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*休日*  初めて『夏乃館』に行って、海に行った話。

『夏乃館』1

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 港街にやって来て、『春乃館はるのやかた』で、手伝いをしながら暮らし始めて五日が過ぎた。
 『春乃館』は『身体を売ってお金をもらう』お店で、料理や飲み物を運んだり、掃除したり、裏方の仕事を手伝っている。
 それが家賃で、住まわせてもらっているからだ。
 そして、時々ジンに港街を案内してもらう。
 ジンは『春乃館』の年長者で、くすんだ金髪を横で束ねた長髪の青年だ。
 今日は濃紺色のシンプル着物に若草色の帯を絞めている。
 どんな着物を着ていても似合うのがすごい。
 今日は、姉妹店?の『夏乃館なつのやかた』へ寄ってから、海辺の方へ行く予定だ。
 『夏乃館』はココとは違って女性ばかりのお店だそうだ。

 歩いて5分ほどの処にある店の、裏口から中へ入った。
 家の中から華やかな女性の声が聞こえてくる。
 『夏乃館』は洋風の内装で、中まで土足で良いみたいだ。
「こんにちは。アサヒ居る?」
 ジンが声を掛けると中から、色白の淡いクリーム色の髪をした華奢な女性が出てきた。
「珍しいわね。貴方が訪ねて来るなんて」
「ちょっと、紹介だけしておこうと思って」
 そう言って、ジンの後ろに居たリーンを紹介する。
「今、店の裏方を手伝ってもらっているリーン。この店との行き来が有ると思うから、紹介しておこうと、連れて来たんだ」
「裏方なの?」
 アサヒはジロジロと上から下まで眺める。
 えっ、何か変なの?
 ジンは慌て追加の説明する。
「本当は、旅行者で泊める代わりに手伝ってもらつてる。相変わらず人手不足なんだよ」
「リーンです。よろしくお願いします」
 そう言って頭を下げると、彼女がお茶に誘ってきた。
「悪い。今から港の方へ行って、遅い食事にするんだ」
「…。」
 アサヒは何か思い出したかの様に目をキラキラと輝かせ、口を開く。
「港へ行くなら、動きやすい服に着替えた方が良いわよ」
「…。」
 なんだろう。嫌な予感しかない。
「いらっしゃい」
 そう言ってリーンの腕を掴み、家の中へ引き入れようとしてくる。
「ジン!」
「着替えさせてもらえ。距離があるから、慣れない着物よりは歩きやすいだろ」
 断ってくれないの!
「この子借りてくわね♪」
 アサヒは楽しそうにリーンを連れて奥の部屋へと入って行った。
 

 

 
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