独特の匂いがした。
折り魔紙を置いている小屋と同じくらいの店で、入り口にカウンターが有り、奥の本棚にはぎっしりと本が並べられていた。
「こんにちは。今日は何かお探しですか」
カウンターにいた男の人が聞いてくる。
「オルガは初めて使うから、仕組みを教えてあげてくれ」
ヒナキさんがそう言うと、カウンターの男の人、多分人族だと思う…。は、微笑んで教えてくれた。
ここには魔法、図鑑、地図などいろいろな本が有って、カウンターで『こんな本が見たい』と言ってくれれば、候補を何冊か持ってきてくれもするし、自分で探しても良いと言う。
本は、ここに見えるよりも多くあるので、目的がある場合は、カウンターに持ってきてもらう方が楽だとか…。
他にも、人族の方で流行っている娯楽小説も一部入荷していて、こちらは予約待ちと言う本もあるそうだ。
人族で流行っている本…。
ちょっと気になって、チラリと見せてもらった本は、小さい文字がびっしりと並んでいたので、断念した。
まだ、そこまで読めない…。
ソレ以外にも、ここに有る本を複写したい場合は、別料金を払うと、魔力紙に複写してくれて、『クルーラ』で複写されたモノ。と、言う『魔法印』が押され、文章の内容が改善されていないことを保証するそうだ。
複写したものを勝手に書き換えられても困るからね…。
僕がいつも見ているのは図鑑ばかりだから、何か違う本が良いな…。
そう思っていると、ヒナキさんが奥から、一冊の本を持ってきた。
「コレなんかどうだ?」
差し出されたのは、表紙に絵が書かれた薄い一冊の本。
オルガはそれを受け取り、1ページ開いてみる。
中身は絵と文字が書かれた本だった。
「コレは『絵本』。と、言っても、『クルーラ』の『絵本』だから、少し魔力を入れてみろ」
オルガが本に少し魔力を込めると、絵が立体的に浮かび上がってきた。
おおっ!
「中に魔方陣が組み込まれていて、浮かび上がるんだ。そのまま、次のページを捲れば、前の絵は消えて、次のページの絵が浮かび上がるだろう」
「面白いね」
「いつも図鑑ばかりだからな。違った本を読むなら、コレくらいの物語ぐらいから読み始めた方が、分かりやすいだろう」
「うん」
今まで読んでいたのは、図鑑。
説明書きと、用途、特徴などが書かれている。
物語はまだ、読んだことが無い…。
「まずはコレを借りて、読みなれてきたら、違う『絵本』を借りると良い」
「うん。わかった」
「こちらでも、何か読みやすそうなのを、準備しておきますよ」
カウンターの男の人がそう言って微笑んでくれる。
オルガは教えてもらいながら、貸し本の借り方の手続きを終え、鞄の中にしまった。
「ここには魔法の本も有るの?」
「有るよ。でも、初級の本を覚えてからだな。基礎知識が無くては、次の本を読んでもわからない事が多いからな」
「…やっぱりそうなんだ…」
最近、リーンさんが来ていないので、魔法の基礎練習をあまりやっていない…。
基本の魔力操作はやっても、まだ一人では、魔法の練習してはいけないと言われているから、あまり進んでいないのだ。
「まあ、自在に魔力操作だけでも出来るようになれば、すぐに覚えれるよ」
ヒナキさんはそう言って微笑む。
「…うん」
魔法の操作の危険性を教えてもらっているから、勝手に使ってみようとは思わない。
でもね、便利そうだから、早く使って見たい…気にはなるんだよね…。
「さて、次はどこへ行く?」
「うんとね…」
オルガはヒナキさんと一緒に『クルーラ』を散策しながら買い物を楽しんだ。
34
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜
仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。
森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。
その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。
これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語
今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ!
競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。
まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。


異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?
夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。
気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。
落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。
彼らはこの世界の神。
キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。
ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。
「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる