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森の聖域 2
リーンの家 1
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ヒナキに耳飾りの入った箱をもらい、四人で『森の聖域』へと向かった。
クルーラのヒナキの家の横に、隠し通路が有る。
馬車がギリギリ通れるくらいの道幅しかないが、普段は魔法で隠されている『森の聖域』直通の道だ。
『森の聖域』で、果実や薬草などを収穫して、この通路から運んで来るのが安全だからだ。
運ぶのも、浮遊魔法を使って木箱を浮かせて運ぶから、通路さえ有れば簡単にクルーラへ運ぶことが出来る。
四人は歩いて数分の場所に有る『森の聖域』へと足を踏み入れた。
『森の聖域』に入ると、空気が一変する。
今まで以上の濃い魔素が充満し、辺りを風霊達がフワフワと飛び回るのが見える。
普段は見ることが出来ない風霊達の姿が見えるだ。
「ココは凄い所だな…」
ルークがボソリと呟く。
そうだな…。
ルークがいる人族の国では考えられないような光景だろう。
入り口付近は、いろんな果実が木になり、木霊達が葉っぱの間から顔を覗かせ、熟した果実を収穫している獣人達がいる。
果樹園を抜けると木々で囲まれた草原が広がり、木造の家と巨大な木があり、川が流れている。
川には水霊が泳いでいて、時折跳び跳ねて水しぶきをあげ姿を見せる。
四人は木造の家に向かって歩き、ルークは近づくにつれ大きく見える世界樹を見上げていた。
木造の家の中は何年も帰っていないのに、綺麗に掃除されていて、いつでも使えるようになっている。
クルーラの住人が時々掃除をしてくれているのだ。
「僕達は帰るよ。明日の朝、見届けに来る」
ヒナキがそう言って微笑む。
ヒナキは、ルークが『森の聖域』に順応するか、確認しに来たのだ。
帰ると言うことは、大丈夫なのだろう。
「ありがとう」
「くれぐれも、無茶をするなよ」
ヒイロは笑いながらルークに言う。
何故、ルークに…?
「わかってる」
ルークが苦笑いすると、二人はもと来た道を戻っていった。
時間はまだあるし、リーンは部屋の中を案内した。
この家はクルーラとよく似ていて、最初の部屋にテーブルやソファー、リビングが有り、のんびり過ごす場所だ。
奥の扉を開けると、廊下が有り、寝室、浴室などが続き、その奥の扉を開くと書斎だ。
ココからは別の空間になるので、歴代の『私』が集めた書籍も貯蔵されている。
入り口付近に机と椅子とテーブルと大きなソファーが置かれ、よくソファーに寝転んで本を読んでいた。
「凄い量だな…」
ルークが辺りを見回しながら言う。
「私が集めた本は、手前の方の本棚に入っているよ。…気が付くと本棚が増えてたり、ジャンル別に並べられたりしているんだ」
「…出入り自由なのか?」
「…ヒナキと、ヒイロと、あと何人か…。登録されている者だけが入れるようになっている。…クルーラの村の家も同じだよ。二つ目の部屋に入れるのは、登録者だけ」
「…便利なような不便なような…」
ルークは苦笑いする。
「使いこなせれば、便利だよ」
リーンは微笑んだ。
各家によって、追加で付け足した魔法の仕様が違う。
この部屋は『記憶の図書館』のように、探している本を呼ぶと、自ら机に移動してきてくれる。
片付けなくても、自ら、もと置いて有った場所に戻ってくれるから、どこに置けば良いか悩まなくてすむ。
呼んでも、たまに大量に移動してきたり、一冊も来なかったりもするが…。
「ぶらりと散歩しながら、本を見ていくのも良いけど、迷子になるから気を付けて」
時々、木霊達が風通しを良くするため、本棚を移動させ、迷宮のようになることが有るのだ。
「視界に、この場所が見える所までしか、行かない方が良いよ」
そう言ってリーンは微笑んだ。
ルークは本棚を見ながら少し奥に進むが、直ぐにリーンの元に戻ってきた。
「…しばらく会えなくなるんだぞ。ココは後でゆっくりと見て回る」
そう言ってリーンを抱き上げる。
「…ルーク…?」
「時間が無い。寝室に行くぞ!」
「…えっ!?」
ルークに抱き上げられたまま、さっき案内した寝室に入り、ベッドの上に下ろされ、ルークが口付けしてくる。
「…無茶はしないから…」
そう言って微笑まれ、さっきヒイロが『無茶をするなよ』と、言っていた意味がわかった!
リーンは頬を染め、ルークを引き寄せる。
「私にルークの魔力を注いで…」
クルーラのヒナキの家の横に、隠し通路が有る。
馬車がギリギリ通れるくらいの道幅しかないが、普段は魔法で隠されている『森の聖域』直通の道だ。
『森の聖域』で、果実や薬草などを収穫して、この通路から運んで来るのが安全だからだ。
運ぶのも、浮遊魔法を使って木箱を浮かせて運ぶから、通路さえ有れば簡単にクルーラへ運ぶことが出来る。
四人は歩いて数分の場所に有る『森の聖域』へと足を踏み入れた。
『森の聖域』に入ると、空気が一変する。
今まで以上の濃い魔素が充満し、辺りを風霊達がフワフワと飛び回るのが見える。
普段は見ることが出来ない風霊達の姿が見えるだ。
「ココは凄い所だな…」
ルークがボソリと呟く。
そうだな…。
ルークがいる人族の国では考えられないような光景だろう。
入り口付近は、いろんな果実が木になり、木霊達が葉っぱの間から顔を覗かせ、熟した果実を収穫している獣人達がいる。
果樹園を抜けると木々で囲まれた草原が広がり、木造の家と巨大な木があり、川が流れている。
川には水霊が泳いでいて、時折跳び跳ねて水しぶきをあげ姿を見せる。
四人は木造の家に向かって歩き、ルークは近づくにつれ大きく見える世界樹を見上げていた。
木造の家の中は何年も帰っていないのに、綺麗に掃除されていて、いつでも使えるようになっている。
クルーラの住人が時々掃除をしてくれているのだ。
「僕達は帰るよ。明日の朝、見届けに来る」
ヒナキがそう言って微笑む。
ヒナキは、ルークが『森の聖域』に順応するか、確認しに来たのだ。
帰ると言うことは、大丈夫なのだろう。
「ありがとう」
「くれぐれも、無茶をするなよ」
ヒイロは笑いながらルークに言う。
何故、ルークに…?
「わかってる」
ルークが苦笑いすると、二人はもと来た道を戻っていった。
時間はまだあるし、リーンは部屋の中を案内した。
この家はクルーラとよく似ていて、最初の部屋にテーブルやソファー、リビングが有り、のんびり過ごす場所だ。
奥の扉を開けると、廊下が有り、寝室、浴室などが続き、その奥の扉を開くと書斎だ。
ココからは別の空間になるので、歴代の『私』が集めた書籍も貯蔵されている。
入り口付近に机と椅子とテーブルと大きなソファーが置かれ、よくソファーに寝転んで本を読んでいた。
「凄い量だな…」
ルークが辺りを見回しながら言う。
「私が集めた本は、手前の方の本棚に入っているよ。…気が付くと本棚が増えてたり、ジャンル別に並べられたりしているんだ」
「…出入り自由なのか?」
「…ヒナキと、ヒイロと、あと何人か…。登録されている者だけが入れるようになっている。…クルーラの村の家も同じだよ。二つ目の部屋に入れるのは、登録者だけ」
「…便利なような不便なような…」
ルークは苦笑いする。
「使いこなせれば、便利だよ」
リーンは微笑んだ。
各家によって、追加で付け足した魔法の仕様が違う。
この部屋は『記憶の図書館』のように、探している本を呼ぶと、自ら机に移動してきてくれる。
片付けなくても、自ら、もと置いて有った場所に戻ってくれるから、どこに置けば良いか悩まなくてすむ。
呼んでも、たまに大量に移動してきたり、一冊も来なかったりもするが…。
「ぶらりと散歩しながら、本を見ていくのも良いけど、迷子になるから気を付けて」
時々、木霊達が風通しを良くするため、本棚を移動させ、迷宮のようになることが有るのだ。
「視界に、この場所が見える所までしか、行かない方が良いよ」
そう言ってリーンは微笑んだ。
ルークは本棚を見ながら少し奥に進むが、直ぐにリーンの元に戻ってきた。
「…しばらく会えなくなるんだぞ。ココは後でゆっくりと見て回る」
そう言ってリーンを抱き上げる。
「…ルーク…?」
「時間が無い。寝室に行くぞ!」
「…えっ!?」
ルークに抱き上げられたまま、さっき案内した寝室に入り、ベッドの上に下ろされ、ルークが口付けしてくる。
「…無茶はしないから…」
そう言って微笑まれ、さっきヒイロが『無茶をするなよ』と、言っていた意味がわかった!
リーンは頬を染め、ルークを引き寄せる。
「私にルークの魔力を注いで…」
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