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神の宿り木~再生 2~
キリトとキラ 6
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翌日、炎の結晶石を二個、真っ二つにし終わったとき、ワイトデ自治区から連絡が来て、明日の昼頃過ぎにはリーン達が戻ってくると言われた。
だったら、時間がない。
「明日は、アリミネ火山に近付かないように通達して。…大きい魔法を使うから」
リーン達の連絡をくれた者に、炎の竜が伝令をお願いし、彼らはすぐさま戻っていった。
リーン達が戻ってきたら、炎の魔法石を作るのか…。
「…明日、温泉の近くまで運んできて」
炎の竜はそう言って、『炎の竜の温泉』と呼ばれる湖の方に向かっていった。
炎の魔法石を作るための準備にでも向かったのかもしれない。
キリトは割れた炎の結晶石を部屋の中にしまい、ソファーに横たわり休憩した。
…明日で炎の竜の添い寝は終わりだ。
目的の炎の魔法石を手に入れたら、カザンナ王国へと戻ることになる。
…せめて寝心地の悪そうな、あの寝室だけは何とかしてあげたいな…。
そんな事を思いながら、いつの間にか眠っていた。
翌日、炎の竜に指定された場所に炎の結晶石を持っていくと、地面が丸く焼けていて、そこから魔力を感じた。
炎の竜は中央に断面を上に向けて炎の結晶石を置き、その回りに中央を向くように六個の炎の結晶石を置いた。
「部屋に有る小さい炎の結晶石を挟むから、持ってきて欲しいんだけど…」
「だったら、お前も来い。…その中に気に入っている…大切な炎の結晶石が有るだろう。それ以外を持ってくる」
キリトはここぞとばかりに、あの部屋の炎の結晶石を使いきってやろうと思ったからだ。
全部持ってきて、部屋をスッキリさせる!
「…。」
炎の竜は驚いて、苦笑いする。
「たくさん有るよ…」
「リーン達が帰ってくるまでに運べるだけ運ぶ」
しばらく沈黙していた炎の竜は、小屋に向かって歩き出し、キリトもそのあとを追った。
結界を作ってくれた青年達に透明なビンと、大きめの袋を幾つか準備してもらっていた。
彼らの話しによると、一般的に炎の結晶石は小さいものしか取引されていないそうだ。
大きいモノは魔力が強すぎて、使いこなせないらしい。
そのビンの中に、指先ほど小粒のモノだけを区別しようと思ったからだ。
そして大きめの袋に、炎の結晶石を詰め込んで、運び出すためだ。
炎の竜が選んだモノはベッドの上に置いて、キリトは、それ以外を袋に無造作に詰めだした。
それを見ていた青年達は目を丸くする。
「そんな乱暴に扱っても大丈夫でしょうか…」
…炎の結晶石の価値を知っている彼らにとっては、乱暴な扱いに見えるのだろう。
「…袋に詰めたモノを『炎の竜の温泉』にいる炎の竜のところへ、持っていってくれ」
青年達は頷いて、袋を持ち上げる。
「…かなり重たいですが…」
「軽減魔法を掛ければ…。…もしかして、使えない?」
青年達は苦笑いして頷く。
だったら仕方がない。
「量を減らすから、回数を多くこなしてくれ」
「すみません」
「…これを全部運ぶつもりだから、頑張ってくれよ」
「…全部ですか…」
青年達は青ざめて部屋の中を見回す。
「応援を呼んできて良いですか」
「ああ。…入れる袋も持ってこいよ」
「はい!」
青年一人はワイトデ自治区の方に戻っていき、もう一人は汗をかきながら袋を『炎の竜の温泉』へと運び出した。
結界を張るのは強いが、体力は無さそうだ。
…誰か、区別するのも手伝ってくれると良いが…。
キリトはそんな事を思いながら、黙々と作業した。
応援の手伝いが来てくれたおかげで、昼過ぎにはほとんどの炎の結晶石を運び出すことが出来た。
まだ、見に行っていないが、炎の結晶石を山積みにしている、あっちはすごいことになっていそうだ…。
昼食は、彼らの仲間が昼前に持ってきてくれ、食べ終わると再度作業を再開した。
もうすぐリーン達が戻ってくる。
炎の結晶石を運び出した寝室は、かなりの広さがあった。
竜体でも寝転べるような大きいベッドだったのだと、今更ながら思う。
それだけ無造作に炎の結晶石が置かれていてのだ。
炎のりが選んだモノを何も無くなった棚に並べる。
…これくらいなら、インテリアとして置いてあっても、普通の部屋に見える。
ビンに入れた小さい炎の結晶石は、窓際の出窓の上に一個置き、光を浴びてキラキラと輝いている。
残りは炎の結晶石を飾った棚の下の方に置いた。
キリトは綺麗にスッキリとした部屋を眺め、満足して寝室の扉を閉めた。
…あとは、リーン達の帰りを待つだけ…。
だったら、時間がない。
「明日は、アリミネ火山に近付かないように通達して。…大きい魔法を使うから」
リーン達の連絡をくれた者に、炎の竜が伝令をお願いし、彼らはすぐさま戻っていった。
リーン達が戻ってきたら、炎の魔法石を作るのか…。
「…明日、温泉の近くまで運んできて」
炎の竜はそう言って、『炎の竜の温泉』と呼ばれる湖の方に向かっていった。
炎の魔法石を作るための準備にでも向かったのかもしれない。
キリトは割れた炎の結晶石を部屋の中にしまい、ソファーに横たわり休憩した。
…明日で炎の竜の添い寝は終わりだ。
目的の炎の魔法石を手に入れたら、カザンナ王国へと戻ることになる。
…せめて寝心地の悪そうな、あの寝室だけは何とかしてあげたいな…。
そんな事を思いながら、いつの間にか眠っていた。
翌日、炎の竜に指定された場所に炎の結晶石を持っていくと、地面が丸く焼けていて、そこから魔力を感じた。
炎の竜は中央に断面を上に向けて炎の結晶石を置き、その回りに中央を向くように六個の炎の結晶石を置いた。
「部屋に有る小さい炎の結晶石を挟むから、持ってきて欲しいんだけど…」
「だったら、お前も来い。…その中に気に入っている…大切な炎の結晶石が有るだろう。それ以外を持ってくる」
キリトはここぞとばかりに、あの部屋の炎の結晶石を使いきってやろうと思ったからだ。
全部持ってきて、部屋をスッキリさせる!
「…。」
炎の竜は驚いて、苦笑いする。
「たくさん有るよ…」
「リーン達が帰ってくるまでに運べるだけ運ぶ」
しばらく沈黙していた炎の竜は、小屋に向かって歩き出し、キリトもそのあとを追った。
結界を作ってくれた青年達に透明なビンと、大きめの袋を幾つか準備してもらっていた。
彼らの話しによると、一般的に炎の結晶石は小さいものしか取引されていないそうだ。
大きいモノは魔力が強すぎて、使いこなせないらしい。
そのビンの中に、指先ほど小粒のモノだけを区別しようと思ったからだ。
そして大きめの袋に、炎の結晶石を詰め込んで、運び出すためだ。
炎の竜が選んだモノはベッドの上に置いて、キリトは、それ以外を袋に無造作に詰めだした。
それを見ていた青年達は目を丸くする。
「そんな乱暴に扱っても大丈夫でしょうか…」
…炎の結晶石の価値を知っている彼らにとっては、乱暴な扱いに見えるのだろう。
「…袋に詰めたモノを『炎の竜の温泉』にいる炎の竜のところへ、持っていってくれ」
青年達は頷いて、袋を持ち上げる。
「…かなり重たいですが…」
「軽減魔法を掛ければ…。…もしかして、使えない?」
青年達は苦笑いして頷く。
だったら仕方がない。
「量を減らすから、回数を多くこなしてくれ」
「すみません」
「…これを全部運ぶつもりだから、頑張ってくれよ」
「…全部ですか…」
青年達は青ざめて部屋の中を見回す。
「応援を呼んできて良いですか」
「ああ。…入れる袋も持ってこいよ」
「はい!」
青年一人はワイトデ自治区の方に戻っていき、もう一人は汗をかきながら袋を『炎の竜の温泉』へと運び出した。
結界を張るのは強いが、体力は無さそうだ。
…誰か、区別するのも手伝ってくれると良いが…。
キリトはそんな事を思いながら、黙々と作業した。
応援の手伝いが来てくれたおかげで、昼過ぎにはほとんどの炎の結晶石を運び出すことが出来た。
まだ、見に行っていないが、炎の結晶石を山積みにしている、あっちはすごいことになっていそうだ…。
昼食は、彼らの仲間が昼前に持ってきてくれ、食べ終わると再度作業を再開した。
もうすぐリーン達が戻ってくる。
炎の結晶石を運び出した寝室は、かなりの広さがあった。
竜体でも寝転べるような大きいベッドだったのだと、今更ながら思う。
それだけ無造作に炎の結晶石が置かれていてのだ。
炎のりが選んだモノを何も無くなった棚に並べる。
…これくらいなら、インテリアとして置いてあっても、普通の部屋に見える。
ビンに入れた小さい炎の結晶石は、窓際の出窓の上に一個置き、光を浴びてキラキラと輝いている。
残りは炎の結晶石を飾った棚の下の方に置いた。
キリトは綺麗にスッキリとした部屋を眺め、満足して寝室の扉を閉めた。
…あとは、リーン達の帰りを待つだけ…。
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