22 / 182
森の聖域クルーラ
お試し
しおりを挟む
オルガは部屋へ戻って、魔力紙の入った鞄を持って、談話室へと戻ってきた。
部屋に入ってから、何か期待に満ちた視線が刺さる。
うわ~っ。
ドキドキする…。
オルガはダンリーさんの隣に座り、鞄から魔力紙を一枚取り出すと、テーブルの上で『ツル』を折り始めた。
角と角を合わせて三角に折って、もう一度、三角に折って…。
オルガが順番に折っていくと、みんな興味を持って覗いてくる。
見られながら、緊張しながら、折り進み、『ツル』を折った。
折り終わると、リリスさんに光の魔法を掛けてもらう。
すると、ゆっくりと黄色く染まっていき、周りから「お~っ」と歓声が響く。
何度見ても、不思議だよね。
そして僕が羽を広げ、下から魔力を入れると、一瞬光って明かりを灯した。
「「「お~っ!」」」
「「凄い!」」
歓声が上がる。
やっぱり凄い事なんだ…。
「僕、こっちを試したい!」
「私も!同じ原理なら、光の魔法が使えなくても、明かりを灯せるのよね!」
凄い勢いで二人がオルガに近付いて来る。
「うっ、うん…」
オルガは手に持っていた『ツル』の羽を閉じると、明かりが消えた。
「「「おおっ…!」」」
再び歓声が上がり、オルガはビクっと驚いた。
さっきよりも近くで歓声が上がったからだ。
そっと上を向くと、オルガの周りにみんな集まっていて、オルガはドキドキしながら説明した。
「そっと羽を開いて、下から魔力を入れると明かりが灯るよ」
そう言って、目の前にいる兎族の女の人に『ツル』を渡す。
その人は嬉しそうに『ツル』の羽を開き、片手で『ツル』の羽を持つと、下から魔力を入れ、再び『ツル』が明かりを灯した。
「ああっ!明かりが灯った!」
そう言って、嬉しそうに『ツル』を片方の羽を持ったまま、振り回して跳び跳ねる。
ああ…。
無理すると破れるよ…。
多分…。
一応、魔力紙とは言え紙だと思うから…。
オルガは鞄から再び魔力紙を取り出し、『ツル』を折り始めた。
もう一人、試してくれると言った人の分と、オルガも自分の部屋で試してみるための、光の魔法を掛けた『ツル』も欲しかったからだ。
予備を含めて四枚折り終えて、リリスさんに光の魔法を掛けてもらい、黄色く『ツル』の色が変わった。
リリスさんも、思いついた事を検証してみると言って、一つ『ツル』を手に取り部屋へ戻っていった。
何を思いついたのだろう…。
ちょっと楽しみ。
そして案の定、最初に『ツル』を手にした兎族の女の人がジャンプしている内に明かりが消えてしまい、彼女は硬直し、恐る恐る『ツル』に視線を向けていた。
そして彼女は、しょんぼりと僕の所に戻ってきて、『ツル』を差し出してきた。
「ごめんなさい…」
「良いよ…」
オルガは『ツル』を受け取り観察する。
どうして消えたのか…。
今は、お試しの時で、観察して記録する事も大切だと教えてもらった。
見れば、破れはしなかったが、羽の付け根に折り目が付いて、羽が折り曲がってしまっていた。
オルガは目の前で、しょんぼりとしている彼女に言う。
「記録を書いてくれる?」
「えっ?!」
彼女は僕を不思議そうに見る。
「僕、まだ文字が書けなくて…」
「ああ…」
僕が『迷い人』だと言うことを忘れてたね。
「魔力紙の『ツル』に光の魔力を入れて、明かりが灯ったけれど、違う折り目が付いたら、明かりが消えたって」
「うん!書く書く!」
彼女は嬉しそうに頷く。
「あと、気が付いたことも!」
オルガがそう言い終える前に、彼女は談話室を飛び出し、自分の魔力ペンを持ってくると、用意してあった紙に書き込んでくれた。
そして『コップ』を使った人達が、口々に言うことを書き留めてもくれている。
オルガがダンリーさんの方を見ると、苦笑いして僕の頭を撫でてくれた。
これで良かった、って事だよね…。
さて、折り目が付いて、使えなくなくなると言うことは、持ち運びしたときに、鞄に入れた魔力紙に折り目が付いたり、折りたたんだ『ツル』が折れ曲がってもダメだと言うこと…。
持ち運んでいる内に、使えなくなるのはダメだよね…。
オルガは鞄の中から残りの魔力紙を取り出す。
枚数が有ったから、折れ曲がったりはしていない…。
「どうした?」
隣にいたダンリーさんが、僕の行動が気になって声をかけてきた。
「このまま鞄に魔力紙を入れて置いたら、くしゃくしゃになるなって…」
「そうだな…。ソレを入れる入れ物か…」
「うん。なるべく軽くて丈夫な方が良いけど…」
魔力紙とは言え、紙なのだ。
折り目を付けないように、持ち運びが出来ないと都合が悪い…。
鞄入れて持ち歩くなら、軽い方が良いし…。
するとダンリーさんが少し考えて、『コップ』を試している人達の方を向いて声をけた。
「おい。ペレス」
部屋に入ってから、何か期待に満ちた視線が刺さる。
うわ~っ。
ドキドキする…。
オルガはダンリーさんの隣に座り、鞄から魔力紙を一枚取り出すと、テーブルの上で『ツル』を折り始めた。
角と角を合わせて三角に折って、もう一度、三角に折って…。
オルガが順番に折っていくと、みんな興味を持って覗いてくる。
見られながら、緊張しながら、折り進み、『ツル』を折った。
折り終わると、リリスさんに光の魔法を掛けてもらう。
すると、ゆっくりと黄色く染まっていき、周りから「お~っ」と歓声が響く。
何度見ても、不思議だよね。
そして僕が羽を広げ、下から魔力を入れると、一瞬光って明かりを灯した。
「「「お~っ!」」」
「「凄い!」」
歓声が上がる。
やっぱり凄い事なんだ…。
「僕、こっちを試したい!」
「私も!同じ原理なら、光の魔法が使えなくても、明かりを灯せるのよね!」
凄い勢いで二人がオルガに近付いて来る。
「うっ、うん…」
オルガは手に持っていた『ツル』の羽を閉じると、明かりが消えた。
「「「おおっ…!」」」
再び歓声が上がり、オルガはビクっと驚いた。
さっきよりも近くで歓声が上がったからだ。
そっと上を向くと、オルガの周りにみんな集まっていて、オルガはドキドキしながら説明した。
「そっと羽を開いて、下から魔力を入れると明かりが灯るよ」
そう言って、目の前にいる兎族の女の人に『ツル』を渡す。
その人は嬉しそうに『ツル』の羽を開き、片手で『ツル』の羽を持つと、下から魔力を入れ、再び『ツル』が明かりを灯した。
「ああっ!明かりが灯った!」
そう言って、嬉しそうに『ツル』を片方の羽を持ったまま、振り回して跳び跳ねる。
ああ…。
無理すると破れるよ…。
多分…。
一応、魔力紙とは言え紙だと思うから…。
オルガは鞄から再び魔力紙を取り出し、『ツル』を折り始めた。
もう一人、試してくれると言った人の分と、オルガも自分の部屋で試してみるための、光の魔法を掛けた『ツル』も欲しかったからだ。
予備を含めて四枚折り終えて、リリスさんに光の魔法を掛けてもらい、黄色く『ツル』の色が変わった。
リリスさんも、思いついた事を検証してみると言って、一つ『ツル』を手に取り部屋へ戻っていった。
何を思いついたのだろう…。
ちょっと楽しみ。
そして案の定、最初に『ツル』を手にした兎族の女の人がジャンプしている内に明かりが消えてしまい、彼女は硬直し、恐る恐る『ツル』に視線を向けていた。
そして彼女は、しょんぼりと僕の所に戻ってきて、『ツル』を差し出してきた。
「ごめんなさい…」
「良いよ…」
オルガは『ツル』を受け取り観察する。
どうして消えたのか…。
今は、お試しの時で、観察して記録する事も大切だと教えてもらった。
見れば、破れはしなかったが、羽の付け根に折り目が付いて、羽が折り曲がってしまっていた。
オルガは目の前で、しょんぼりとしている彼女に言う。
「記録を書いてくれる?」
「えっ?!」
彼女は僕を不思議そうに見る。
「僕、まだ文字が書けなくて…」
「ああ…」
僕が『迷い人』だと言うことを忘れてたね。
「魔力紙の『ツル』に光の魔力を入れて、明かりが灯ったけれど、違う折り目が付いたら、明かりが消えたって」
「うん!書く書く!」
彼女は嬉しそうに頷く。
「あと、気が付いたことも!」
オルガがそう言い終える前に、彼女は談話室を飛び出し、自分の魔力ペンを持ってくると、用意してあった紙に書き込んでくれた。
そして『コップ』を使った人達が、口々に言うことを書き留めてもくれている。
オルガがダンリーさんの方を見ると、苦笑いして僕の頭を撫でてくれた。
これで良かった、って事だよね…。
さて、折り目が付いて、使えなくなくなると言うことは、持ち運びしたときに、鞄に入れた魔力紙に折り目が付いたり、折りたたんだ『ツル』が折れ曲がってもダメだと言うこと…。
持ち運んでいる内に、使えなくなるのはダメだよね…。
オルガは鞄の中から残りの魔力紙を取り出す。
枚数が有ったから、折れ曲がったりはしていない…。
「どうした?」
隣にいたダンリーさんが、僕の行動が気になって声をかけてきた。
「このまま鞄に魔力紙を入れて置いたら、くしゃくしゃになるなって…」
「そうだな…。ソレを入れる入れ物か…」
「うん。なるべく軽くて丈夫な方が良いけど…」
魔力紙とは言え、紙なのだ。
折り目を付けないように、持ち運びが出来ないと都合が悪い…。
鞄入れて持ち歩くなら、軽い方が良いし…。
するとダンリーさんが少し考えて、『コップ』を試している人達の方を向いて声をけた。
「おい。ペレス」
24
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
治癒術師の非日常―辺境の治癒術師と異世界から来た魔術師による成長物語―
物部妖狐
ファンタジー
小さな村にある小さな丘の上に住む治癒術師
そんな彼が出会った一人の女性
日々を平穏に暮らしていたい彼の生活に起こる変化の物語。
小説家になろう様、カクヨム様、ノベルピア様へも投稿しています。
表紙画像はAIで作成した主人公です。
キャラクターイラストも、執筆用のイメージを作る為にAIで作成しています。
更新頻度:月、水、金更新予定、投稿までの間に『箱庭幻想譚』と『氷翼の天使』及び、【魔王様のやり直し】を読んで頂けると嬉しいです。
喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜
田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。
謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった!
異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?
地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。
冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……
辺境で厳しめスローライフ転生かと思いきやまさかのヒロイン。からの悪役令嬢入れ替わり?
神室さち
ファンタジー
北の辺境村で生まれて八年後、高熱を出して生死をさまよったことで前世を思い出したリリ。
色々あって名前も変わり、何の因果か強制力か、貴族子女が必ず入学しなくてはならない学園で、なんだか乙女ゲーム的なヒロインに。
前世、そう言った物語が流行っていたことは知っているけど、乙女ゲームなどやったこともなかったので、攻略の仕方など、わかるはずもないまま、どうにか流れに逆らおうとするものの裏目に出るばかり。
どんなに頑張っても、それを上回る強制力と脳みそお花畑の攻略対象のせいで、立派なヒロインに、なってしまっていた。
そして、シナリオ通り(?)断罪されたのは悪役令嬢。彼女に呼び出された先で、思わぬ事態に巻き込まれ、ヒロインは歓喜した。
「っしゃああぁぁぁぁッ!!! よくわからんけどコレ確実にシナリオから抜けたァア!!!」
悪役令嬢と入れ替わっちゃったヒロインが、その後を切り開いていったり、過去を振り返ったりする物語です。
恋愛要素は薄い。
ヒロインは攻略対象にも悪役令嬢にもかかわってこなければどうでもいいと思ってるんで、ヒロインやその周りからの直接ざまぁはありません。
封印されていたおじさん、500年後の世界で無双する
鶴井こう
ファンタジー
「魔王を押さえつけている今のうちに、俺ごとやれ!」と自ら犠牲になり、自分ごと魔王を封印した英雄ゼノン・ウェンライト。
突然目が覚めたと思ったら五百年後の世界だった。
しかもそこには弱体化して少女になっていた魔王もいた。
魔王を監視しつつ、とりあえず生活の金を稼ごうと、冒険者協会の門を叩くゼノン。
英雄ゼノンこと冒険者トントンは、おじさんだと馬鹿にされても気にせず、時代が変わってもその強さで無双し伝説を次々と作っていく。
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
隠密スキルでコレクター道まっしぐら
たまき 藍
ファンタジー
没落寸前の貴族に生まれた少女は、世にも珍しい”見抜く眼”を持っていた。
その希少性から隠し、閉じ込められて5つまで育つが、いよいよ家計が苦しくなり、人買いに売られてしまう。
しかし道中、隊商は強力な魔物に襲われ壊滅。少女だけが生き残った。
奇しくも自由を手にした少女は、姿を隠すため、魔物はびこる森へと駆け出した。
これはそんな彼女が森に入って10年後、サバイバル生活の中で隠密スキルを極め、立派な素材コレクターに成長してからのお話。
ただの世界最強の村人と双子の弟子
ヒロ
ファンタジー
とある村にある森に、世界最強の大英雄が村人として生活していた。 そこにある双子の姉妹がやってきて弟子入りを志願する!
主人公は姉妹、大英雄です。
学生なので投稿ペースは一応20時を目安に毎日投稿する予定ですが確実ではありません。
本編は完結しましたが、お気に入り登録者200人で公開する話が残ってます。
次回作は公開しているので、そちらも是非。
誤字・誤用等があったらお知らせ下さい。
初心者なので訂正することが多くなります。
気軽に感想・アドバイスを頂けると有難いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる