神の宿り木~旅の途中~ジン~

ゆう

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2 タミネキ村

*捧げ物 1

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 山のふもとから三十分ほど登ると、お堂が見えてきた。
 辺りも日が昇ったのか明るくなってきている。
 とはいえ、木々に覆われている為、薄暗さはある。
 村人達は緊張の中を捧げ物の準備をし始めた。
 お堂の前に台を置き布を掛けて、持ってきた野菜や魚などを並べていく。
 リーンはポーチから結界石を取り出すと、右手に石を持ち、魔力を込める。
 ゆっくりと黄色い光を放ち出し、一瞬強く光ると石は光を放ったまま輝いていた。
 ソレをお堂の中に納め扉を閉じる。
 すると、空気がピーンと張り詰めてきて、冷たい空気が流れ始める。
 このような張り詰めた状況が普通なのだ。
「う、上手く…行ったのか…」
 村長が不安げに訪ねてくる。
「結界は…」
 そう言いかけて、茂みの中から現れた黒い大きな狼の姿を見つける。
「ひ~っっ!」
 狼の存在に恐怖で逃げようとする村人達に叫んだ。
「動かないで!」
 彼らはその場で硬直する。
 ここで逃げたら何のために来たのか分からなくなってしまう。
 狼はリーンをじっと見ながら近付き、リーンの周りをぐるりと回ると、村人達の方に近付いて行った。
 『呪いの魔法』を受けた村長の息子の方へ寄っていく。
「…ああ…。申し訳なかった…。もう二度と…このような事はしない。どうか、許してくれ…」
 涙ぐみ逃げ腰の男に近付き、狼は尻尾でポンと叩く。
「……っ!」
 恐怖と驚きに、その場にしゃがみこむ。
 そして後の二人にも同じ様に尻尾で叩くと、リーンに近付いて来て、じっと見つめてくる。
「…明日には、呪いは解けるそうだ」
 ほっと一息つく村人達。
 だが、狼はリーンの周りをぐるぐると回る。
 まだ、用事は終わっていないのだろう…。
「…。先に山を降りて下さい。決して後ろを振り向かず…」
 村人達は、我先にと山を降りようとする。
「あの、宿に居る連れに、明日には帰ると伝えて下さい」
 店の主人が振り向かず手を上げる。
 そして、村人達の姿が見えなくなると狼は、お堂の脇にある小道へと入って行った。
 付いていくと、そこには山小屋があった。
 彼等が使っているのか、傷みは無い。
 小屋の入り口で、獣人の姿に代わり中に入ると三匹の狼がいた。
 窓からほんのり光が差し込んで、中を照らす。
 何も無い、倉庫のような作業部屋のような部屋。
 扉が閉められる。
「この間の続きだ」
 獣人がそう言う。
「そんな気がしましたよ」
 リーンは着ていた上着を脱ぐと、床に落とした。
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